仲谷龍之丞
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あくまでアマチュア書評集 “ワケあって未購入です” #15 『私の頭が正常であったなら』 山白朝子 (2018年、角川書店)
初めて読む作家なので、図書館で借りてお試し。最初に断っておかなくてはならないが、私は「山白朝子」が乙一氏の複数のペンネームの一つである事を知らずに、本書を手に取った。 そして私は、乙一氏の著書もまだ読んだ事がない。なんとなくではあるが、自分には肌が合わないのではないかと思っていたからだ(その予想が外れる事ももちろんある)。そうなると当然、好きな作家や興味のある作家が優先になってしまう。 この作家は肌に合わないのではと思って手に取らないできた一方、興味あるかもと思って手に取
あくまでアマチュア書評集 “ワケあって未購入です” #14 『夜ごとのサーカス』 アンジェラ・カーター 訳:加藤光也 (2000年、国書刊行会)
19世紀末のロンドン。翼をもった空中ブランコ乗りフェヴァーズが、アメリカ人ジャーナリストに生い立ちを語りはじめる。卵からの誕生、売春宿での少女時代、秘密クラブでのフリークショー。舞台はロシアのペテルブルクからシベリアへ。奇想天外なファンタジー。 アンジェラ・カーターは、どちらかと言えば好きな作家である。お気に入りとまではいかないが、邦訳された本の多くは興味を持って読んでいる(廃刊で入手できない本も数冊あり)。 とはいえ、そもそも一筋縄では行かない、癖の強い個性派作家だし、
あくまでアマチュア書評集 “ワケあって未購入です” #12 『深泥丘奇談』 綾辻行人 (2008年、メディアファクトリー)
初めて読む作家なので、図書館で借りてお試し。売れっ子ミステリ作家である著者が、怪談専門誌「幽」に短篇創作怪談をと依頼されたものをまとめた連作短篇集。著者は当初、雑誌創刊のお祝いで1作だけ書いたつもりが、掲載誌で「連作1」となっていて驚いたと、あとがきにある。 このコーナーを既に読まれている方はご存知の通り、私はミステリが苦手なので、綾辻氏の本は読んだ事がない。氏は特に、私の苦手な新本格の系列のようだからなおさらである。しかし本書は京都の、それも私のような関西人にはそれなりに
あくまでアマチュア書評集 “ワケあって未購入です” #11 『氷三部作1 ブロの道』『氷三部作2 氷』 ウラジーミル・ソローキン 訳:松下隆志 (2015年、河出書房新社)
初めて読む作家だったが、帯の惹句が面白そうすぎて買ってしまった(そしてネットオークションに出品してしまった)2冊。特に前者の推薦文。「アヴァンギャルドから物語の最前衛へ。ソローキンにしか書けない超絶スペクタクル小説。憧れる」(中原昌也)、「そこの肉機械のあなた、ソローキンさんが世界の成り立ちをわかりやすく書いてくれましたよ、肉機械用に」(藤野可織)。私好みである。そりゃ買うわ。 ちなみにこの2冊、刊行順は逆である。先に『氷』が書かれ、その後に『ブロの道』が発表されている。ブ