第37回ファンタジア大賞・銀賞受賞作「聖剣、オリーブ、祈りの青」に寄せる雑感
右弐沙節先生……「右に左折」?
ちょっと捻った筆名が面白いこの先生の受賞作は、選考委員の羊太郎先生が語るところによれば「血反吐を吐くような重苦しさ」「泣きたくなるような葛藤」という、気骨の溢れる作品らしい。
私はTRPGにおいては幸福原理主義者――即ち「幸福は義務です」のスタンスだが、ライトノベルならバッドエンドも大いに歓迎。重苦しさ、葛藤、共に歓迎。
そして作中に人間としての矜持や情熱の描写が入れば、更に大歓迎だが……ある! あるらしい! 羊太郎先生が「熱血」の存在について言及してくださっている! 私の中の期待度がぐんぐんと上がっていく。
あらすじによれば、これは勇者の物語。
勇者、というのは多くの媒体で活躍している概念。
昨今のエンタメにおいてはよくある題材なのかもしれない。
そのありふれた題材を用いて戦果を収めるあたりに、右弐先生の腕前のようなものが透けて見える。
多分この先生、どんな題材も面白く料理できるタイプの人なのだろう。
そんな予感がある。
そしてテロリスト化した勇者たち『無貌勇者』の存在が、物語に重量感を与えていく、という感じだろうか。
この前、勇者たちのデスゲームラノベ(面白かった!)を読んだことを思い出す。最近、何かと勇者がお辛い気がするが、その辛さを乗り越えてこそ、勇者は光り輝くもの。
主人公・高砂峰秀の情熱に、早く触れてみたい。
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