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スパイスとコク豊かなシュリンプバターマサラ 満を持してインドの赤ワイン①
月イチくらいで本格的スパイスの注入が必要になるようだ。
1月に続いて、近所のインドカレー屋さんでテイクアウト。
今回の注文はシュリンプバターマサラ(1,320円)とホタテマッシュルーム(1,265円)。
満を持して、セラーに保管していたインド産赤ワイン2種を合わせる。いずれもインドを代表するスーラ・ヴィンヤーズのシラー品種のものだが、スタンダードラインのものと、フラグシップのもの。
過去にはインドの白ワインと焙煎ホールスパイスのシーフードカレーとの相性を楽しんだ。
決してインドワインという珍品、ゲテモノ(失礼!)で気を惹こうとしているわけではない。
15年ほど前に口にしてから毎年、何らかのインドワインを飲んでいるが確かな品質で、インド料理との調和が楽しい。また、ビンテージが新たになるたびに品質向上が目覚ましい。
インドには一部の禁酒州もありがながら、世界一のウィスキー消費国。モエ・エ・シャンドンはインドでのスパークリングワイン造りに参入。世界的な醸造コンサルタントミシェル・ローランの参画は確実にインドのワイナリーの品質アップに貢献している。
インドワインに加えて赤ワインをイタリア シチリア島(ネレッロマスカレーゼ品種)、カラブリア州(ガリオッポ品種)から。
実食の結果、カレーから溢れるトマトの風味、バターが絡む甘さが引き立てるエビの旨味に、インド産シラー品種のチャーミングで活き活きとした果実味とスパイスのヒントがみごとに調和した。
シュリンプバターマサラとそれぞれのワインの相性について。
スーラ・ヴィンヤーズ, シラーズ, インド, 13.5%, 2022, 2,166円
Sula Vineyards, Shiraz, India
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スタンフォード大学を卒業後、シリコンバレーで働いていたラジーヴ・サマント氏が故郷のインドで1997年に設立したワイナリー。
なお、インドではオーストラリア式にシラー品種をシラーズと呼ぶ。
香りには完熟したプラム、野苺などの快活な果実香。黒胡椒の明瞭なスパイス香、茎のヴェジェタルなヒントも。金属や血液などの個性的なニュアンスも微かに。
味わいにはチャーミングな果実味、酸味はやや穏やかながらワインに輪郭を与えて心地よい。しっとりと舌が乾くタンニン。果実の風味以外のスパイスなどの野趣に富む香りは通好みかも。
シュリンプバターマサラにワインを合わせる。
トマトとやや甘さの効いた味付けに、ワインのチャーミングな果実味が繋がり、エビの旨味もそれにのってジンワリと広がる。相性: ★★★★☆
スーラ・ヴィンヤーズ, ラサ・シラーズ, インド, 2020, 14%, 3,351円
Sula Vineyards, Rasa Shiraz, India
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スーラといえばエチケットの髭の生えた太陽がアイコンだが、このビンテージからなのか、随分とこじゃれたものに変化している。
香りにはブルーベリージャム、カシスリキュールの濃密な果実香。バニラビーンズ、挽きたての黒胡椒が穏やかに。メントールの爽快な香りも。
味わいは過去からは急激な路線変更の上品な凝縮感。明るくほのかにチャーミングさもある果実味、軽快ながらも酸味もしっかりと存在。それでもややじっとりと舌に残るタンニンにはらしさを感じる。上品になった分、個性が抜けて寂しい。
シュリンプバターマサラに。
スタンダードラインのスーラのシラーズにはない樽香がワインに複雑さを与えているが、カレーと合わせるには少々持て余してしまう。相性: ★★★☆☆
クズマーノ, アルタモーラ, エトナ ロッソ, シチリア, イタリア, 2019, 2,464円
Cusumano, Alta Mora, Etna Rosso DOC,
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このワインはヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の北斜面の畑で栽培されたブドウから造られる。海と山のミネラルの恵みを感じたい。
香りにはよく熟したプラム、快活なベリー果実香、バラやラベンダーの微かにハーブや潮の香り。微かにスモーキーなニュアンスも。
味わいには完熟、充実の風味ながら抜け方は軽快で上品さすら感じる抑制のきいた果実味。こぎみよいメリハリを与える酸味、ほのかに塩気。タンニンは穏やかで絶妙な抽出の塩梅。南イタリアの牧歌的なワインとは一線を画す、クリーンで正確な醸造によるフォーカスの合ったワイン。
シュリンプバターマサラに。
トマト風味とワインの快活な果実味が調和するも、エビの風味を高めるところまではいかない。相性: ★★★☆☆
リブランディ, ドゥーカ サンフェリーチェ, チロ DOC, ロッソ リゼルヴァ, カラブリア, イタリア, 2,440円
Librandi, Duca Sanfelice, Ciro DOC, Riserva, Rosso Classico Superiore, Calabria, Italy, 2019, 14%
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リブランディはティレニア海とイオニア海に挟まれたイタリア半島のつま先部分に位置するカラブリア州を代表するワイナリー。
古代ギリシャ、オリンピックの勝者に与えられたワインはガリオッポ品種から造られていたという説もある。そのガリオッポで造られたワイン。
香りには完熟したブラックチェリー、チェリーリキュールの凝縮感の強い果実香。微かに黒胡椒のスパイスのヒント、ほんのりとビターチョコレート、ほんのりと茎のようなヴェジェタルなニュアンスや穏やかにハーバルなタッチも。樹齢の高さゆえか、おおらかで穏やかな乾いた木のような香りも(樽は熟成には使われていない)。
味わいの果実味の凝縮感は思いのほか軽やかで甲高い、鼻腔をスパイシーなノートが強く抜ける。明瞭でワインに輪郭を与える酸味、やや粗さのあるパワフルなタンニンがしっとりと舌に残る。余韻にはビターなニュアンスやミネラルに富む、ややシンプルで抑揚には欠けるか。
シュリンプバターマサラに。
ガリオッポ品種の真骨頂、スパイスとの相性はさすがだが、バターやエビとの繋がりはもう一歩か。相性: ★★★☆☆