零余子(れいよし)

第36回ファンタジア大賞「夏目漱石ファンタジア」の人 今まで出会ったライトノベルの素敵…

零余子(れいよし)

第36回ファンタジア大賞「夏目漱石ファンタジア」の人 今まで出会ったライトノベルの素敵なところ これから出会うライトノベルの素敵なところ 様々に語っていきます

最近の記事

ふるさと文学2024『鷗外・漱石・一葉の神保町』に行ってきた

学生時代の仲間で集まり、その時のご縁で、この面白そうなイベントの開催について教えてもらえた。本当にありがたい。 知ったからには行ってみようと、本の街・神保町に向かったのが今月4日の話。久しぶりの来訪になるが、まだ町はかつての面影をだいぶ残しているように思える。 イベントは午後からである。町に着いたのがちょうどお昼時だ。 神保町に来たからにはカレーが食べたいと考えた。 すっかりカレーの口で、カレーの腹で、通りを歩いた。 だが、町を巡り、私の腰が落ち着いたのはラーメン屋。

    • ベイスターズ日本一 そして森鷗外

      ベイスターズが日本一になった。 かつてのマシンガン打線の栄光から、26年。 積み重ねてきた努力がついに報われた。 本当に、本当に凄いこと! ホークスという素晴らしいチーム。 それに挑み、戦いの果てに再び掴んだ栄光。 この輝かしい勝利は、この先ずっと語られるべきものだと思う。 試合中、スタジアムには「横浜市歌」が轟いていた。 横浜市歌の作詞は森林太郎が手掛けた。 そう、かの文豪・森鷗外その人である。 当時の日本では、作詞に対して曲をつけることが一般的であった。 しかし横浜

      • 「はじめよう、ヒーロー不在の戦線を。」読了②

        服部大河先生「はじめよう、ヒーロー不在の戦線を。」が面白かった。 特に『主人公性システム』なる設定は、重ねて触れたいほど秀逸。 ふと、思索を試みる。 私が『主人公性システム』という秀逸なアイデアを以て物語を書くなら、どのような作品に仕上げるだろうか? 自然主義文学に掉さす青年・田山花袋が住まう街に、ある日巨大な文学怪獣が攻めてくる。 この文学怪獣の名は『第三使徒・コミヤ』。 自然主義文学を根絶しようとする、邪悪なる宇宙意思『ナツメソウセキ』が派遣してきた怪獣であった。

        • 「はじめよう、ヒーロー不在の戦線を。」読了①

          第36回ファンタジア大賞のトリを飾る、金賞受賞作にして「細音啓特別賞」受賞作。それが服部大河先生の「はじめよう、ヒーロー不在の戦線を。」だ。 面白かった! 本当に良かった! 物語のどこをとっても、熱い! 小日向茜という、誰もが認める主人公。 彼女を失った世界で、小日向茜を取り囲んでいた人々が「エキストラ」から「主人公」に変わっていく物語。 ヒーローを失った世界で、それぞれに過ごしていた少年少女たちが、それぞれに未来を目指し始めた時、小日向茜という少女が紡いできた物語の世

        ふるさと文学2024『鷗外・漱石・一葉の神保町』に行ってきた

          第37回ファンタジア大賞・最終選考作「すぐ脱ぐコスプレお姉さん」に寄せる雑感

          衣太先生の作品「すぐ脱ぐコスプレお姉さん」。 おそらくラブコメである。そう予想した。 多分、登場する「お姉さん」というのは露出癖の持ち主なのだろう。 そしてプロローグで警察のご厄介になっているのだろう。 そんなお姉さんを引き取った主人公が、彼女の露出癖を充足させつつシャバにギリギリ留まれる方策として、コスプレという選択肢を伝授する――というところまで想像した。 留置場から始まるラブコメがあってもいいと思う。 思い返せば、ライトノベルでコスプレが趣味のキャラクターはいっぱ

          第37回ファンタジア大賞・最終選考作「すぐ脱ぐコスプレお姉さん」に寄せる雑感

          第37回ファンタジア大賞・最終選考作「壊れた世界で血を呷る」に寄せる雑感

          著者はヒナシ先生。 ファンタジア大賞では、最終選考まで進んだ作品の多くが書籍化する。 この「壊れた世界で血を呷る」も書店で出会える可能性が高い。期待! 結果発表ページにあらすじがなかったので、タイトルから得た印象を綴りたい。 「壊れた世界で血を呷る」――そんなタイトルに、骨のあるファンタジー感がにじみ出ている。 「壊れた世界」の部分に想像力がかきたてられる。一体どうして壊れたというのか。壊れて、しかし世界はなお存在し続けているのだろう。その世界は主人公たちに、どんな表情を

          第37回ファンタジア大賞・最終選考作「壊れた世界で血を呷る」に寄せる雑感

          第37回ファンタジア大賞・橘公司特別賞「クラウド・スレッドーディストピア・オーバー・インフェルノ」に寄せる雑感

          著者は八火照(はちび てる)先生。 個人的にとても気になった作品! 階層社会(物理的)における反逆劇を綴ったという作品らしく、選考委員の橘先生が激推ししている。銀賞作品と同様、あらすじから硬派な印象がビリビリと伝わってくる。読み応えがありそうだ。 強く興味を持った点として、作中用語として「雲の糸」や「カンダタ」が登場するところ。この作品はもしかして、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をモチーフに作られているのかもしれない。そうだとしたら嬉しい! 更に、あらすじで触れられている過酷

          第37回ファンタジア大賞・橘公司特別賞「クラウド・スレッドーディストピア・オーバー・インフェルノ」に寄せる雑感

          第37回ファンタジア大賞・銀賞受賞作「聖剣、オリーブ、祈りの青」に寄せる雑感

          右弐沙節先生……「右に左折」? ちょっと捻った筆名が面白いこの先生の受賞作は、選考委員の羊太郎先生が語るところによれば「血反吐を吐くような重苦しさ」「泣きたくなるような葛藤」という、気骨の溢れる作品らしい。 私はTRPGにおいては幸福原理主義者――即ち「幸福は義務です」のスタンスだが、ライトノベルならバッドエンドも大いに歓迎。重苦しさ、葛藤、共に歓迎。 そして作中に人間としての矜持や情熱の描写が入れば、更に大歓迎だが……ある! あるらしい! 羊太郎先生が「熱血」の存在につ

          第37回ファンタジア大賞・銀賞受賞作「聖剣、オリーブ、祈りの青」に寄せる雑感

          第37回ファンタジア大賞・金賞受賞作「世界を滅ぼしかけて偉そうにするんじゃない」に寄せる雑感

          TRPGのライトノベル。 とても興味深い作品が、晴れてファンタジア大賞の金賞受賞作となった。 そして「羊太郎特別賞」も受賞。これも凄いこと。 大賞作品同様、こちらもダブル受賞作品となる。なんとも華やかな受賞だ。 気になっているのが、ヒロインの雨ヶ崎ルイナ。 選考委員の細音啓先生のコメントのなかの「ラスボスとヒロインを同時にこなすヒロイン」という説明が興味をそそる。 これは、とても惹かれるキャラ付け……そもそもヒロインとラスボスを同時にというのが凄い。 ちなみに、この一節

          第37回ファンタジア大賞・金賞受賞作「世界を滅ぼしかけて偉そうにするんじゃない」に寄せる雑感

          第37回ファンタジア大賞・大賞受賞作「召喚学園の生徒だけど守護獣が異形すぎて邪教徒だと疑われています」に寄せる雑感

          第37回ファンタジア大賞の頂点に立った作品だ。 声優の雨宮女史から「アンバサダー特別賞」も授与されたというダブル受賞作であり、その戦績は眩いばかりだ。 公開されているあらすじと選考委員の先生方のコメントから、クトゥルフ神話の要素を取り込んだ作品だと理解した。 編集長の「不気味さとノリの良さが融合したオリジナリティが光る作品」というコメントを見て、否応なしに期待が高まる。 きっと、絶対、これは面白いやつだ! 何より設定が楽しい。 行き違い、勘違い、スレ違いが調和して、心地

          第37回ファンタジア大賞・大賞受賞作「召喚学園の生徒だけど守護獣が異形すぎて邪教徒だと疑われています」に寄せる雑感

          第36回ファンタジア大賞を振り返って

          先日、第37回ファンタジア大賞の結果が発表された。 どの作品もすごく輝いてみえた。 タイトルから、あらすじから、「面白い!」があふれていた。 各作品の印象はどこかで語りたい。 第36回ファンタジア大賞の作品 さて、第36回ファンタジア大賞の作品も、もうじき全て発表される。 どの作品もめっっっっちゃ面白かった。 以下、各作品について感じたところを綴る。 新田漣先生:君と笑顔が見たいだけ お笑いの求道者であり、人々を楽しませるために、楽でない道も歩む人。 私の目に、新田先

          第36回ファンタジア大賞を振り返って

          自己紹介|はじめてのnote-おたんちん♡ぱれおろがす

          このタイトルに反応したあなたは、きっと夏目漱石作品に有識の人だろう。 私・零余子(れいよし)も、夏目漱石作品を読んできた一人である。 漱石や鷗外などの純文学を楽しむほか、ライトノベルも楽しんでいる。 どちらかというと、ライトノベルの方が主戦場だ。 これまでに様々なライトノベルを読んできた。 これからも様々なライトノベルを読みたい。 そして読むからにはライトノベルの素敵さを語りたいとも思っていた。 ということで先日の夜、ついに思い立ってSNSに挑戦してみた。 調べてみると色

          自己紹介|はじめてのnote-おたんちん♡ぱれおろがす