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前回の続きです。


今回は、人を責めたり、キレたりするのは、実利という点から言っても、百害あって一利なしなんですよ、ということをお話したいんですが、
 

まず大前提として、キレる、責める、詰めるという行為は、人間関係においては「攻撃」なんですね。
 
 

攻撃されると守りに入るという身体の仕組み。

 

人間のキレるは、野生動物でいったら、殴る、蹴る、飛びかかる、引っ掻く、噛みつく・・・と同じ。
 
 
攻撃なんです。
 

だから、された側は、どうしても防衛本能が働いてしまうんですね。
これは、本能であり、生理学的に自然な反応です。
 

攻撃されたと感じたとき、わたしたちの自律神経は、交感神経が優位になります。
 

心拍数が上がり、呼吸が早くなり、血流がめぐり、筋肉が収縮して、闘うか、逃げるか、自分を防衛するために必要なエネルギーを身体の中で生産します。
 

たとえば、こんな熊に出くわしたら・・・



まぁ、闘うという選択は難しいかもしれませんが、
(森のくまさんの歌はホラーだと思ってる)
 

「逃げようかしら~、闘おうかしら~」なんて悠長に考えている場合ではありませんから、
 
 
思考の働きは抑制され、身体が直感的に反応するようにできています。
 

いわゆる頭真っ白、無我夢中の状態。
つまり、命を守るために、落ち着いて考えてなどいられないようにできてるんですね。
 

そして、
 

最終的に、逃げることも、闘うこともできないときわたしたちは、凍りつきを起こします。
 

思考も身体も完全フリーズ、筋肉は硬直し、脈拍も血流も呼吸も低下し、身体感覚が遠のきます。
(解離と言います)
 

これ以上、恐怖や痛みを感じないように・・・
(天然のモルヒネ、神様からの最後のギフトという人もいます)
 

では、相手が猛獣ではなく、人間同士だとどうなるか。
 

①闘う:やられたらやり返す→闘争、反抗

②逃げる:無視、関わりを断つ→冷戦、回避

③凍りつく:無感情、無気力、言いなりになる→うつ、従属
 

といったところでしょか。
(グラーデションがあるので明確にはわけられません)
 

多くの場合、①と②を行ったり来たりしているうちに、問題が長期化し、関係修復が難しくなります。
 

さらに③まで行くと、修復にはより時間がかかるようになります。
心身に不調をきたしている可能性が高いからです。
(元気にやり合っているうちが華?かもしれません)
 

Aさんの夫も、
・DV、モラハラ妻だと反撃(①闘争)

・まるで拗ねきった思春期の少年のような態度(①反抗)

・家庭内別居のような殺伐とした空気(②冷戦)

・無感情、心が離れていく、表情が死んでいく(③凍りつき)
 

①と②を行ったり来たりして、③のフェーズに足を踏み入れつつあるのがわかりますね。
Aさん自身も同様です。
 

だけど、野生動物ではないわたしたちには、本当は、第四の選択肢がありますよね。
 

お互いを尊重して冷静に話し合うという選択肢が。
 
 

お互いを尊重して冷静に話し合うが難しい理由。

 

本当は、Aさんだってそうしたかったはずなんですよ。
 
 
というか、わたしたちは、いつだってそうしたいと願っている。
それが一番だと知っている。
 

だけど、なぜか、冷静に話し合うというテーブルに相手を座らせるために、キレたり、責めたり、詰めたりする。
 

を与え、罪悪感を植え付けようとする。
 
 
それが絶対に必要な儀式であるかのように。
(会社とかでもよく見るよねー)
 

そして、バッチバチに上がった交感神経がもたらす興奮を、互いにぶつけ合う。
 

冷静な思考はどんどん奪われていく。
 

相手は、やり返してくるか、逃げてしまうか、無反応になる。
 

残念ながら、やればやるほど、「お互いを尊重して冷静に話し合う」のテーブルはどんどん遠のきます。
 

逆効果以外のなにものでもないんです。
 

でもね、あなたが悪いわけではありません。
 

自分の身体の中で何が起きているのかを知らないだけだから。
 

ということは、相手も同じ。
 

誰も悪くない。
 

だから、まずは人間の身体の仕組みを知ってほしいと思い、ここまで書いてみました。
 

そして、なぜわたしたちは、実利のない攻撃を当たり前のように仕掛けてしまうのか。
これにはまだ理由があります。
 

つづく・・・
なんですが、ここでちょっと補足。
 
 

戦略的にキレるのはあり?

 
キレるのは実利がないという話をしてきたんですが、時には、キレる・・・というか戦略的に強く言い返したり主張したり、反撃することが必要な場面もあります。
 

それは、嫌がらせや、いじめ、人格否定、いじり、からかい、搾取などの対象となったとき。
 

程度は関係ありません。
 

あなたが嫌だと思ったときはいつでも、やめてという意思表示をし、抵抗する必要があります。
 

「割れ窓理論」という人間心理があるんですが、たとえば道に2つの車があるとします。
 

一台は、ピッカピカに手入れが行き届いて、もう一台は、窓が割れたまま無造作に放置されている。
 

落書きなどのいたずら、窃盗や破壊などの攻撃を受けやすいのは、どちらの車だと思いますか?
 

後者なんです。
 

持ち主自身がそんな状態で放置しているんだから、何をしたっていいだろう。
そんな心理ですね。
 

これ、対人関係にも同じことが言えて、
 

窓が割れている=攻撃を受けても反論しない、笑ってごまかす、黙って受け入れる・・・
 

つまり、自分を粗末に扱っているようにみえる人は、その対象になりやすいということです。
 

本人がされるがままになっているんだから、何をしたっていいだろう、です。
 

んなわけあるか!と気分の悪くなる話ですが、人間にはそういう心理が働いてしまうときがある。
それが現実です。
(あたいも気をつける)
 

大切なのは、都合のいい人にならない。
自分を自分で守る。
「わたしの窓は割れていない」とわからせる。
 

それをされるとわたしは、
 

厳しいので、
しんどいので、
嫌なので、
怖いので、
悲しいので、
痛いので、
 

やめてください、と主張する。
(実際の言い方は様々ですが)
 

すぐには止まらないかもしれないけれど、少なくとも、次の攻撃を躊躇させることができるかもしれない。
 

この人は黙っている人間ではないんだなとわからせることができるかもしれない。
 

するとしないとでは、大きな違いです。
 

メンタリストDaiGoさんという方がいますが、彼は学生時代にいじめを受けていて、ある日とうとう堪え兼ね、逆上して相手に彫刻刀を投げつけたそうです。
 

怪我人は出なかったそうですが、それ以来いじめがピタリと止んだという話なんですが、まぁ、そういうことですね。
 

ただ、こういうやり方は、超・超・超最終手段で、めちゃくちゃリスクが高いので、大ごとになる前に、こまめに意思表示してくほうが安全だし、現実的だと思います。
 

変に煽ったり、喧嘩腰にならなくても大丈夫。
 

ただ淡々と、やめてくださいと伝えます。
 

ごく当然の権利ですから、涼しい顔でさっぱりと、余裕があれば笑顔の一つも添えて。
心は強気で。笑
 

言い返すのが苦手な人は、戦略的に言い返すトレーニングが必要かもしれません。
 
 
つづく・・・


心理セラピスト石橋亜紀

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