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#現代自由詩

【詩】石讃歌

【詩】石讃歌

石よ
時の流れ
大地の変遷
げに重々しいものが
濃縮されてそこにあるのに
どうしてかそんなにぽっかりとしているのだ
山や岩のように
おどろしいすがたで畏敬を集めるがよいものを
どうしてかそんなに小ぶりに丸くなっているのだ

石よ
私の旅に黙って伴われる石よ
動力も持たぬのに
どうしてそんなに自由なのか
私を経由して
どこへゆくのか

嗚呼、私の血潮にも
石と同じ元素が流れているではないか
石のよう

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【詩】夏山

【詩】夏山

あの素晴らしい山肌に
私の魂は吸いついてしまった
りんりんと
夏が更けてゆく

〖詩〗言葉

昨夜 雨が降った
今朝の 眩しい 庭の葉を

陽に透かし

肌色のハサミで
スック スックと
切り取っていく

世界は
こんなにも美しい と
知らせるために

葉は 手元から
零れながら
還っていく

光の中へ
還っていく

澄んだ空気に
輝きながら
還っていく

〖詩〗夕暮れ

〖詩〗夕暮れ

京都ステイションの
美しい夕暮れに
浮かべる
金曜の

〖詩〗ひとり

〖詩〗ひとり

一人でいると

言葉が 寄ってくる
闇が 寄ってくる

私はいつも
居心地のいい椅子に
もたれながら
しおからい夜の海で
さみしさをいじくっている

〖詩〗チューリップ

〖詩〗チューリップ



ひときわに
発色する
チューリップのはな

街灯も
星月も
きえうせようが
耿々と ともる
このうれい

〖詩〗 人を嫌う

〖詩〗 人を嫌う

人を嫌うと
遠くの山が美しく迫ってくる
地平線を遮るビル群
あれらを粉塵と消し去り
山と空で視界を満たしたい欲が
抑えがたく溢れてくる

人を嫌うとき
私はひとつの大きな感覚となって
社会的無気力の装いのうちに
野性的知性の血潮
鈍く滾るそれを
しつしつとめぐらせ
山よ恋し 海よ恋しと浮ついて見せながら
その実深緑の闇に沈んでいるのだ

【詩】山へ飛ぶ

【詩】山へ飛ぶ

空を飛べたら
あの山へだって行けるんだな
ベランダから臨む馴染の山へ

空を飛べたら
あの親しげな山肌めざして
彗星のように飛んでゆこうと思う

【詩】宇宙船

【詩】宇宙船

トクベツ貧乏な子たちが暮らす
町イチバンのボロアパートが
実は宇宙船だったらいい

地球の滅ぶ夜
静かに浮かび上がる船の中
彼らだけは夢を見続けられるように