#日記
【読書録】アレクサンドル・ジノヴィエフ『カタストロイカ』3 半年続けた読書の散漫な雑感
やっと読み終えることが出来たが、余りはっきりした感慨もない。前回に、騙されたと書いた通り、何というか、真剣な読書ではなかった。が、それなりに得るところもあった。
そもそもこの本を手に取ったのは、これもここで取り扱った気がするが、西谷修という人が、本の中でこの本について触れていたことからだった。どういう文脈かというと、ロシアやソヴィエトとして括られているこの地域のこの政治体は、一般に言われてい
【読書録】フーコー『精神疾患とパーソナリティ』4(終) 驚くべき二つの「効果」と一つの「操作の結果」
フーコー節、とでもいうような、独特の語法があると、昔から思っていた。曰く、今はこれこれという観念が常識となっているが、それは通時的に自明なものではなく、○○年代に起こったこれこれの出来事の効果であった、など。
今回、『精神疾患とパーソナリティ』を読み直して、初読では気付かなかった、というか、今までその初読の、途中まで読んだ時に抱いたイメージをそのまま引きずっていたのでわからなかった点が二つあ
【読書録】フーコー『精神疾患とパーソナリティ』3 あっけなく行われるフロイト精神分析の要約と乗り越え
フーコーの『精神疾患とパーソナリティ』を、さらに読み進めている。
フロイト理論の要約と問題点の指摘が、スピーディに、的確に行われていることに驚く、これは、やはり、前に一読した時には気づかなかった点である。
フロイトの、初期の、と言っていいのか、分析の仕組みは、精神の構造の発展史的記述、人は生まれてから何期と何期があって、そして、それが一番外の膜で覆われてはいるが、実は見えないだけで今まで
【読書録】プルードン『貧困の哲学』2
そこで私に言わせてもらえば、普遍的な理性とは、昔のひとびとが神と呼んだものを近代的な用語であらわしたものにすぎない。ことばはあたらしくなった。しかし、それでものごとがわかったのだろうか。
(プルードン『貧困の哲学 上』平凡社ライブラリー、18p.)
「理性=神」とは、よく聞く話ではあるが、改めてグッと来た。フランス革命のときに、神を廃棄し理性を信仰するといって、「理性の祭典」なる祭りをやって色々
【読書録】プルードン『貧困の哲学』
全くの偶然から、この本を手に取った。少し噂は聞いた気がするけれども、どういう哲学者というイメージもなかった。
著者略歴を見てみる。
十九世紀を生きた、貧しいが独力で学問し、トルストイに『戦争と平和』を書かせた哲学者。
なるほど。わかったつもりになる。
数ページ読み進めてみた。この時期の哲学者に向かって言うのは酷だが、今の所、全くキリスト教的世界に向けてしか喋っていないと感じる。中国に対し