大分の郷土料理アジのりゅうきゅう 山梨県勝沼のマスカット・ベーリーAのチャーミングな果実香
スーパーで見つけたアジの”りゅうきゅう”。りゅうきゅうという名前ながら沖縄ではなく、大分の郷土料理。大分の漁師が、沖縄の漁師につくり方を教わったという説や、ごま和えにする料理を「利休和え」と呼ぶことから派生したという説がある。もともとは漁師たちにとってのまかない飯、また保存食だったそう。
瀬戸内海に面する大分県では、アジやタイ、太刀魚、イワシ、サバなどのさまざまな魚介が水揚げされる。地元でとれた新鮮な魚を、醤油、酒、みりん、ごま、しょうがでつくるタレと和えて作る。
なめろうのように細かく叩かれてはおらず、アジの身はやや大きめに切られていて、口に入れると青魚の磯の香りがたっぷりと広がる。アジの旨味に醤油、生姜、胡麻、ネギの香味が絡みあと味は爽やか。味付けはしっかりしているが、大ぶりに切られていているアジの風味は負けず、しっかりとその存在を楽しめる。漁師料理は酒も進む~!
ハンガリーの白ワイン(地場品種を含む3品種のブレンド)、山梨の赤ワイン(マスカット・ベーリーA品種)を合わせてみた。開栓してから数日かけてゆっくり飲んでいるハンガリーの白ワインは1週間以上を経てもじんわりと発展を続けていてヘタレない。赤ワインは山梨県勝沼の丸藤葡萄酒のもの。シャルドネ、プティヴェルドなどの欧州品種で造られるワインも素晴らしいが、日本を代表する甲州、マスカット・ベーリーAも毎年楽しみ。
パーツァイ, アグネシュ, ハンガリー, バラトン, バダチョニ, 12.5%, 2,574円
Patzay, Agnes, Badacsony, Balaton, Hungary,
ワインについては先日のNoteに。
バラトン湖近くで、3種のブドウをブレンドして造られる(スルケバラート34%、ヴェルシュリースリング 42%、リースリング 24%)。スルケバラートはピノ・グリの別名。ヴェルシュリースリングは、イタリア北部が原産とされ(現地での一般的な呼び方はリースリング・イタリコ)、ハンガリー(同オラスリズリング)、スロベニア(同ラシュキ・リースリング)、クロアチア(同グラシェヴィーナ)でも栽培される。ハンガリーワインショップより購入可能。
アジのりゅうきゅうにワインを合わせる。ワインの滋味と自然派のワインから香るようなどこか生姜を思わせる香りが、料理の薬味の生姜とネギに調和。ワインの好意的な範囲の酸化的ニュアンスを含む果実味は、落ち着いていて青魚特有の磯の香りをも包み込む。相性: ★★★★☆
丸藤, マスカットベーリーA樽貯蔵, 2020, 12%, 2,420円
明治23年(1890年)5月、創業者が自宅の庭に造った小さな葡萄酒醸造所が始まりの老舗ワイナリー。伝統の在来品種甲州、マスカットベーリーAに加え、欧州系品種カベルネ・ソーヴィニヨン、プティヴェルド、シャルドネなどを栽培、醸造。
香りにはストロベリーキャンディ、チャーミングなフランボワーズ、ほのかにバニラの香り、ゼラニウムやドライローズのようなどこかフラワリーなニュアンス。
味わいはチャーミングな果実味、滑らかでシルキーな口当たり。酸味は穏やかながら余韻は微かに甘さありつつドライよりで、みりんや醤油の味付けと相性良さそう。丸藤葡萄酒HPから購入可能。
アジのりゅうきゅうに。ワインのチャーミングな果実味に、醤油のつながりが素晴らしい。ややワインのパワー優位にはなるが、そのまま青魚の風味にあたっても反発なく包み込む。相性: ★★★★☆