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サイレントにゃあ

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随筆集。 ほんのちいさな、つぶやきが混ざっていることもあります。
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独りごちる

独りごちる

衝動的に書くって両刃やなぁと実感。真夜中のラブレターといっしょでさ。やらかした感が溢れかえるというか。
今回のはあとから読み返して胸くそ悪くなることが確実なので消したりなんぞした。

カゲロウの空

カゲロウの空

カゲロウには口がない。
幼虫時代には口があってアブラムシやらなにやら食べてるらしい。
成虫になるとき、口を捨て消化器官も捨てて食べることを放棄する。成虫になれば数時間の命なので、眠ることも放棄したことになる。
生きるため育つために食べていた幼子から、生き続けるための機能のほとんどを削ぎおとして大人へと変化するとき、カゲロウは何を思うんだろう。

知ってるのかな、空へはばたき運命の相手を得る代わりに

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Good Enough

Good Enough

何かに押されるようにこの世に生まれ出でた日と同じように、これからもわたしは、進む道をずっと探しながら、一筋の光明を求めてもがき生きるだろう。
時に何かを成したような気持ちになりつつも実は自分の手が何もつかんでいないことにがっかりしたり、同世代で多くの人に認められ力を発揮する人と引き比べ自分が何者でもなくちっぽけで取るに足りない存在として世にあることに焦燥感を抱いたりしながら、それでも、いつかは終わ

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大人のお約束

大人のお約束

 「また、今度、お食事でも。」
 「ええ。ぜひ。楽しみにしてますわ。」
 ちまたでよく交わされるこんなご挨拶。いわゆる、社交辞令というやつ。

 社交辞令にも数々のパターンがあって、TPOに合わせて自由に使いこなすには、かなり熟練した社交術が必要だ。 大人になると、こういうスマートな別れのご挨拶をさらりとやってのけなければいけなくなる。

 「今度」というのは、翻訳すれば、「いつになるかは

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わたしの中に父とのやりとりや「思い出」と名付けるにはささやかすぎるほどの小さな記憶の粒があるように、父には父の、わたしとの語らいや思い出があったに違いなくて、それはわたしが持つものとは重ならないものもだいぶんあるのだろうな。

祭囃子が聞こえる

祭囃子が聞こえる

 金木犀の夜風にのって祭囃子が聞こえる季節がやってきた。これが、我が家から歩いて5~6分のところにある 鎮守様のお祭りが近づいたしるしだ。この時期になると毎晩、地域の長老衆や祭太鼓や笛の名手が 神社の横の公民館に一堂に会し、こども達を招いてお囃子の稽古を始めるのだ。

 狭い地域の鎮守様のお祭りのことゆえ、青森のねぶたや仙台七夕、岸和田のだんじり祭のような派手さはないが、 幼い頃のわたしは毎年こ

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父よ、あなたは

父よ、あなたは

 わたしが高校に入りたてだった頃のある晩、祖母とわたしたち親子の4人の食卓で、ウィスキーの ショットグラスを傾ける手を止め、にこにこしながら父がわたしに、こう問うた。
 「あんた、今ホントに自分がここにおるっちゅう自信、ある?」

 こういう不可解な問いを、まるで学校での生活について質問するがごとき大らかな表情で、何の前触れもなく突然にペロンと訊いてくるのが、わたしの父である。いつもいつも、質

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できた〜ん🎵
デリツィア・アル・リモーネ🍋