想いたいなら、想いましょう
昔も昔、好きな人が女性だった。
男の子みたいなまっすぐな黒髪にショートカット。
男の子みたいな、ちょっと低くてハスキーな声色。
変な子だった。
僕たちは図書室で出会った。
美術室で出会った。
驚くぐらい美しい絵の中で出会った。
・・・どうしようもないな。
***
僕は私になりたくて、私は僕になりたくて
そんなバカみたいな話もどうでもよくて
容姿を変えても、駅前でたくさんティッシュをもらう。
花粉ひどいから、まぁよかったとか思って。
鼻かみながら、明日また「じぶん」に近づくんだと思って。
***
毎月血が出るのは、しんどい。
一家の大黒柱とかも、しんどい。
***
オトコとかオンナとか、
XXとかXYとかも、しんどい。
***
僕は何もできないし、私も何もできないし
中途半端なところに落ちて、
都合よく性別で仕分けされて、
だったらできるだろとか、なんでできないんだとか、
そういうのも、しんどい。
***
男になれない私たち
女になれない僕たち
それを否定されるのは、しんどい。
***
生きてるだけ。
ただ生かされただけだから
次に目が覚めた時には、「ただ好きな人」の隣にいるんだ。
それが希望なんだ。