EP.27 幹部メンバーによる若手1on1トレーニングで店長育成へ
いつもお読み頂きありがとうございます。今回は、EP.24 異例の採用面接で強力な幹部メンバーを加え、全国展開へ大躍進!から連なるエピソードとなります。こちらもご確認ください。
さて、全国初の入浴特化型3時間デイサービス「いきいきらいふSPA」の全国展開に向け新規出店を加速。そうなると自ずと店長(管理者)の採用や育成が急務となっていきます。新店の成否は、この店長によるとことが大きい為です。そこで、幹部メンバーとスタートさせた奇策は⁉今回は、そんなお話です。
◆新業態モデルの新規開設の成否を握るものは?
優秀なビジネスパーソンメンバーを幹部に加え、2012年から本格的な店舗展開を開始。新規店舗の開設には、資金調達、物件確保、店舗開発、認可申請、人材確保、営業活動、オペレーショントレーニング等、成功の為には多岐にわたります。これらすべてがノウハウとなり、標準化(誰がやっても一定の成果がでる状態)できてはじめてチェーン展開が可能になります。
大事なポイントは、標準化にあります。各テーマごとに標準化することが必要ですが、この辺を綴り始めると長くなるのでそれはまたの機会にします。そんな中、特に大変なのが人材確保、それも成果が作れる店長採用もしくは育成が急務でした。
先にご紹介したように入浴特化型短時間デイサービスは、業界初、全国初となる新業態モデルであり、これまであったデイサービス運営とは全く異なるノウハウを確立していました。
これまでのトライアル出店で他社でデイサービスを経験したメンバーは、ことごとく成果をつくることができない結果となっていました。他社でつくれた成果の経験が、このモデル運営では逆に足を引っ張る形に・・・。それほどまでにニーズに訴求したデイサービス運営は、集客営業、スタッフ教育、オペレーションコントロール、計数管理が全く異なったものだったのです。
もちろん、フランチャイズ(FC)方式で加盟店を募っていた以上、管理者含めた育成プログラムはありましたが本部サポートをなくしてよい状態を維持するには相当の時間と努力が必要でした。お客様のニーズに応えるために出店を加速していくには、より早く確実な育成手法が必要であることが課題にあがり、幹部会議であれこれとディスカッション。育成事例を集める意味でも、様々な育成方法を同時に行うことにしたのです!
◆幹部による1on1トレーニング⁉
早期店長育成は、他社での余計な経験がない入社1年目の新卒~入社3年目までの若手メンバー5名ピックアップ。一人ずつ話をして、参加意思の確認を行った後、幹部メンバー(副社長、人事部長、管理部長、直営事業部長、FC開発責任者)で担当決めです。当時、副社長となっていた私は、新卒1期生(入社2年目)の自分が人事担当として採用した子を受け持つことに!
ここからが面白いとこです。新規店舗の店長は、この若手5名から選ぶことにしていたので3カ月間のトレーニング後、ペーパーテストの結果と幹部メンバー全員の前でのプレゼンテーション試験で決まることにしました。
そして育成・トレーニング方法は自由!幹部メンバーは、それぞれ自己流の方法(関わる頻度、やり方、すべて自由)で行い、すべては結果のみで判断することになりました。つまり、幹部自身も部下の育成能力や覚悟が問われる形をとったのです。育成内容については、共有されることはなく、担当する若手メンバーとの握り合いの仕方も成否の鍵を握る大きなウエイトを占めることになります。
担当が決まったので、行動開始です。すぐに本人と連絡を取り合い、期待の合意にとりかかります。
「次の新店の管理者候補になったのは知ってるね。これから3カ月のトレーニングに入ります。君の担当は私です。やるからには、手は抜けない!本気でやるけど、辞退するなら今だよ。どうする?」
採用・育成と当人をずっと見てきて断るわけがないことはわかっていましたが、ここは合意形成。改めて意思の確認を行いました。
「やります!副社長に恥をかかさないように全力でついていきますので、よろしくお願いします!!」
この一言が嬉しく、何よりも大事な時間でした。もちろん、1on1トレーニングとは言え、通常業務もあります。通常業務の手を抜くようなメンバーを管理者にするわけにはいきませんので、業務外でのコーチング実施となりますので、複数のメニューを準備。そして、通常業務での悩みや課題も併せてコーチングすることで店長育成プログラムに集中させる形をとりました。副社長直とは言え、通常業務にはきちんと上司がいます。組織コントロールの上では、この上司の立場も作ってあげなければ元も子もありません。
ここから3カ月間、私の育成ノウハウを駆使したトレーニングが開始されました。
◆肝は日々の関り、毎日コミュニケーション!
私が実施したトレーニングメニューは次のようなものです。
・毎朝、出勤中メールでの目標設定および活動宣言(1日分)
・毎夕、日報メールと目標達成状況の確認
・週2日、業務後のコーチング(課題確認と解決プラン)
・週末課題で知識追加と反復勉強
これらを店長になるために必要な手順でティーチングとコーチングを繰り返します。関わるこちらもタフでないと務まりません。そして手を抜けば、それはすぐに相手に伝わります。1日も欠かさずに毎日毎日メールのやりとりが続きました。
業務後コーチングの中では、本人の問題や課題を包み隠さずテーブルに上げてもらうので、上司との関係がよくないことや、苦手意識のあるお客様とのかかわり方などもすべて打ち明けてもらい、対策に乗り出します。
店長になるためには、介護保険の知識はもちろん通所介護実務、集客営業、オペレーションコントロール、人材マネジメントなど多岐にわたります。介護未経験、新卒2年目になったばかりの子にはとてつもなく酷な状況でした。
◆最年少店長誕生!
1カ月、2カ月と過ぎ、3カ月目の中旬頃には、私の作ったペーパーテストに合格。晴れて幹部面談に向けたプレゼンテーションの練習に入りました。
最終幹部面談当日、本人はメチャクチャ緊張していましたが、どんな店づくりをしていくのか発表し、店長としての意気込み伝えていきました。
そして、・・・、幹部審査の上、晴れて合格!次の店舗管理者として選出されたのでした。これは、当時の記録としては最短1年4カ月、最年少店長の誕生でした。
ただ、これには裏話がありまして・・・。
他の幹部メンバーのトレーニングが上手くいっておらず、管理者にできるのは私の担当した子だけだったのです。新規出店は計画通り進んでいて、店長はこの取組から選出すると決めていたのでポシャるわけにはいきませんでした。
とは言え、私は手を抜いていないので実力で勝ち取ったことに変わりはありません。その後、オープン準備を経て、周囲のサポートもありながらオープン初月の売上については歴代1位を維持し、今だ抜かれていない記録を打ち立てました。
早期育成プログラムの事例を集めるはずが、成功事例が1つだけ。但し、私の中で人の成長に必要な要素を明確化できた出来事です。この経験をもとに次にさらなる無謀な取り組みが始まることになるのです。その話は次の機会に!
さて、今回のエピソードでは、どんな気づきがありましたでしょうか?
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