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ジャスミンティータイム
2024年11月23日 20:29
#11 都会の夜三年間勤めた東京の会社を辞め、実家のある信州へ帰ることにした。今夜は同僚に、おしゃれな洋風居酒屋で送別会をしてもらった。スタートアップの活気ある会社、若いパワーにあふれていて、個性的な人たちの集団。でもどこか溶け込めない、部外者のような、そんな感じのする場所だった。みんないい人だったのに、なぜなんだろうね。夜になると真っ暗で、月と星しか見えない田舎と違って、都会は夜も動いて
2024年11月21日 17:38
#9 僕の彼女彼女いない歴15年、32歳の僕に彼女ができた。高校生の時に初めて女の子とつき合って、強烈なふられ方をして以来、女性が苦手を通り越して怖くなった。そんな僕の心のバリアを壊してくれたのが、10歳年下のカオリンだった。若いのに苦労していて、しっかり者だった。しかもルックスが僕の推しのアイドルグループのアイちゃんにちょっと似ている。彼女のお陰で、平凡で退屈な僕の毎日は輝き出した
2024年11月19日 16:54
#7 マリーゴールドタカシ君は、あいみょんが好きだった。ドライブではいつもあいみょんが流れていた。特に好きだったのは、『マリーゴールド♬』いつもふたりであいみょんと一緒に歌ってた。タカシ君はちょっと音痴で、よく音がはずれてた。ふたりで笑いあいながら歌ってたあの頃。未来なんかこわくなかった。幸せだった。何がタカシ君を変えてしまったんだろう。彼はある日突然
2024年11月20日 12:42
♯8 マジックアワーカナと私は親友だった。高校の同じクラスで、吹奏楽部も一緒。部活終わりは、よくふたりで河原の土手に座って夕焼けを見た。「この時間帯って『マジックアワー』って言うんだって。魔法みたいに空の色が変わってすごくきれいだよね。私、この時間が一番好き」ってカナは話していた。カナは活発で、明るくて、おもしろい子だった。カナといるときが、一番楽しかった。いろんな話をして、笑
2024年11月16日 18:37
#4 せつ君体が弱かった私の初めての友だち、せつ君。こども病院で、優しかったひとつ上のお兄ちゃん。入院したばかりの私にいろいろおしえてくれた。折り紙が上手だった。私が退院するとき、「おめでとう、はいプレゼント」って私に折り紙のヒマワリをくれた。病院の玄関まで車椅子で見送ってくれた。「みいちゃん、元気でね」笑顔でそう言ってくれた。3日後、「せつ君、亡くなったって」
2024年11月18日 19:49
#6 夕焼け君と一緒に見た最後の夕焼けは本当にきれいだった夕焼けを見るたびに君を思い出す君との思い出が繰り返されるでも君はもういない曼殊沙華が咲く季節に永遠に手の届かない遠いところへ行ってしまった君とした約束を果たせなかった高原の教会白いドレスの君バージンロードの先の祭壇の前で待つ僕思い描いた未来は閉ざされた君のいない空虚な世界を僕
2024年11月17日 20:30
#5 放課後の教室放課後だれもいない教室あなたの机にそっと触れてみる好き知ってる片思いだってわかってるあなたが好きなのはあの娘一方通行の恋でも私の気持ちはとめられない人を好きになるって幸せだけど苦しい
2024年11月15日 18:16
#3 細く頼りない糸は切れた「申し訳ありません」いつも堂々としていてダンディーだった彼。あんなふうに汗をかきながら謝っている。テレビ画面の中。フラッシュがたかれ、容赦ない質問が浴びせられる。「妻に申し訳ない」そう聞こえた。遠い人になった。細く頼りない糸は切れてしまった。覚悟していた。愛してはいけない人を愛してしまったのだから。後悔はしていない。せめて別れの言葉
2024年11月14日 16:06
#2 最後の電話 そうなる予感はしていたのに、そんなはずはないって思いたかった。「もう俺たち終わりにしよう」電話から聞こえた別れの言葉。そんなはずない。夢だって思いたかった。私達の四年間は何だったの。嘘だと言って。「ごめん。今までありがとう」そんなこと、言わないで。「うん」私、何言ってるの。嫌だ、別れたくないってどうして言わないの。プライド? そんなもの..
2024年11月13日 22:54
#1 秋雨秋雨が降る、肌寒い放課後。ひとつの傘に入って帰って行く、チャコとゆう君の後ろ姿。ゆう君が優しいのは、私がチャコの親友だから。でも、あまり優しくしないでね。辛くなる。天気予報は曇りだったから、私、傘を持ってこなかった。濡れて帰ろう。雨は空の涙だって誰かが言ってた。