Tomo
大学院生の小田切誠司は初めての海外旅行に出かけ、ロンドンで同年代の早苗と名乗る女性と知り合う。 全7回
定年退職後、妻の母国オーストラリアに移住。自分の視点からオーストラリア文化や移住生活を紹介。オーストラリアに移住を考えている人、またはすでに移住した人、外国文化に興味のある方に楽しく読んでもらえるエッセイ集を目指している。週に一度程度の頻度で更新。
自己紹介初めまして。Tomoと申します。60代男性です。全く飾り気のない投稿を読んでいただきありがとうございます。何か文章を書きたいと思いnoteにアカウントを作りました。これが初めての投稿です。 これから何をかくか?これからどんなことを発表するかまだ決めていません。一つの候補は、完全な素人ですが、SF小説に挑戦したいと思っています。子供の頃、SFが好きでした。小学校の図書室にあったSFの本を片っ端から読んで行った記憶があります。今では作家の名前など忘れてしまいましたが、ア
最初から読みたい方はこちらからどうぞ。 ~2~ シカゴ経由でノックスビル空港に着くと早速雪の洗礼を受けた。「テネシー州は南部とは言ってもかなり寒い」とガイドブックに書いてあった通りだった。大学は街中ではなく少し郊外にあり、学生寮もまあまあ近くにあり徒歩で大学まで行けたし、買い物も大学や寮の近くでできた。ただし、こちらは完全な車社会でちょっと商店街から出てしまうと歩道がない道になってしまう。街の外にはウォーキングにはいけず、なんとなく街に閉じ込められたような閉塞感があった
私は今、生まれ故郷の街に近い山林で枯れ葉の上に横たわっている。人をナイフで刺してしまい、逃亡中なのだ。もう一週間ほど、まともに食べていない。それにもう食糧を探す気力もなくなってきた。自分の上をなんかの昆虫が歩いているが振り落とすのもおっくうだ。この世とお別れする時が迫ってきている。人は死ぬ時に自分の一生を走馬灯にように思い浮かべるということを聞いたことがあるが、私にはもう少しゆっくり思い出す時間がありそうだ。 ◇ まず、私の生い立ちだ。私の家系、島川家は旧家である。子
私は今年初めにオーストラリアに永住目的で移住した。ありがたいことに、オーストラリア人にディナーやバーベキューなどに呼ばれることがよくある。そんなとき、自分が理工系の研究者だったので、科学技術関係の質問を受けることがある。これは単なる会話のための話題提供なのだが、オーストラリア社会における科学技術関係の時事問題に関して考える機会となった。前回の記事では、原子力潜水艦をアメリカから導入することについて記事を書いたが、それも上記のような友人たちとの何気ない会話がきっかけである。
今回の記事は軍事の話なのでちょっと堅い話になるかもしれない。物価、趣味、医療など身近な生活情報も大事だが、オーストラリアをより深く知ることも大事なので興味を持ったことは調べるようにしている。在オーストラリアの読者は英会話のネタにでもしていただければ幸いだ。 最初に簡単なおさらいをする。潜水艦の最も重要なメリットは敵に探知されにくく、敵に場所を知られずに攻撃できることである。潜水艦の動力源としてはディーゼル機関のものと原子力のものがあり、後者は長期にわたって連続して潜航す
今年オーストラリアに移住して、毎日が発見の連続である。このエッセイ集ではオーストラリアに関する情報や体験談を紹介している。オーストラリアで生活するってどういうことなのか、オーストラリアってどういう国なのか、少しでもオーストラリアを身近に感じてもらえればと思う。さて今回は、先日眼と歯の検査をしたのでその話をしようと思う。 ちなみに医療関係では、ちょっと時代は20年ほど遡るが、以前逆流性食道炎をオーストラリアで治療したことがありその経験を記事にしたのでそれも楽しんでいただけれ
学生時代の自分にとって英語はわりと得意な学科だったが、その学習に受験以上のモチベーションはなかった。つまり留学したいとか海外に行きたいという気持ちはなかった。だが、就職して2年後、非英語圏のある国に派遣されることになった。「派遣先では英語が通じるから」と言われたがこっちは英語さえも出来ないのだ。自分と英語との本格的な関わりはそこから始まった。 派遣先で働き始め、相手は自国にいるのに外国語で喋ってくれているのに、自分が英語が話せないのはもどかしかった。なんとかしたいと思っ
(写真はロンドン郊外にあるウィンザー城の入り口にあるビクトリア女王像) 上の画像でお察しの通り、この本は長年にわたって名探偵ポアロを演じてきたDavid Suchetによる著作である。NHKで繰り返し放送されたことから日本で多くのファンを獲得し、ファンでなくても一度はこのシリーズを見たことはあるのではないだろうか。この本では、彼がこの役に出会ってから最後の作品を演じ切るまでの半生が自伝的に語られている。 また、下のように日本語訳もある。 実はこの翻訳本の広告を新聞
これまでのあらすじ 大学院生の小田切誠司は海外旅行先のロンドンで早苗と名乗る同年代の女性と知り合い、行動を共にする。誠司には離婚して別居している母がいるが、早苗はその母と同居している「ひとみ」という名のいとこであることが帰国後判明する。それをきっかけにこれまで疎遠だった母と接近することになったが、やはり普通の親子関係にはなかなかなれないと痛感する。 最初から読む人は下からどうぞ。 〜7〜 終章 大学院生の自分の研究も佳境に入り徐々に忙しくなってきた。徹夜の実験を
オーストラリアでは、車は日本と同じ左側通行である。アメリカのような頭の切り替えは必要ないのでオーストラリアでの運転は基本的に日本人に向いている。今回の記事ではオーストラリアでの運転事情について自分の経験を書いてみた。有用な情報というよりは、読んで楽しんでいただけたらと思う。 運転免許証は? 永住権取得者は日本の免許をオーストラリアの免許に書き換えることができる。「永住を開始して3ヶ月以内に変更しなければならない」らしい。これは後から知ったことで、免許証を持っていると車
この本の短い紹介 ・イギリスが舞台の小説 ・男性も楽しめるがどちらかといえば女性向き ・ある女性が失踪した父親の軌跡をたどるミステリー ・Amanda Blockのデビュー作 ネタバレを最小限にした本の紹介 25歳の女性レベッカの父親は有名な俳優だったが、レベッカが子供の時以来消息を絶っていて生死さえもわかっていない。男性ジャーナリスト・エリスがその父親のことを記事にするためレベッカにコンタクトしてくるところから物語ははじまる。エリスがきっかけで父親のことを
これまでのあらすじ 大学院生の小田切誠司は海外旅行先のロンドンで早苗と名乗る同年代の女性と知り合い、行動を共にする。しかし、早苗は突然リバプールで消えてしまう。誠司には離婚して別居している母がいるが、早苗がその母となんらかの関係あるのではないかと疑い始める。帰国後母と電話で話すことになり、その女性はひとみという名の従姉妹であることが判明する。 最初から読む人は下からどうぞ。 〜6〜 母(つづき) 母との電話から1週間が経ったが、その後母とのメールのやり取りはなかっ
現在日本では、国政選挙の最中である。ご存知の方も多いと思うが、オーストラリアでは国政選挙での投票は義務である。正当な理由がなく投票に行かないと20ドルの罰金が課せられる。これが日本の選挙制度と大きく異なるところであろう。 日本もオーストラリアのように国政選挙では投票を義務化して投票率を上げるべきという人もいるが、私はそれほど簡単なことではないと思う。 まず日本の現状を見てみよう。日本では国政選挙であっても投票率が5割程度で、「日本の若者は政治に興味がない」と言われて
これまでのあらすじ 大学院生の小田切誠司は海外旅行先のロンドンで早苗と名乗る同年代の女性と知り合い、行動を共にする。しかし、早苗は突然リバプールで消えてしまう。誠司には離婚して別居している母がいるが、早苗がその母となんらかの関係あるのではないかと疑い始める。帰国後母と電話で話すことになり、その女性は「ひとみ」であると告げられる。 最初から読む人は下からどうぞ。 〜5〜 ひとみ 俺は会話を続けた。 「ひとみって名前なんだ」 「あの子のことはお父さんからどれぐらい聞いて
すでに引退したが、自分はシミュレーションなどの計算科学を専門とした研究者であった。世界的によく知られた学者ではなかったが、専門家コミュニティにおいてある程度リスペクトされていた。ちなみに、上の写真は英国オックスフォード大学だが、そこで2回講演したことがある。自分のキャリアは成功だったのかと聞かれれば、自己満足かもしれないがYESと答えるだろう。ただし、自分のキャリアは常に順風だったわけではなく、多くの試練があった。そんな失敗の経験をベースにして、研究者として成功するために重
これまでのあらすじ 大学院生の小田切誠司は海外旅行先のロンドンで早苗と名乗る同年代の女性と知り合い行動を共にするが、早苗はリバプールで突然いなくなってしまう。その後誠司は、早苗が長年会っていない母親と関係があるのではないかという疑いを持ったまま、日本に帰国する。 最初から読む人は下からどうぞ。 〜4〜 母 日本に帰ってからは友達に会ってお土産を渡したり、大学院の課題をやるのに忙しかったが、母へのメールは忘れなかった。文面では特に早苗のことは書かずに観光で回った場