見出し画像

ヨハン・ノルベリ著『OPEN』:閉鎖性を打ち破り、未来を創造する

いまの日本人がもっとも読むべき本を見つけたので紹介します。

簡単にいうと、閉鎖的・排他的になると国や会社は終わるという本です。

はい、つまり日本が終わる国になるよ、日本の会社は終わる会社になるよ、と忠告している本です。

グローバリゼーション、移民、情報技術の発展など、かつてないスピードで社会が変化する中で、愚かな人や国は不安や恐怖を感じ、閉鎖的な方向に傾きがちになるが、それは危険だという本。

その名も『OPEN』という本です。

スウェーデンの歴史学者ヨハン・ノルベリ氏は、1万年の人類史を紐解きながら、「開く」ことができる人、組織、国家だけが生き残ると断言します。

閉鎖性や排他主義の誘惑に抗い、いかにしてオープンな社会を築き、未来を創造していくのか――。

本書は、そのための重要なことを教えてくれます。


著者 ヨハン・ノルベリ氏について

ヨハン・ノルベリ氏は、1973年スウェーデン・ストックホルム生まれの歴史学者です。

ストックホルム大学で歴史学の修士号を取得後、現在はワシントンDC拠点のシンクタンクで働いているそう。

彼の著作は25ヶ国語に翻訳されており、前著『進歩:人類の未来が明るい10の理由』は各国で高い評価を獲得し、『OPEN』と合わせて英誌「エコノミスト」ブック・オブ・ザ・イヤー賞を受賞するという快挙を成し遂げています。

スティーブン・ピンカー、マット・リドレー、ハンス・ロスリングらと並んで、歴史学、経済学、統計学、進化生物学などの知識もあり、ようは天才です。

『OPEN』が語る社会の真実

『OPEN』は、オープンであることの重要性を、歴史、経済、社会、文化、心理学など、ありとあらゆる科学的視点から解説した本!

ノルベリ氏は、オープンな社会はイノベーションを生み出し、繁栄と平和をもたらす一方、クローズドな社会は停滞と衰退を招くと主張します。

これは、オープンな社会が、多様な視点やアイデアの交換を通じて、適応力と問題解決能力を高めることができるためです。

オープンであること:社会を進化させる力

ノルベリ氏は、オープンであることを、要素から捉えています。面白いので紹介しますね。

  • 交流

古代ローマ帝国は、地中海世界を結ぶ広大な交易ネットワークを築き、人、モノ、情報の活発な交流を通じて繁栄を極めました。

これは、現代社会におけるグローバリゼーションにも通じる重要な要素です。

  • 多様性

多様な文化や価値観が共存する社会は、新しいアイデアや発想の源泉となります。

例えば、ルネサンス期のフィレンツェでは、異なる分野の芸術家や思想家が集まり、互いに刺激し合うことで、文化的な黄金時代を築き上げました。

  • 科学

科学の発展は、客観的な証拠に基づいた真理の探求と、自由な議論によって支えられています。

ガリレオ・ガリレイは、当時の権威に挑戦し、地動説を唱えることで、近代科学の扉を開きました。

  • 自由な社会

個人の自由と権利が保障された社会では、人々は自由に発想し、創造性を発揮することができます。

アメリカ合衆国は、言論の自由、信教の自由、経済活動の自由などを保障することで、世界的なイノベーションの中心地となりました。

クローズドであること:社会を蝕む影

一方、クローズドであることは、社会の発展を阻害するだけでなく、様々な問題を引き起こします。

  • 部族主義

人類は進化の過程で、自集団を優先し、他集団を排除する「部族主義本能」を身につけてきました。

これは、国家間の対立や民族紛争、さらには現代社会における排他的なナショナリズムや差別にもつながる危険な傾向です。

  • ゼロサム思考

「誰かが得をすれば、誰かが損をする」というゼロサム思考は、人々の協調を阻害し、社会全体の利益を損ないます。

しかし、経済は実際にはプラスサムであり、自由な競争と協力によって、全体のパイを大きくすることができます。

  • 将来への不安

変化を恐れ、「昔はよかった」と過去を美化する傾向は、社会の進歩を妨げます。

新しい技術やアイデアを受け入れることこそ、未来を創造するために不可欠です。

  • 未知のものへの恐れ

人は、未知のものや不確実な状況に対して、本能的に恐怖を感じます

これが、新しい技術や文化、移民などに対する拒絶反応につながり、社会の閉鎖性を招く一因となります。

  • 強いリーダーへの依存

社会が不安定になると、人々は強力なリーダーシップを求める傾向があります。

しかし、これは時に権威主義や独裁主義につながり、個人の自由や権利を脅かす可能性も孕んでいます。

現代社会における「オープン」と「クローズド」

ノルベリ氏は、現代社会においても、「オープン」と「クローズド」の戦いが続いていると指摘します。

グローバリゼーションの進展は、経済成長や文化交流など、多くの恩恵をもたらしましたが、同時に、格差の拡大や雇用の喪失、文化摩擦など、新たな課題も生み出しました。

これらの課題に直面し、人々は不安や不満を抱き、排他的なナショナリズムや保護主義といったクローズドな考え方に傾きがちです。

さらに、インターネットやSNSの普及は、情報へのアクセスを容易にした一方で、フィルターバブルやエコーチェンバー現象を生み出し、人々を異なる意見や価値観から隔離する可能性も指摘されています。

しかし、ノルベリ氏は、このような状況においてこそ、オープンであることの重要性を強調します。

私たちは、変化を恐れず、多様な意見や価値観を受け入れ、対話を通じて相互理解を深めることで、課題を克服し、より良い未来を創造していくことができるのです。

重要なのは、「偽オープン」の罠に陥らないことです。

これは、一見オープンな態度を取りながら、実際には自分の信念や価値観に反する意見を排除する、欺瞞的なオープンさを指します。

真にオープンであるためには、常に自己批判的な精神を持ち、異なる意見にも耳を傾ける謙虚さが必要です。

どの考えの人にもおすすめ

この本、自らの「オープン性」について深く考えるきっかけを与えてくれます。

  • オープンな社会の重要性を認識している人

本書は、歴史的な事例やデータに基づいた論証によって、彼らの信念をさらに強固なものにすると思います。

 また、現代社会における「偽オープン」の危険性や、オープンであるための心構えなど、新たな視点も提供してくれるはずです。

  • クローズドな考え方に共感する人

彼らにとって、自らの考え方を問い直す機会となると思います。

ノルベリ氏の提示する歴史的事例や論理は、クローズドな社会がもたらす負の側面を浮き彫りにし、オープンな社会の利点について再考を促すかもしれません。

  • 中立的な立場にいる人

オープンな社会とクローズドな社会のメリットとデメリットを客観的に理解する上で役立ちます。

現代社会における様々な問題を、「オープン」対「クローズド」という視点から分析することで、より深い洞察を得ることができると思います!

本の特徴

  • 豊富な歴史的エビデンス

 ノルベリ氏は、古代ローマから現代社会まで、幅広い歴史的事例を駆使して、オープンな社会の優位性を論証しています。

  • 多角的な視点

歴史学だけでなく、経済学、社会学、心理学、進化生物学など、様々な学問分野の知見を総合的に用いて、オープンであることの重要性を多角的に分析しています。

  • 明快な論理

複雑な問題を分かやすく解説し、読者を納得させる論理展開が魅力です。

  • 未来への希望

 閉鎖性や排他主義が蔓延する現代社会において、オープンであることへの希望を提示しています。

メリット

  • オープンであることの重要性を深く理解できる

歴史的な事例やデータに基づいた論証により、オープンであることが個人、組織、国家の発展に不可欠であることを納得できます。

特に、知的自由と批判的思考を育む土壌としてのオープンな社会の重要性を認識することができます。

  • 現代社会の課題を新たな視点で見つめ直せる

 グローバリゼーション、移民、情報技術など、現代社会の様々な問題を、「オープン」対「クローズド」という視点から分析することで、新たな理解を得られます。

  • 未来への希望を持てる

閉塞感が漂う現代社会において、オープンであることによって未来を切り拓くことができるという希望を与えてくれます。

また、オープンであるためには、部族主義やゼロサム思考といった、人間に根深く存在するバイアスを、意識的に克服する必要があることを教えてくれます。

結論

まとめると、ヨハン・ノルベリ『OPEN』は、オープンであることの重要性を、歴史、経済、社会、文化、心理学など、めっちゃ多くの角度からどれだけそれが重要かを書いています。

グローバリゼーション、移民、情報技術の発展など、社会が大きく変化する中で、閉鎖性や排他主義といったクローズドな風潮が強まっています。

しかし、ノルベリ氏は、歴史的なエビデンスと明快な論理によって、オープンであることこそが、これらの課題を克服し、より良い未来を創造するための鍵であることを示しています。

本書で提示される「オープン」対「クローズド」という視点は、現代社会を生きる私たちにとって、様々な問題を考える上で重要な枠組みとなるでしょう。

そして、ノルベリ氏の力強いメッセージは、閉塞感を打ち破り、未来を創造していくための勇気を与えてくれるはずです。絶対読んだ方がいい。

いいなと思ったら応援しよう!

おすすめの本を紹介しまくる人
いただいたサポートは全て次回の書籍に充てられます。また次回の記事の最後に『謝辞』として、あなたのnoteを紹介する記事を追加させていただきます。