<薬膳>‟にんじん”の効能は中医学的には養血ですが、その根拠を栄養成分で見ると何が作用しているのか?
昨日のコラムでは、生薬に使われる様々な人参について見てきました。今日からは、それぞれの人参の特徴を詳しく追っていきたいと思います。
まずは、最もポピュラーなスーパーで売られている「にんじん」についてです。画像にもあります、このにんじんは生薬ではありません。食材の中で薬膳にも使われる素材と見て良いかと思います。
言うまでもなく、生薬ほどの効能はありません。では、その効能の根拠は?となりますので、主要な成分から紐解いていければと思います。
このにんじんは、中医学から言うと養血類に当たります。養血類とは、血を補い、各組織・器官を滋養しながら、生理活動を維持し血虚証を治療する食薬と言われています。
ではこの養血は科学的にはどの成分が作用しているのでしょうか?
栄養学的に見るとにんじんは、βカロテンの働きで抗酸化作用により活性酸素を除去することで動脈硬化を予防したり、がんの予防にもなると言われています。
同時に貧血や血流の改善もにんじんに含まれる鉄分が作用していると言われています。
そして中医学では潤燥明目の効能があるとされていますが、栄養学的にもβカロテンがビタミンAに変換されて作用することから、ビタミンAが持つ眼球の表面の粘膜を健康に保ち、乾燥から目を守るとも一致し、疲れ目に効果的であるとされています。
食材としては万能薬っぽい感じのにんじんですが、あくまでも食材としての栄養成分の範囲で作用していると考えて良いのではと思います。
漢方薬の生薬も上品、中品、下品と程度の差が示されていますが、生薬の上品よりさらに副作用がなく長期間食べても問題ないのがにんじんのような食材ということになります(下品の方が効能が強い分、副作用もきつい。)
明日以降出て参ります、高麗人参なども上品の範囲内ですので、長期間服用してもほぼ副作用がないものです。よって薬機法でも粉末状のものは食品としての扱いになっているです。