lino.

大切なのは、詩をものすことではなく、詩に生きていられること。

lino.

大切なのは、詩をものすことではなく、詩に生きていられること。

マガジン

  • 詩のスケッチブック

    それとなく感じた詩の輪郭を、手元のペンとノートにササっと言葉で描いておく。そんな場所。エチュード集。

  • スカラベテーブル

    • 18本
  • こちらの窓からは、

    • 3本

    ところどこかに変わっても、窓は必ず、あると思うのです。物理的な窓じゃなくても、映画も本も音楽も、自分の小窓であると思うのです。 ささやくように、つぶやくように、手紙を書くように、こちらの景色を、書こうと思います。 そちらの窓からは、何がみえますか。何が聞こえますか。どんな匂いが、するんでしょう。 ささやくように、つぶやくように、そうして手紙を書くように、風が向いたら教えてください。 拝啓 こちらの窓からは、

最近の記事

詩のスケッチ)羞恥と諦念

とある大詩人のきらめく交友録であれ そこには暗澹が秘められているに違いない 広大なネガに、点在するポジ 私たちが歩む闇夜もきっとまた 星々ばかりが取り沙汰されるに違いない

    • 詩のスケッチ13)『優しさのすべて』を受けて

      (※以下、若干ネタバレ注意?) 優しさのすべてなんてもらっちゃったら 気が狂って死んじゃうからさ こちとらマグロじゃねえんだ たまには休ませろ ばかヤローこのヤロー 冷たくもない、温かくもない、 そんな生ぬるい風に吹かれて ただあてどなく 一緒にふらふら夜道を彷徨いたいだけなんだよ ばかヤローこのヤロー 幕引きなしの拳銃ごっこ だあれも終わらせてくれない痛み分け あっちこっちが痛むのに あなたも私も 終止符を撃ち込めない 互いに終止符を撃てない

      • 対訳詩)The Score Silence Orchestrates:沈黙の楽譜

        Listen, silence orchestrating the echoes.  聴こう、沈黙が谺を束ねるのを。 The wind weaving the ripples,  さざなみを織りあげる風、 The stars humming a lullaby at lull in the darkness,  暗闇の合間で子守唄を奏でる星々、 The clouds floating across the moonbeams,  月光横切り漂う雲、 All we ha

        • 詩のスケッチ12)梯子

          雲間から 静かに伸びて くる梯子 雲色の 糸から梯子を 紡ぐは蚕 壺の底から 手が伸び梯子に 掴まる黒子 過去の裏手に 崩れて眠る 梯子は何処

        マガジン

        • 詩のスケッチブック
          14本
        • スカラベテーブル
          18本
        • こちらの窓からは、
          3本

        記事

          詩のスケッチ11)震える秒針

          泣き疲れて萎れた秒針が無謀にも進む
 ありふれた幸せが不遜にも空を包む 
かきくらす何某かの不運に微笑むのは誰
 かき鳴らす糸雨の微震にすくむのは黄昏 ※かきくらす:掻き暗す。①(雨雲で)空を暗くする②悲しみに心を暗くする

          詩のスケッチ11)震える秒針

          詩のスケッチ10)暗雲

          暗雲垂れ込める夜には何を思おう 無力極まる四肢には何を希望しよう 半分ばかり顔覗かせるのは月 無色の声が嘆いているのは運の尽き

          詩のスケッチ10)暗雲

          詩のスケッチ9)水彩の記憶

          雨に濡れた窓。 雨に濡れた窓越し。 雨に濡れた窓越しに見る。 雨に濡れた窓越しに見る景色。 雨に濡れた窓越しに見る景色はなんで。 雨に濡れた窓越しに見る景色はなんであったって。 雨に濡れた窓越しに見る景色はなんであったって美しく。 雨に濡れた窓越しに見る景色はなんであったって美しく見える。 雨に濡れた窓越しに見る景色はなんであったって美しく見える気がする。 思い出。 それは朝露に濡れた草花の香り。 思い出。 それは雨粒に乱反射した信号の光。 思い出。 それは降り注ぐ日差しに

          詩のスケッチ9)水彩の記憶

          詩)緑の音

          生きるということ、それは 全ては選びきれないということ。 生きるほどに 選んだものよりも 選ばなかったものが 増えていく。 残酷なまでに 鮮やかに。 あなたの生はつまり 青々と繁る木のようなもの。 芽が出て、ふくらんで、 幹が伸びて、枝分かれ その先ひとつにしか 私たちの生は実らない。 あっちの枝には青く美しい葉が、 そっちの枝には玉のような実が、 はて、自分の枝には一体何が? そんな目移りに 人はつい一喜一憂、するのです。 ありえたはずの人生に 水面に波風、たつのです

          詩)緑の音

          詩のスケッチ8)星の狭間に、鯨の背中をみた日には。

          君を思えば 星々の狭間をのびのびと泳ぐ 鯨の姿が見えるのはどうしてだろう 暗がりに浮かぶ、星々が美しい そして光っているのだ、君の姿も 幸運にも君の姿を見た人は、 不思議と温かい気持ちに包まれる 自身も光であることに、 気づかせてくれる 君が行く先々に、咲きほこる花々が見える 君が行く先々の、光り輝く航路が見える とっておきの光をひとつ見つけた、いま 君はその光と一緒に、 どこまでもどこまでも広がる 星空の海をゆくのだ 静かに、穏やかに、けれども

          詩のスケッチ8)星の狭間に、鯨の背中をみた日には。

          詩のスケッチ7)寂しさ

          ついつい自分のことを自慢げに話してしまうあなた それは、寂しいということ ついつい素敵な人を眼で追ってしまうあなた それも、寂しいということ ついつい日々の仕事に物足りなさを感じてしまうあなた やっぱり、寂しいということ ついつい美味しいものに手が伸びてしまうあなた これまた、寂しいということ なにか目標をたてる、そしてやり遂げるあなた そいつもまた、寂しいということ 休日にささやかな充実を願うあなた これだってやはり、寂しいということ 他人にうっかり

          詩のスケッチ7)寂しさ

          詩のスケッチ6)なにもないとは言うけれど

          口をそろえて 誰も彼もが言うのです ここにはなんにもないと。 不思議なくらい、 どこにいっても、 口を揃えて皆がいう。 大都会であろうと はるか半島の先っぽであろうと あたたかな海に面した街であろうと。 老若男女 誰もがいう。 つい口をつく この「なんにもない」が 根差すのは 謙遜、 遠慮、 それとも強欲? 隣の芝生はみな ただひたすらに 青く見えるのか。 おかしいな、おかしいなあ、 どこに行ったって、 こんなにもたくさんの ヒト

          詩のスケッチ6)なにもないとは言うけれど

          詩) 独歩

          別れの足音は斯くも賢しき。 抜き足差し足忍び足 姿は決して見せぬまま その音に気づいた時には もう、遅いのです。 孤独の紛らわしかた、 どなたか教えてはくれませんか。 達人と思しき雲や猫に 教えを乞うても 一向にだめなのです。 私は誰かに咎められたいのです。きっと 軟派でやわい箇所を隠していることを 咎められたいのです。 その臆病を、卑怯だなんだと罵られ いっそ解き明かして欲しいのです。 ついてきて欲しいと 一緒にいて欲しいと いえる皆皆さまは お強いのです いえない私

          詩) 独歩

          散文詩) 星月夜、幸も不幸も願わぬための。

          不思議なこととは、やはりあるものなのです。 10月10日のことです。 その名に星団の名を冠した友が 日付も大きく越した27時ごろ 少し白んだため息混じりの けれども体温をもった言葉を ぽとりぽとりと落としてくれた まさにその日。 私も星空を見ていたのです。 その日は久しぶりに 多くの人々が集まって 出店やコンサート、花火なんかを 一緒に楽しめた日。 場所はといえば そこは山の上で 緑のカーペットみたいな原っぱが 上に向かって大きく口を開いている

          散文詩) 星月夜、幸も不幸も願わぬための。

          詩のスケッチ5) 世界って美しくないじゃん

          もういっそうっちゃりたいんだけど。 いい加減誰かに世界は美しくなんてないだよっていうことを大っぴらに語ってみせてほしんだけどどうなのその辺本当のところ。 偽善につぐ偽善ばかりで成り立つことを誰が正面切って取っ組み合ってそれを必死の思いで子どもたちに伝えるのどうなのその辺本当のところ。 胃が痛むというか穴が開きそうというかもはや破けそうなくらい怒っているんだけどこれってただヒステリックだなあくらいにしかやっぱり受け取られないのかしらどうなのその辺本当のところ。 美談も美

          詩のスケッチ5) 世界って美しくないじゃん

          詩のスケッチ4) a sense of wonder.

          ただ誰かの背を受け止める ベッドだけが置いてある部屋。 なだらかな凹凸が認められる白い壁(コツコツ叩いてみたい) 叩けば古ぼけた音がする木張りの床(優しく踏み鳴らしたい) 四方の壁のひとつだけを占める窓(少し離れて外を眺めたい) オレンジ色のカーテンを開ける(多分少しだけ埃っぽい) 柔らかな陽が指す(多分ちょっと温かい) そして ベッドの脚に影が膨らむ。(そっと触れてみたい) たったこれだけのことなのに、 美しいと思うのはなぜだろう。

          詩のスケッチ4) a sense of wonder.

          詩のスケッチ3) 哀しき人

          自分の孤独に無自覚でいる人。そんな人のそばにいる時ほど、哀しいことはない。 孤独に無自覚な人は、寂しさに無自覚だ。そしてだから、それを埋めようとしていることにも無自覚だ。 たちが悪いのは、それが他者を利用している場合。他者を利用していることにも、もちろん無自覚。 さらにたちが悪いのは、その他者が弱き者であるとき。はてはそのなかに、傷つく者がいるとき。目も当てられない事態に、あてがう言葉も感情も見つからない。 孤独に無自覚にいる人。それは他人を利用して、自分を一生懸命、

          詩のスケッチ3) 哀しき人