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#63 病み期こそ創るとき
誰だって落ち込むときや、メンタル状態がよくないことはある。
もちろん僕も例外ではなく、1年に何度かそういう時期が訪れる。
僕はこれを、「病み期」と呼んでいる。
原因はさまざまだ。
凡ミスを繰り返したことで病むこともあるし、季節の変わり目によって体が着いていけずに、心が病むこともある。
メンタルが落ち込む時期なので、当然ながらしんどい。
けれど僕は、病み期に一つの価値を見出していた。
病みは、創作の大いなる材料になるという価値だ。
病んだ気持ちは、形にできる
上記の記事で、2年前に適応障害になりかけた経験を書いた。
そのとき、たまたま図書館の掲示板に貼ってあった地元の文芸誌の募集要項が目に留まり、1週間弱で小説を完成させたのだ。
これこそ、病んだ気持ちを材料にした経験である。
そのとき、僕は日々自己嫌悪に陥っていた。
無理もない。
意気揚々と転職活動に挑み、自分の中では納得いく会社に入れたはずなのに、結局メンタルが落ちてしまって、1か月でリタイアしたのだから。
自分は社会に合わない人間なんだ。
自分は社会に不必要な人間なんだ。
いなくなってしまいたい。
いなくなった方がいい。
そんな病んだ気持ちの向かう先が、たった1枚の募集要項で、自分自身ではなく小説へと向かっていった。
その小説は、「自殺」をテーマに書いた。
まさしく今自分が抱えている鬱屈した気持ちを、小説の主人公に投影したのである。
そして書き上げたとき——
重い曇天だった僕の心に、一筋の光が射した心地がしたのであった。
トンネルを抜けたからこそではあるけれど、
そのとき僕は、自分の心の病みを愛することができた。
病みがあったおかげで、僕は創作活動ができたのだから。
アーティストから見る病み期の重要性
世のアーティストの中にも、病み期を経て素晴らしい作品を出している例がいくつかある。
今回は、僕の好きな音楽を例に取り上げていきたい。
1.Mr.Childrenの場合
ジャケットを見ただけでも、「暗い」というのがわかるだろう。
突如あまりにも有名になってしまい、その環境変化にメンタルが落ちてしまったメンバーの状態がありありと作品に反映されている。
しかし、それがアルバムに1つの統一した世界観を創り出しており、ミスチルの中でも屈指の名盤として評価が高い。
本人たちにはとても辛い時期だったと思うけれど、それがあったからこそ生まれた素晴らしい音楽だと僕は強く思う。
2.BUMP OF CHICKENの場合
尋常ではないハードスケジュールで作られたとされるアルバムである。
アルバム制作時の自分たちの状態から「生ける屍」と名付けたのだという。
だがその苦労は、こうした名盤完成として実を結ぶ。
ちなみにこれより後の名盤「orbital period」発表時にテレビ出演していたボーカルの藤原さんは完全に病んでいた(ように見えた)。
ストレートな長髪と無精ひげにげっそりした顔は、まさしく上記の「THE LIVING DEAD」のジャケットに描かれた男のようだった。
3.Nirvanaの場合
アメリカ屈指のグランジバンド・Nirvana最後のオリジナルアルバム。
アンダーグラウンドで活動していたのに、尋常ではなく売れてしまったことに対し、ボーカルのカート・コバーンは自己嫌悪に陥ってしまった。
その結果、原点回帰として作られたこのアルバムの音は非常に刺々しい。
けれど、確実に洗練された素晴らしいロックアルバムになっている。
鬱屈した気持ちを音楽にぶつけまくった、そんなアルバムである。
このように、偉大なアーティストも病んだ心を、創作に注ぎ、こうして素晴らしい作品を残している。
病むというのはとても辛いけれど、自分の中から何かを放出するための大事な状態なのかもしれない。
noteは病み期を活かせる場所
当然ながら、noteに挙げられる数多の記事だって作品である。
だから、落ち込んだ心、病んだ気持ちというのを思い切りぶつけられる場所であるともいえる。
僕にも、病んだ気持ちをぶつけて書いた記事はいくつかある。
noterの方の中にもメンタルが落ちてしんどいという人はいると思う。
そういうときは、無理せずにまずは休んだ方がいい。
メンタルが落ちることも、病むことも決して悪いことではない。
そして、もし少しでも動く気力が湧いたとき。
その病みが、いい文章、いい記事という形を作ってくれるかもしれない。
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