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[要旨]

事業活動においては、組織の存続が最優先されなければなりません。その一方で、顧客からの支持もえられなければ事業活動を続けることはできません。そこで、両者の折り合いをどのようにつけるかという点において、経営者の判断がとても重要です。


[本文]

経営コンサルタントの相馬一進さんが、ブログで顧客第三主義について書いていました。すなわち、経営者が最も大切なものは自分自信で、2番目が従業員、3番目が顧客ということです。また、「顧客第一」というお題目を掲げ、従業員を酷使しようとする経営者もいる、と指摘しています。私も、相馬さんの考えに、90%、賛成です。

ちなみに、経営者の方の中には、「自分第一」とは考えていないという方もいると思いますが、「自分」を「会社(または、組織)」と置き換えれば、やはり、会社(組織)が存続することが最も大切と考えている方がほとんどであり、納得していただけると思います。そして、相馬さんも指摘しているように、「従業員が会社から大切に扱われていなければ、従業員も顧客を大切に扱えるわけがない」ということも事実だと思いますので、会社第一、従業員第二、顧客第三という結論になると思います。

では、「顧客は3番目でいいのか」という疑問を感じる方もいると思いますが、3番目であるということと、顧客をないがしろにしていいということは異なります。事業活動において、顧客は3番目に大切なステークホルダーであり、重要なポジションにあることに違いはありません。会社が顧客に支持されなければ、事業活動は維持できなくなります。

一方で、繰り返しになりますが、顧客を優先し過ぎて、従業員や会社を犠牲にするような事業活動を行うと、今度は、会社が存続しなくなります。したがって、それぞれ立場の異なるステークホルダーである、会社、従業員、顧客を大切にしつつ、どこで折り合いをつけるかが、「経営判断」であり、その巧緻性が経営者の能力の問われるところです。

稲盛和夫さんは「値決めは経営」と言っていますが、この値決めも、会社の立場と顧客の立場のバランスの折り合いをつけるための重要な判断ということでしょう。私は、「顧客第一」という考え方は、決して間違っているとは思いませんが、本来は、複雑な状況において、あらゆる観点から判断を行わなければならないにもかかわらず、「顧客第一」ということばで、その判断を狭めてしまいかねないので、これを使うことはなるべく避けた方がよいと考えています。

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