オーストラリアで車を運転しよう
オーストラリアでは、車は日本と同じ左側通行である。アメリカのような頭の切り替えは必要ないのでオーストラリアでの運転は基本的に日本人に向いている。今回の記事ではオーストラリアでの運転事情について自分の経験を書いてみた。有用な情報というよりは、読んで楽しんでいただけたらと思う。
運転免許証は?
永住権取得者は日本の免許をオーストラリアの免許に書き換えることができる。「永住を開始して3ヶ月以内に変更しなければならない」らしい。これは後から知ったことで、免許証を持っていると車の運転以外でもIDとして使えるので自分はすぐに書き換えた。手続きはあっけなかった。日本の免許証とその公認翻訳者による翻訳、パスポート、ビザをとった時の書類、自分の住所を証明するもの(銀行から送られてきたレターなど)を持って所定の州の役所に行ったらすぐに手続きができた。ありがたいのは、行列で待っている間に係員が書類をおおまかにチェックをしてくれたことだ。40分ほど行列に並んで自分の順番が来て足りない書類があったらがっかりだ。オーストラリアの行政サービスの良さを垣間見た瞬間だった。
さて免許証番号をプリントアウトしたものはその場でもらえ、それを免許証として使えると言われた。また、実際の写真付きの免許証は1週間ぐらいで郵送されてきた。免許の期限は1年から10年まで自由に選べてもちろん長いほど高くなるが少し割引される。10年で500ドル程度だったと記憶している。年間で5000円程度なので結構高い。ちなみに日本の免許証は取り上げられなかった。
永住者でない場合、旅行で短期に滞在するなら国際(国外)免許を日本で取得すればオーストラリアで車の運転ができる。国際免許証はハガキぐらいの大きさの紙でとても先進国とは思えないような代物である。国際免許は期限が1年なので何度も取り直す必要がある。「免許証に英語を併記すれば済む話なのに」といつも思ってしまう。せめて写真ぐらいは警察で撮って欲しい。
成人した若者にパスポートをタダであげるという話が出ているが、国際免許証もそうした方がいい。ついでに悪ノリして言えば、英会話教室のクーポンもつけたらどうだろうか。
ところで、1年以上長く滞在する非永住者はどういう扱いになるのだろうか?自分の知る範囲では一度帰国してまた国際免許を取るか、オーストラリアで免許を初めから取得するしかないような気がする。昔、自分は永住権がないある外国に2年間連続して滞在したことがあるが、2年目は地元の警察署から一時的な免許証をもらうことができた。(一筆書いてもらったという方が正しいかもしれない)オーストラリアでそういう逃げ道があるのかどうかはわからない。
違反に厳しい国
オーストラリアの車の制限速度は、大まかにいえば、高速道路や田舎の幹線道路で80~110km/h、街中の幹線道路では60km/h、生活道路では40~50km/hとなっている。街中や高速道路には監視カメラがあり、スピード違反を監視している。ところで日本では制限速度の10km/h超過ぐらいまでなら捕まえないという不文律があるが、オーストラリアではそんなことはない。日本では街中に30km/hのところが広く分布しているが30km/hで走っている人はまずいない。また、片側1車線の高速道路は70km/hになっているがそこを70km/hで走行したら後ろの人は激怒するだろう。日本では本音と建前を理解しない人は運転できない。(ところで、自動運転車が普及したらどうするつもりだろうか?AIも本音と建前を理解しなければならないということだろうか?)そういう意味ではオーストラリアのルールの方がわかりやすいだろう。
また、自分が住んでいるところの近くに横断歩道がありそこで信号無視車の監視カメラがある。その信号は目立たないため、信号を無視してしまう人がよくいる。私の知り合いもそこで間違って信号無視してしまい、500ドルの罰金を払う羽目になった。当たり前かもしれないが、監視カメラがついているのは間違えそうな信号だ。
また監視カメラは運転者も撮影する。例えば、運転時スマホを見ていたり、シートベルトをしていなかった場合には写真と共に罰金支払いの通知がくる。自分の家族の知り合いがシートベルトを肩から外して脇の下に入れて助手席に乗っていたらに違反切符(確か200ドル程度)が来たらしい。オーストラリアではお目こぼしはない。
方向指示器は早めに
こちらで運転して何回かクラクションを鳴らされたことがある。そのほとんどが方向指示器、通称ウインカーの出し遅れである。
日本で初めての道を走っているときどこかで曲がらなければならないとする。曲がるべき交差点が自分の視覚に入ってから方向指示器を出して曲がると思う。
オーストラリアでこれをすると場合によっては後ろの車から大きなクラクションが鳴らされることになる。方向指示器は曲がる5秒前には出さなくてはならないのだ。オーストラリアでは車間を十分に取らない人が多く、急に前の車が減速すると追突の危険がある。場合にもよるかもしれないが、そろそろだなと思ったら曲がるところがわからなくても方向指示器を出した方が安全かもしれない。そうすれば後ろの車に減速を促すことができる。しかし咄嗟の場合これがなかなかできない。
もし、指示器を出すのが遅れたら無理に曲がらずやり過ごした方が安全だ。法的にどっちが悪いかわからないが、追突されるよりどこかでUターンする方がマシだ。自分がオーストラリアの運転で一番嫌なのは、車間を詰められて方向指示器を出す時である。
ロータリー(ラウンドアバウト)
日本でも駅前などにロータリーがあるが、オーストラリアでは交差点に信号をつけずにロータリーになっている場合がよくある。ちなみにこちらではイギリス英語になるのでラウンドアバウトと呼ばれている。
ラウンドアバウトのルールは単純である。今自分がラウンドアバウトに進入しようとしているとする。すでにラウンドアバウトに入っている人が最優先で、中に車がいない時は、右を見てラウンドアバウトに入ろうとしている車があれば譲る、そうでなければ自分が中に進入して良い。一度進入してしまえば自分が優先車になり、自分の好きな方向でラウンドアバウトから出ることができる。ということは入る時に気をつければいいだけだ。
こう書くと「なんだ簡単だな」と思うかもしれない。実際、ほとんどの場合簡単なのだが、色々複雑化された応用問題が存在する。例えば6叉路でラウンドアバウトになっていたりすると、なかなか中に入れなくなる。また、交通量の多いところでは複数車線のラウンドアバウトになっていて、そういうところで右折したい場合はラウンドアバウトの内側の車線に入る必要があるので進入する際に外側の車線を横切る必要があり難易度は高くなる。また2つのラウンドアバウトがすごく近くいわゆるダンベルのようになっていたりすると、中に入ったら一安心というわけにいかず、すぐに次の試練が待っていて、夜だったら方向がわからなくなってしまうことがある。
ところで、隙を見て他車の前に入ったりするような行為を英語でネゴシエーションと言う。複雑なラウンドアバウトではこのネゴシエーションが上手でないと、なかなか中に入れず、焦って無理に入ったら衝突の危険に晒されることになる。
このようなタフなラウンドアバウトはなるべく使わないようにするのが一番良い。自分は、最近はだいぶ慣れてきたが、それでもラッシュアワー時に複数車線のラウンドアバウトを右折するような場合はとても緊張するし、疲れている時はネゴシエーションを避けて迂回する。
左から抜かれる
日本では、車線が複数ある時、右が追い越し車線で左が走行車線となっている。これを無視して左から抜いてくる人間がいるし、右にいるのにノロノロ運転している人もいる。
オーストラリアでは右側車線でノロノロ運転している人はあまり見かけないのに、左側から抜いてくる乱暴者が結構多い。それどころか左車線でゆっくり走っていたら後続車からクラクションを鳴らされたことが何度かある。その場所は街中の幹線道路だが、次の交差点で右折する車多く右側2車線が混んでいる。スピード出したい車は左の車線に出てどんどん右側の車を追い越していくのである。そこまで良いにしても左側をゆっくり走っている車に苛立ってクラクションを鳴らしてくるのだ。その辺は歩行者が信号のない所を車の間を縫って果敢に横断してくる場所なので制限速度で走るのが怖いところで、右側に車がいるので横断してくる歩行者は急に自分の前に現れることが多い。だからゆっくり走っているのだが、そういう事情は理解してもらえない。こういった煽り行為は法律違反なのだが、そこに警察がいなことがわかっている人間にとってが規則なんてどうでもいいらしい。
左から追い越される事は制限速度で走っていてもいろんなところで遭遇する。危険であるにもかかわらず、オーストラリアでは明確に違反とされていないのか、大目に見られていると感じる。これはオーストラリアの警察になんとかしてほしい問題である。
茨城ダッシュ
この「茨城ダッシュ」と言う言葉をご存知だろうか?これは信号待ちをしている右折車が青になった途端に対抗車線の直進車や左折車よりも先に右折する違法行為である。自分が直進か左折の場合はなんの制限もないはずなのに、対向車線から右折してくる車と衝突する危険に晒される。茨城県に多いので茨城県警が自戒を込めてこう呼んでいる。
実は茨城ダッシュはオーストラリアでは(というか自分の住んでいる南オーストラリア州では)ほとんど見かけない。これは右折と直進が別の信号になっていることが主な理由である。
また右折の青信号がないところでも赤信号だけある場合がある。直進の信号が青になると同時に、右折の赤矢印信号が付き、数秒後その信号が消えて右折が可能になる。この時間差によって茨城ダッシュはできなくなるのだ。見事だ。日本でも右折の赤信号、ぜひ導入すべきだ。
おわりに
ここまで読んでいただいた方に感謝したい。まだまだ書きたいことはあるのだが、それはまたの機会にする。最初に警告したように有用な情報はなかったかもしれない。外国にいると日本との違いが興味深く感じられ、それがこの記事でつたわれば嬉しい
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