キコリダイの塩昆布胡麻マリネとかき揚げきしめん イタリアの王道白ワイン ソアーヴェ
多量に茹でた乾麺タイプのきしめんが残ってしまっていた。スーパーで買ってきたエビ入りかき揚げを載せ、温かいおつゆをかけて夕飯に。
これだけだとちょっと寂しかったのでお魚の冷凍ミールパックを開封。キリコダイ塩昆布マリネ。
フィシュルの商品で冷凍庫から取り出して流水で10分ほど解凍すると、シーフードの前菜の出来上がり。
一般的にはタカノハダイと呼ばれるが、山口、福岡あたりではキコリダイと呼ばれるよう。鷹の羽のような模様がトレードマーク。あまりスーパーでは見かけないのは流通量が少なく、日本各地の漁港で地元消費されるから。ローカル食材をお手軽に頂けるとはありがたや。また、他にも時期や処理のしかたによって磯臭いから、見た目が美味しそうではない、といったこともあり未利用魚となってしまっているようだ。
今回初めてキコリダイを食べたが、下処理の上手さか、まったくもって臭みは感じなかった。むしろ、魚の風味が非常に穏やかでクセが少なく、多少の物足りなさを感じたくらいだ。それでもしっかりとした弾力の身を噛み進めていくと、塩昆布とごま油が絡みながら魚の旨味や磯の香りががジンワリと広がった。
合わせたワインはイタリアの白ワインの王道ソアーヴェ。ヴェネト州のソアーヴェ地区でガルガーネガ品種を主体に造られる軽快なワインだ。三大ソアーヴェと称えられるイナマ、ジーニ、ピエロパンが代表的な造り手。今回は、ちょうどイナマとジーニの開栓済みボトルがセラーにあったので取り出す。
これらのワインは最近、はま寿司でテイクアウトしたお寿司に合わせた。同じソアーヴェでも特にトロピカルなニュアンスの出方に違いがあり、寿司への相性にも微妙な違いがあった。
三大ソアーヴェのもう一つ、ピエロパンのコクのあるタイプのソアーヴェは、以前、ニシンの甘露煮を載せた素麺に合わせていた。
ニシンの甘露煮乗せ素麺 ランチワインにコクの豊かなソアーヴェ
ピエロパン, ソアーヴェ クラッシコ ラ・ロッカ, ヴェネト, イタリア, 2020, 12%, 3,773円
相性: ★★★★☆
今回も麺にソアーヴェ。
さて、キコリダイの塩昆布胡麻マリネとかき揚げきしめんと、ワインの相性について詳しく。
ジーニ, ソアーヴェ・クラシコDOC, イタリア, ヴェネト, 2021, 2,920円
Gini, Soave Classico DOC, Italy, 12%,
1700年代からブドウ栽培農家としてガルガーネガ種を栽培してきた歴史ある造り手。最高のソアーヴェのひとつとして広く知られる。
香りは軽快で爽やかなグレープフルーツの柑橘香に花梨、ほのかに白い花。微かに潮の香りや干しワラやハーブのニュアンスも入りバランスよくきれいにまとまって上品なフレーバー。
味わいは瑞々しい果実味にキュッと舌を引き締める酸味、軽快でフレッシュ。果実味と他の要素の統合が素晴らしく上品、中盤から余韻に塩味のニュアンスや硬質でスーッと冷ややかなミネラルのほろ苦さもあり、ソアーヴェ・クラシコの魅力をギュッと上品に凝縮。
キコリダイの塩昆布胡麻マリネにワインを合わせる。魚の風味はやや控えめに感じる(あまり魚を好きでない方でも、この軽快な風味なら食べてもらえそう)。ごま油と塩昆布に立ち上げられた、キコリダイの筋繊維の奥の脂と旨みにワインのミネラルのタッチ、ほろ苦さが調和。相性: ★★★☆☆
イナマ, ヴィン・ソアーヴェ, ソアーヴェ クラシコ, 2021, 12%, 2,134 円
Inama, Vin Soave Soave Classico, 2021
すべて手摘みで収穫。破砕してから4〜8時間果皮と果汁を接触。醸造はステンレスタンクのみを使用。
香りにはパイナップルなどのトロピカルな香りが軽快ながらトップに明瞭に。リンゴジャム、白桃も。グラスを回すと微かにほしわらやハーバルなニュアンス。アカシア。表現力豊か。トロピカルなフルーティさのメリハリはスクリューキャップも手伝ってか。
味わいはほんのりとまったりした質感で舌への馴染み方が心地良い。みずみずしく当たり、中盤からしなやかでハリのあるミネラル。酸味は中庸、ドライなフィニッシュ。
かき揚げきしめんに。かき揚げをひと口。タマネギなどの野菜に包まれながら立ち上がるエビのフレーバーにワインのミネラル感、ほろ苦さが心地よく調和。四つ星が迷う好相性に舌鼓を打ちつつ、きしめんをすする。そうだ、最近のNoteで書いたが寿司に合わせたときはイナマよりジーニの方がエビとの相性は良かったのだ。食後に気付いたので時すでに遅しだったが、ジーニなら四つ星だったかも。相性: ★★★☆☆