のほほん 毎日読書♫
毎日夕方、必ずどこか外に出かけて少しの時間でも見つけて本を読む。
忘れたくない箇所をページのあちこちを押さえながらスマホ撮影、夜スケジュール帳の端に「これこれ」
ササッと書き留める。これが私の読書の、いつものいつも。
記憶力に難が有りの私をサポートしていたのだが、近頃少々まずい。
年を取ると仕事が雑になる。書き留める文字が いい加減過ぎるのだ。走り書きの域を遥かに越えて
「あ? ん? は? いや 待て…」
無かった事にする、もはや私の常套手段。かなり困ってる。
★ 矢部太郎
「プレゼントで できてる」
仕事の企画で、モンゴルの家庭にホームステイ。モンゴル人の顔はビックリするくらい日本人に似てる。モンゴルの海や山を持たない地形から、同じ材料で焼いたり蒸したり丸めたりするのがモンゴル料理。味付けは塩、ミルクティーにも塩を入れて飲む。
遊園地でホットドックを買うと、家族はみな、ケチャップとマスタードを紙で 拭い落とした。
「モンゴルにない味だから」
似てるのに、全然違う
矢部さんのお人柄で、周りの人達を認め合う。
私達は こんなに人に優しく生きられるのだろうか。生きられるんだと思う。近づきたい。
★ 桐野夏生 「もっと悪い妻」
◎ 「武蔵野線」
短編集は記憶に残りにくいと敬遠してたが「武蔵野線」これだけは繰り返し読んで大爆笑。元夫がかなり年下の女子に思いを寄せ、気持ち悪がられて逃げられる。自転車に乗る元妻の父を見かけたと、久しぶりに元妻に電話でつい一部始終を話す。
「父ならとっくに いないわよ」
「え、そっか」
恋愛も仕事も何もかも上手く行かず、狼狽える元夫のバカバカしさ。
「あ、父ならまだ生きてるわ」
「えっ」
純情で必死な元夫を、手のひらで転がしながら面白がって笑う…
桐野夏生の毒、女を描く達人の毒。
見事だ。
★ 山崎 努 「柔らかな犀の角」
私の周りには、何故だか読書家がいない。直木賞や芥川賞ほどアテにならないもんはないし、誰か気の合う人に本の話を聞きたいと思った時、書棚で見つけて借りた。寡黙で、あんな近づき難い顔の個性派役者なのに、意外と本に対して明るいお喋りで、面白がりの私とは気が合いそ、やだビックリ。
長く留守する事が多い職業だが、一人娘は小さい頃から家出(放浪)が好き。特に目的もなくふら〜と出かけ行くので、山崎は探偵まがいに娘をそっと尾行する。本業より緊張しながら見守る父の姿に、思わず微笑む。
明け透けな面白い女が好き、ここで私と趣味がピタリ☆ああ、これこれ
◎ 佐野洋子 「死ぬ気 まんまん」
起きると足でカーテンを開ける。おしっこは面倒なのでギリギリまで我慢する。年を取った女の小便はダラダラ出て、全部出きったはずなのに、いきむとまたダラリと出る。山崎は今まで、こんなに女の小便の話を聞いた事がなかったと語る。
佐野洋子は懐かしそうに、幼い頃の自分は違った。庭にしゃがんで小便の勢いで、せっせと働く蟻を溺れさせていた。でも兄がすかさず来て「どけ」立ったまま高い位置から狙い定めた小便の勢いで、蟻の巣ごと容赦なく壊滅させるのを茫然と見ていたと言う。
「でも、ああ兄は可哀想。11歳で死んだんだ。もっとも〜っと沢山、たくさん蟻の巣に小便かけさせてやりたかったよぉ〜」
65歳のお婆の私が、水洗便所に座って本気で思ってるって、あはは。
★ 佐野洋子 「おじさんの かさ」
佐野洋子の絵本は、いい。「100万回生きた猫」は、もちろん秀逸で圧巻だが、このもったいなくて使えない傘を持ち歩く、子供たちに見せたくないほど大人気ない狭量な中年男が愉快。だって、かなりどうかしてる大人の男なら、ウチにも1人おりますので。
あら身近、やだ。
山形のホテルの図書室で読んで、帰京してまた何十回も読んだ。久しぶりにぶっちぎる、私のお気に入り!
★ 燃え殻 「ブルーハワイ」
花火って途中で飽きるよね
会社で倒れ救急車1回、トイレや風呂場で意識失う事19回
だ、大丈夫か 燃え殻さん!
★ 天童荒太 「悼む人」
評判は聞いていたけれど、深刻な話や分厚い本を避けまくる私には、関係ないと思っていたが
「久々、どうしても大感動したいから大作、私、めっちゃ頑張る」
大丈夫?
「この漢字、何と読むんですか?」
「悼む です」
「へぇ、勉強になるぅ」
頭 悪っ、漢字 弱っ。辞書のように重い本、作者が7年の日々を費やして完成したという大がかりな作品。
理由に関わらず 平等に淡々と死んだ人に手を合わせに あちこち行脚する物語だ。
しかし 私には刺さらなかった。これでもか、これでもかと時に残酷な現実と闇に葬られる命を、自然界の摂理を投げかけられる。私も何かを前のめりに探す。時間を、頑張りを損したくない自分のあさましさに 白けて来た。
私の悪い癖。
「いいよ。で、ここまで引っ張った話、どこでどう終えるの?」
きっと怒られる。あかーん。
★ 凪良ゆう 「汝、星のごとく」
久しぶりに夢中になって、ハラハラ読んだ。おススメしたい本だ。
壊れている「家族」の輪郭をかろうじて保つパーツとして、私がいる。
愛と 呪いと 祈りは 似ている。
あの頃の私を絶望させていた事も 無駄ではなかった。
目の前に降りかかる動かない現実や、見つけたようで見えない希望。懸命に駆け抜ける主人公ニ人の 指と指の描き方はキイワードになり、物語を引っ張って行く。ね、待ってよ 待って。
最後のキラリと光る星に、涙が込み上げた。ぜひ。
★ 沼田まほかる 「痺れる」
短編小説。離婚した女性が見ず知らずの映画館で 痴漢されに行く。誰だろうと追いつめ「女だった」
↑ ↑
はあ?
この作者は主婦で、僧侶?
私この人、嫌い。二度と読まない。
★ 佐藤優
「天才たちのインテリジェンス」
なんだかこの人の言葉って、信じたくなる説得力があるんです。
◎ 真鍋昌平(漫画家)
「ヒモ体質の男に引っかからない事。ヒモ体質とDVはセットだから。家庭環境が複雑だったり、自分に自信がなかったりする女性は、上辺の優しさにすがりついて搾取される」
◎ 磯野真穂(人類学者)
「人生が面白い方に動く時って、自分の力で動いてない」
◎ 村田沙耶香(小説家)
「変なことをしないよう?失礼のないよう、まわりを見て、必死にトレースしながら生きてます」
★ 菊池亜希子
「へそまがりな私の ぐるぐるめぐる日常」
4歳の娘は明るくて強情で、自分にそっくりだ。保育園の帰り、2人の友達が仲良く、手をつないで歩いてる(母達は自転車を押してる)のを見かけ、駆け寄り、自分も一緒に手をつなごうと2人の間にぐいぐい行くが、2人に拒否される。
「あ、ホント 大丈夫ですから」
手をつなぎたくない気持ち、つないでもらえなかった気持ち、どちらもわかっている かつての少女だった3人の母たちは、複雑な気持ちのまま歩いた。
沢山の時間を使って、沢山の本を読んで、沢山の記憶をなくしてることに気づく。
「この本、面白かったんだ。で、
えーと何が面白かったんだっけな」
情けない現実。
でも本は、やめられない。本を読みながら、自分のどこかがほんの少し変わって行く。作者に導かれて、知らない世界の様々な場面にも遭遇し、揺さぶられながら知らず知らずに頭の中がクリアになっている。
「書き手にさ、心が無いんだよ」
悔し紛れにぶつぶつ言うし。でも そんな無毛な階段を上がったり下りたりする読書が、意外にも私は大好きなのだ。
読書って 静かな趣味に思われますが違う、とても賑やかなんです。あちこちからお喋りたちが いっぱい話しかけて来る。もう1つの違う世界でも生きてるような?
わさわさした環境で育った私には 何とも心地良いのかもしれない。