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スカラベテーブル

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その道が一人称になるまで

その道が一人称になるまで

5月、スペインの巡礼路を歩いた。サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂を目指す道で、巡礼者の間では「カミーノ」とよばれる。スペイン語で「道」という意味だ。
全長800キロを歩く気合いはなかったので、いくつもある巡礼路のうちのひとつを選び、最後の100キロだけを歩くことにした。

歩き始めることを決めた理由は、自分でもはっきりしない。
どこかできいて気になっていて、たまたま時間があって、航空券を買

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喰うて、食われて

喰うて、食われて

鶏を喰うた。
命を取って、喰うたのだ。

1週間ほど前、隣町の養鶏場から廃鶏が出るというので、友人と車を走らせて貰いにいった。

養鶏場では、一年に3回ほど鶏の入れ替えをする。卵の出が悪くなった年嵩の個体や、鶏コミュニティの中で弱い立場にある個体などが廃鶏として出されるという。

「卵を取るの?」「お肉にするの?」と聞かれて、僕たちは、お肉にします。と答えた。

2羽の鶏をコンテナに入れて持ち帰っ

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Gray Spring

 昼過ぎの国道197号線、佐田岬メロディーライン。
左手には、梅の花に縁取られ、低く濃く広がる瀬戸内海。
まだまだ冬のつもりで厚手のダウンジャケットに身を包んでいたが、いつのまにか高くなった日差しに、たまらず左右のウィンドウを三分の一ほど開ける。

 ふと、いやというほど通い慣れたこの道をあと何度走るかと考え、思わずハンドルを強く握りしめる。

 にじんだ涙があふれないよう、深く息を吸い込む。
 

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ま、ま、ま、

ま、ま、ま、

波間、人の間、時空の間
「間(ま)」に無性に心を奪われる。
そこには無限の可能性があるようで、
とはいえ何かの間。限りもあるはずで。

それは例えば夏の訪れを感じた時、これから起こる無限の楽しみに思いを馳せ、
そして夏の終わりを感じながら、寂しくも振り返るあの時の感情に似ている。

波間

私の人生の砂浜には数知れず大きな波が打ち寄せ、それに翻弄されている間に時が過ぎてゆく。今も波と波の間にあって

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詩のスケッチ8)星の狭間に、鯨の背中をみた日には。

詩のスケッチ8)星の狭間に、鯨の背中をみた日には。

君を思えば

星々の狭間をのびのびと泳ぐ

鯨の姿が見えるのはどうしてだろう

暗がりに浮かぶ、星々が美しい

そして光っているのだ、君の姿も

幸運にも君の姿を見た人は、

不思議と温かい気持ちに包まれる

自身も光であることに、

気づかせてくれる

君が行く先々に、咲きほこる花々が見える

君が行く先々の、光り輝く航路が見える

とっておきの光をひとつ見つけた、いま

君はその光と一緒に、

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星の話、星と話し。

星の話、星と話し。

帰ったらまず、星を見あげる。
このまちにきて、変わったこと。

すくわれているのだと思う。
そこに浮かぶひしゃくでそっと、私という存在をすくってくれるような気がする。
おかえり、と、やさしく、出迎えるように。

「生きる」ための言葉を、どうにもないがしろにしてしまう。
分かりやすくて社会的で有益な「生きのびる」ための言語は、ときにこちらへ押しよせて、水分を奪いとっていく、と知っているのに。
からか

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散文詩) 星月夜、幸も不幸も願わぬための。

散文詩) 星月夜、幸も不幸も願わぬための。

不思議なこととは、やはりあるものなのです。

10月10日のことです。

その名に星団の名を冠した友が

日付も大きく越した27時ごろ

少し白んだため息混じりの

けれども体温をもった言葉を

ぽとりぽとりと落としてくれた

まさにその日。

私も星空を見ていたのです。

その日は久しぶりに

多くの人々が集まって

出店やコンサート、花火なんかを

一緒に楽しめた日。

場所はといえば

そこ

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晩秋。澄み渡る空。足元にしばれ。ああ、北海道。ああ、道東。

晩秋。澄み渡る空。足元にしばれ。ああ、北海道。ああ、道東。

星に囲まれた時間にいます。
摩周湖の展望台で、星を待っています。
いや、現実は星を待っているわけではなく、お客が来るのを待っているのですが。

ひょんなことから星空の案内役をするように頼まれて、日々、夜空を見上げる日々です。
星座アプリを片手に、毎日のように夜空を見上げていたので一等星と季節の星座はあらかた頭の中に入りました。

そんな事情もあり、最近は飲み屋に入る前後にじっくりと星空を観察するの

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星が綺麗な夜だから

星が綺麗な夜だから

どうも皆さんこんばんは。お久しぶりです。3か月もの間、地中深くに潜っておりました。

いや、むしろ竜巻に飛ばされて、いつもいる地上から離れ、ふわふわとどこに寄る辺もない空中に放り出されていた、というほうがあっているかもしれません。

自分から始めたにもかかわらず3か月も留守にするとは、なんとも恥ずかしい限りですが、でも本当に、地に足が付いていないときというのは驚くほど言葉が出てこないのです。言葉を

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Happy lostday

わたしのお家はどこですか?

どうも。すっかり迷子になっていた瀬戸内種です。
あっちへふらふら、こっちへふらふら、どちらへ向かったものかとしばらく途方に暮れておりましたが、今晩にわかに周りがはっきり見えるようになって、なんとかそれらしい道跡に戻ってくることが出来ました。

なぜ急にそんなことが起きたか?どうやら私は歳を取ったらしいのです。
なぜ歳を取ったことがわかるのか?これは簡単です。なにも一年

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こちら全16名の中学生クラス。
seaとsheの発音を一緒に練習しています。
ボードに綴られたseaとshe。
私の指差しに従って、
みながseaかsheかを唱える。

こっちは?
sea!
これは?
she!
こっちは?これは?じゃあこれは?
sea! sea! she!

seaとsheの交響曲。
そのリズムと音色を司る指揮者、私。
舌と喉という楽器の使い手、子どもたち。

素朴なリズムと音と

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風のために。

風のために。

旅にでること、つながりのこと。衝動的に、旅にでたくなる。
そうして”旅”は必ず、ひとりでなくてはいけない。

誰かといること、がちょっと苦しくなったとき。
何かに追われて、誰かに合わせて必死になっているうちに、自分のテンポを忘れてしまったとき。
もくもく、もやもやした霧が自分の隙間を埋め尽くして、そういうときに、旅を欲する。

断絶、とも似ている。似ているけれど、すっぱりくっきり断面がみえるような

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個人的な引用実験の試み

個人的な引用実験の試み

パンツを履き忘れて寝た。いや正確にはパンツを履かないで寝た。
なんだか寝心地が悪くて、それでまだ暗い時分に目が覚めた。

4月も中旬にさしかかかり、道東にも春の気配。緑の芽吹きが見られるようになった。そして、何より日の出の時刻がどんどんと早くなっている。去年の夏至時期は午前3時にカーテン越しの陽が眩しくて目覚めた記憶がある。

でも、今朝はまだ暗い。
おまけに雨も降っている。
大粒の雨だ。
風もど

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春、瀬戸内海種より

春、瀬戸内海種より

ある朝
二日酔いに頭を抱えながら起き出す。水を飲まなくてはとキッチンへ行くと、
真っ白なテーブルの上には4つの可愛らしい球体。

原始種のスカラベは、残像の違う愛し方を求めて、まずこのテーブルを作った。
彼はいつでも「あってほしい」を「ある」ものにする、僕らの創造者。

続く北陸種は、どこか不気味な案内役。破壊者の先輩たちを従えて。
塔の最上階に導いておきながら、自身と一緒に瓦礫の中へと突き落とす

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