エビバターマサラ　垢抜けたトスカーナのヴェルメンティーノ

再び出張で海外に。必然的に生魚から遠ざかってしまう。
それでもシーフードはある。普段出会えないものを探してワインに合わせよう。前回の滞在時、ショッピングモールのフードコート内インドレストランで、ショウガと玉ねぎの効いたエビカレーをテイクアウトした。

同じ店で今回はエビバターマサラを注文する。バターチキンカレーのエビバージョンといったところだ。フードコートとはいえ、円安もあってカレーは約2,000円、ガーリック・ナンは約200円、合計2,200円ほど。日本のフードコートでは3人前の食事代だ。

持ち帰って赤、白ワインをスタンバイさせる。

ともにイタリア トスカーナ州のもの。白はヴェルメンティーノ品種、赤はサンジョヴェーゼ品種だ。シーフードと合わせるにあたり、特に最近ヴェルメンティーノが離せなくなってきた。セラーにもどこかしらの産地のヴェルメンティーノが常備されている。これまでのワインライフを振り返っても今年が間違いなく一番、ヴェルメンティーノを飲んでいる。魚とワインを合わせる方にはぜひオススメだ。牡蠣のパスタに合わせたあたりから信頼はゆるぎないものになった。

赤はキャンティにも使われるトスカーナを代表する品種のサンジョヴェーゼ。

ラ・スピネッタ, カサノーヴァ, ヴェルメンティーノ, トスカーナ, 2021, 13%, 2,879円
LA SPINETTA CASANOVA, VERMENTINO TOSCANA,
香りには軽やかにグレープフルーツの柑橘香、ナッティなニュアンス、潮風の香りもほんのりと。
香りの上品な様子とはまたうって変わって、ずしりとくる酸味、中盤以降ほろ苦さがしっかり。それでもサルディーニャ島の同じ品種のものより垢抜けた印象だ。

ラ・スピネッタ, イル・ネーロ・ディ・カサノーヴァ, 2018, 13.5%, 2,991円
LA SPINETTA, IL NERO DI CASANOVA
香りにはラズベリー、よく熟したプラム、明るいチャーミングな果実香、よくなじんだ樽香、ほのかにカカオのニュアンスも。
チャーミングさも伴う明るくジューシーな果実味、こぎみよい酸味、舌が微かに乾くようなタンニン。

さて、エビカレーに白から合わせる。
エビは多少小ぶりに感じたがまぁ、こんなものだろう。海外サイズに期待しすぎないようにしよう。ルーにはバターたっぷりで辛味は控えめ、むしろ柔らかい甘みさえ感じる。この甘みがポイントになってエビの旨味をまんべんなく立ち上げる。バターたっぷりで豊かなコク、甘み、そしてエビの旨味が広がる口内を、ワインのややアグレッシブな酸味とほろ苦さが心地よく洗う。
相性: ★★★★☆

続いて赤に。
ワインの明るい果実味が甘めのルーに調和するが、中盤以降やや強めのタンニンの主張もあり、マイルドなカレーの風味とエビの旨味が圧されてしまう。
相性: ★★★☆☆

バターの効いたマイルドなカレー、具材はエビということもあり、白ワインのヴェルメンティーノが相性の良さ発揮してくれた。