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【鬱屈飯】#3 サーロインステーキ

うっくつ-めし【鬱屈飯】
意味: 素晴らしいご飯が精神状態により憂鬱になってしまった飯。「鬱屈飯を食べる」「鬱屈飯になる」

食とは見た目、匂い、音、触感、そして味と五感全てで楽しむ素晴らしい文化であるがガラスハートの著者はメンタル状態によってはその五感が全て0になる。そんな日々の鬱屈としてしまった飯の紹介をするメランコリー食ブログ

大学生の頃の同期の女の子の結婚式に呼ばれたときのこと
僕と同い年の友達も結婚するのか…と本来は嬉しい気持ちでいっぱいの中に
自分の人生の焦りと、こんな年になっているのかという不安が駆け巡っていた春先のお話

普段ならば、その結婚式に呼ばれずにSNSで結婚式があったことを知り
家で適当に買ったお惣菜を鬱屈飯にするところですが、今回は呼んでいただけた。
これは良い料理に巡り会えるぞなどと思いながら挙式に向かいました。

当時通っていた大学のすぐ近くでの挙式だったため、
電車で大学に近づくにつれ当時の記憶が蘇る。
あんなバカなこともしたなーなんて思い出にひたりながら、頭の中では小さいころみた
【ドラえもん のび太の結婚前夜】のスネ夫にでもなった気持ちでいました。

式は14:00から
(このまま出たのでは空腹が騒ぎ出す。サクッとご飯でも食べて式に向かうとするか…)

そんなことを考えながら旧友達と合流し、いつも言っていた定食屋さんに入ることにしました。

(友達といるだけで、こりゃ鬱屈飯にはならないな…)

当時食べていた味となんらかわらない味で
少しだけ愛想の悪いおばちゃんがいつものように接してくれた。
当時は嫌だったけど今となるとすべてが愛おしく感じる。

「うまかったなー」

そろそろ挙式に向かおうとしていたときに気づきました…
ご祝儀がカバンの中の冷えたペットボトルのせいで

くっちゃくちゃになっているのだ。



(これは!渡せない!!)



僕の人間性からすればちょうどいい具合のご祝儀袋だが、さすがにこれを渡すわけにはいかない。僕の心の中の天使も悪魔も言っている!

「ごめん!あとから行くから先に行って!」

友達にそう告げ、コンビニでご祝儀袋を買うことにした。
急いで中身を入れ替え、猛ダッシュで式場に向かう。
受付の人も呆れた顔で、僕に案内状を渡し、階段を2段とばしで駆け上がっていく

肩で息をしながらゆっくりと式場に入ると
牧師さんが来場者に冗談を言っていたところでした。

誰にもばれないように一番うしろの席に座り、そっと息を整える。
すると牧師さんの合図で新婦がお父さんと腕を
組み後ろから入ってきました。

**来場者全員が一番うしろに座っている僕越しに新婦を見つめる。

止まらない汗!
美しい花嫁!
ジャケット越しでわかるにじみでる汗!
美しい花嫁!
止まらない汗!を拭う僕!
美しい花嫁!**

完全に来場者全員がその順番に目線をやっている。
今日の夜は完全に鬱屈飯だな…

そんなことを考えているとお腹がいたくなってきたんです…

(食べた後に走ったからだ…)
尻の筋肉に全力で力を込めながら挙式を無事終えました。

挙式が終わると披露宴がすぐ近くで始まる

(その前にお手洗いだ!!!!)


急いで駆け込み、無事にミッションをこなす。

**

するとみんながいない…**


完全においていかれた…
またダッシュで披露宴に向かう。

すると受付にも人がいない…

(これは…?)

スタッフの方に声をかけ案内してもらったところから式場のドアをあけると
来場者が盛り上がった。

前から新郎新婦が入場してきた!!!!


後ろからは汗だくの僕!
前からは美しい新郎新婦!

タイミングとしては
昔に流行ったような

**「ちょっと待ったーーーーーー!!!!」

のタイミングで入ってくる僕!!!!**


新郎新婦の関係者が後ろに多かったためにこいつ何者だ?といった顔でみられ
僕はそっと着席しました。

その日のメインとしてサーロインステーキがでてきましたが
ただのタンパク質の塊にしか感じませんでした。

みなさんは
披露宴には時間の余裕をもって、新郎新婦を祝ってください。

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