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記事一覧
2016/9/4 「NOBUNAGA(信長)−下天の夢−」
★龍真咲の退団公演はなんと日本もの!
月組トップスター龍真咲がいよいよ退団の時を迎える。龍がトップスターに就任したのは2012年だから、約四年間トップを務めたことになる。そんな彼女が自らの退団公演で織田信長を演じるというのはちょっとした驚きだった。
トップスターは自らの退団演目や担当演出家について、ある程度劇団に希望を聞いてもらえるとも聞く。彼女が日本ものを選んだというのは意外だし、演出家
2016/7/13 「ミー・アンド・マイガール」
★宝塚の人気演目「ミーマイ」とは?
ミュージカル「ミー・アンド・マイガール」は1937年に英国で生まれたミュージカルである。物語の舞台は初演と同時代のロンドン。下町で生まれ育った青年が、亡き伯爵の遺児だと分かり、伯爵の妹である公爵夫人が彼を紳士にすべく教育係を買って出る。だが、この青年ビルは一人ではなく、サリーという恋人を連れていた。
公爵夫人は二人を別れさせ、彼を自分の姪と結婚させようと
2016/7/1 ローマの休日
★ありし日の乙女の憧れを舞台化
子供の頃、私は映画「ローマの休日」を何度かテレビで見たことがある。いつもはさしてテレビ番組に執着のなかった母が、この映画が放送される日だけはチャンネル権を譲らなかったからだ。母の娘時代にはオードリー・ヘプバーン扮するアン王女の髪型を真似た「ヘプバーン刈り」が日本でも大流行したという話も、飽きるほど聞かされた。
この映画が日本で公開されたのは1954年だそうだ
2016/6/12 「こうもり」(2)
★オペレッタを見るとはどういうことか?
この「こうもり」という作品、初めて見たときはあまりにドタバタが過ぎて、どこを見れば良いのかさっぱり分からない話だと思ったのだが、並演のショー「The Entertainer!」見たさに何度か観劇しているうちに、私にもようやくこの作品の楽しみ方がわかってきた。
晩餐会の一夜、人々は踊り歌い、酒を楽しみ、若者たちは恋をする。そんな中で繰り広げられる、ちょ
2016/5/15 「こうもり」(1)
★オペレッタ原作の華やかなミュージカル?
「こうもり」はヨハン・シュトラウス2世作曲の有名なオペレッタを原作とするミュージカルである。上演するのは星組。トップスター北翔海莉は宝塚を代表する歌手であり、彼女は過去にも今回と同じく谷正純氏の脚色・演出でオペレッタを題材としたミュージカル「メリー・ウィドウ」に主演しているので、トップスターになったら一作くらいはオペレッタをやるんじゃないか、とは思って
2016/5/19 「ヴァンパイア・サクセション」
★炸裂する「石田節」は見られるのか?
ヴァンパイア・サクセションは宙組のスター真風涼帆の主演作にして、演出家石田昌也の久しぶりのオリジナル作品である。
石田氏は宝塚の作家にしては珍しくエンタメ志向で、観客を楽しませ、驚かせることの好きな人な演出家だ。作りごとの多い宝塚歌劇において、「人間臭さ」や「等身大の感覚」を大事にした作品が作れる人でもある。夫婦愛、嫉妬、見栄や意地、心意気、ちょっとし
2016/4/22 「るろうに剣心」
★小池修一郎が2.5次元ミュージカルに挑む
コミック「るろうに剣心」を宝塚歌劇で舞台化するらしい、という噂をインターネットの某巨大掲示板で見かけたのは、二年くらい前だっただろうか。今になって思うと、その頃から話は動いていたのに違いない。
演出は小池修一郎、作品はショーなしの一本ものと発表された時になって初めて、私は宝塚歌劇団が、本気で2.5次元ミュージカルの客層を取り込みにかかろうとしてい
2016/3/18「Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜」
★生田大和×朝夏まなと=ウィリアム・シェイクスピア
宝塚歌劇はこれまでに数多くのシェイクスピア作品を上演している。古くは1969年の雪組「ハムレット」、近年ではフランス発のミュージカル「ロミオとジュリエット」を星組、雪組、月組が続演している。「オセロー」を元に作られた星組「The Lost Glory」や「真夏の夜の夢」を原作にした月組「PUCK」もまだ記憶に新しい。
だが、劇作家ウィリア
2016/3/5「For the people」
★轟悠、大統領になる
ミュージカル「For the people −リンカーン 自由を求めた男−」はアメリカ合衆国第16代大統領リンカーンの生涯を描いた作品だ。主演は専科の轟悠。タカラジェンヌがリンカーンを演じるということ自体大きな驚きだが、ポスターのビジュアル完成度は驚愕のレベル。もはや轟がリンカーンなのか、リンカーンは実は轟だったのかという見事なまでのはまり具合である。
私が初めて轟悠
2016/2/6 「舞音」
★名作小説の舞台を東南アジアに移したミュージカル
東京宝塚劇場の2016年幕あきは月組「舞音」から。アべ・プレヴォの「マノン・レスコー」を原作に、舞台を20世紀初頭のベトナムに移して繰り広げられるミュージカルである。脚本・演出は植田景子氏。
白いアオザイ姿で横たわるマノン(愛希れいか)、その横に座り憂いのある横顔を見せる、真っ白な軍服姿の主人公シャルル(龍真咲)。二人の後ろには白いハスの花