第37回ファンタジア大賞・橘公司特別賞「クラウド・スレッドーディストピア・オーバー・インフェルノ」に寄せる雑感

著者は八火照(はちび てる)先生。
個人的にとても気になった作品!


階層社会(物理的)における反逆劇を綴ったという作品らしく、選考委員の橘先生が激推ししている。銀賞作品と同様、あらすじから硬派な印象がビリビリと伝わってくる。読み応えがありそうだ。


強く興味を持った点として、作中用語として「雲の糸」や「カンダタ」が登場するところ。この作品はもしかして、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をモチーフに作られているのかもしれない。そうだとしたら嬉しい!


更に、あらすじで触れられている過酷な世界観と上層からの理不尽な仕打ちは、芥川龍之介の「地獄変」を思わせる。

「地獄変」は三島由紀夫の手によって歌舞伎にもなっており、三島の評するところによれば「グロテスクで素朴なユーモアを湛えた悪趣味な文体」が特徴的な作品だ。
内容もとてもハードで、国語教科書にはまず載せられないだろう。


もしもクラウド・スレッドが「地獄変」の要素まで包含しているのならば、いよいよもって凄すぎる。


それにしても、第36回が夏目漱石で、第37回に芥川龍之介がきたというのなら、第38回は一体だれが来るのだろうか。

太宰治がありえる。
三島由紀夫もありえる。
うん、芥川の次であるなら、やはり太宰が来てくれると並びとしては綺麗に感じる。


もちろん、クラウド・スレッドと芥川龍之介の関係性については、今のところ私の想像の話。この想像が当たっているかどうか、出版の時に答え合わせをしてみたい。

クラウド・スレッドの出版が、いまからとても楽しみだ。

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