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【短編小説】帰りたい場所、捜索願。

夕暮れ時。
日が落ちていく中、
僕はとある場所を探していた。

どうすれば、
このステキな夕暮れを、
自分の中の世界観を、
伝えることができるだろう。

言葉で言い表すことができないわけではない。

ただ、どのような表現をしても、
どこかしっくりこないのだった。

しっくりこないのは、
伝えたい内容も、表現も、
自分の世界観だけで創作されていて、
新たな視点が得られないことが
要因だと感じている。


別の視点がほしいと思った時。
もっとのびのびと創作がしたいと思った時。

このように路頭に迷うときは、
必ず、書き手仲間のとある女性から聞いた 
不思議な話を思い出す。


その話とは、ざっくりまとめると、
こういうものだった。


*―*―*

自分の表現や紡ぎたい言葉を迷いながら歩いていたら、暗闇の中を一本の道が照らされた。

導かれるがまま進んでいくと、とある建物にたどり着いた。

そこは、どうやら喫茶店らしく、その建物中では、なんのはなしかわからない話で盛り上がっているが、店のオーナーがなんともステキなお話に落ち着かせていく。

そこでは、一杯のコーヒーを飲んだ。

休んで帰っていた時、夜空から言葉のカケラが降りてきた。

*―*―*


現実に、そんなことあるのだろうか?

どこかファンタジー的要素を感じるものの、
この話を教えてくれた時の女性の表現は、
なんともリアルなものだった。


僕も、そんなステキな場所に行ってみたい。

そう思うようになってから、既に久しいのだが、
未だにたどり着けていない。

喫茶店のある場所が、わからないのだ。
これは、かなり致命的な問題である。

女性が、喫茶店の場所を
教えたくないのか。
本当に覚えていないのか。

オーナーさんとお話したことも、
コーヒーの味や香りも、
その前後の出来事も、
全て鮮明に覚えているようなのに、
そこに行くまでの道順に関する情報の部分だけ、
記憶が欠けているようだ。


最初は、僕に教えたくなくて
はぐらかしているのかと思ったが、

行ったことのある本人が、
「帰りたい場所に、帰れない」
と困惑しながら話している様子を見ると、
喫茶店の行方は
本当にわからないのかもしれない。



女性が感じたあたたかさを感じられたら、
いま僕が表したいことも
言語化できるのだろうか。

物語が湧き上がって来るのではないだろうか。

あの場所に、行ってみたい。

一度も訪れたことのない場所に対して
これほどまでに出逢いを願うことがあるなんて、
僕の辞書には、載っていなかった。


場所も、オーナーの名前もわからない
そんな喫茶店について、
捜索願を出そうかと思ったこともあったが、
受理してくれなさそうだったし、
迷宮入りするのがオチだと思ったから
もちろんやめた。



そう思っていたある日、
道端で、女性とばったり出会った。

喫茶店の行方を尋ねてみたら、
このような返事が帰ってきた。


「いいえ、まだ…。
心から帰りたい場所なのに、
見つけられていないの。
想いばかり溢れて、
よく、あの日と同じ道を歩いて、
探してはいるんだけど。
わたしの物語も、あの日から
止まってしまっている気がするのよね」

今度一緒に探そうよ。
それだけを伝えて、その時は別れた。

女性も落ち込んでいたけれども、
新しい情報が得られなかった僕も
落胆した。

どこかわからない…
見つけられない…
やっぱり幻想なのかな〜。

見つけられなくても、
これほどまでに人を魅了する喫茶店って、
どんな場所なんだろう?

これから、長丁場になりそうだなぁ。

不思議な喫茶店に思いを馳せながら、
僕は、今日も、言葉のカケラを捜しに
歩き続けるのだった。


《おわり》


※こちらは、以下の短編小説の
スピンオフストーリーです。


あとがき


こんにちは。RaMです。

数あるnote記事の中から、
こちらの記事を目に留めてご覧くださり、
本当にありがとうございます😊


山根あきらさんの企画に
参加させていただきたく、
物語を書いてみました。

山根あきらさん

いつもステキな企画を
ありがとうございます。

参加は、ご無沙汰しておりました。

どうぞ、よろしくお願いいたします😌


さて、本文の末尾にも記載をしておりますが、
今回のお話は、
先に投稿していた短編小説の
スピンオフストーリーです。


自分の短編小説から流れを受けて
書いてみたのは、初めての試みです。


まさか、続編を書くと思っていなかったので、
この展開(発想)になったことは、
自分でも、大変おどろきました。


安定の、なんのはなしかわからない
モヤッとした物語。

お楽しみいただけましたら幸いですが、
#なんのはなしですか
という万能タグをつけさせていただいているので、
逆の場合でも、きっとおもしろく感じるはずです😂

コニシ木の子さん
後は、どうか、お願いいたします!✨


#青ブラ文学部
#5月26日まで
#帰りたい場所
#なんのはなしですか



最後までお読みいただき、
ありがとうございました!

スキ・コメント・フォローなどいただけると、
大変励みになります。


ここまでお読みいただいたあなたに、
幸せが訪れますように🍀

また次の投稿で、お会いいたしましょう。


*--*--*--*--*--*--*--*--*

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