食中毒を予防するための三原則
新型コロナウイルスで、需要が落ち込んでいる地域の飲食業界をなんとか応援したい!と思われている方は多いと思います。
私自身、薬局をあげて週2回以上は、地域の飲食店のテイクアウトを利用したり、SNSで多くの方に利用を勧めたりと、地域の飲食店利用を応援しています。
そんな中、湿気が高く・暖かい季節がやってきており、細菌性食中毒に特に注意が必要な季節がやってきました。
安心・安全に乗り切るためにも、飲食店の方だけでなく、家庭で自炊される方も、抑えておきたい三原則についてまとめました。
「つけない」「ふやさない」「やっつける」
厚生労働省も、食中毒予防の三原則として紹介しているのが、この
「つけない」「ふやさない」「やっつける」です。(*1)
新型コロナでは”三密”、毛利一族の結束を説くには”三本の矢”、そして食中毒予防の”三原則”など、”3”はとても覚えやすく、おさまりの良い数字ですね。
それでは、三原則のそれぞれの内容を見ていきましょう。
①「つけない」ことで、食中毒を予防
手には様々な雑菌が付着していること。
調理器具には、食材についていた食中毒菌が着いてしまうこと。
この2つのイメージがあれば、「つけない」が実行できると思います。
(1)「手洗い」のタイミング
・調理を始める前
・生の肉・魚・卵を取り扱う前後
・調理の途中にトイレに行ったり、鼻をかんだりした後
・おむつ交換したり、動物に触れた後
・食卓につく前
・残った食品を取り扱う前
(2)調理器具は、他の食品に菌が付着しないように、生の肉や魚を切ったまな板や包丁などは、使用の都度、きれいに洗い、できれば殺菌をしましょう。
(3)焼肉屋さんにきている時は、生の肉をつかむ箸やトングで、焼けた肉をつかまないようにしましょう。
②「ふやさない」ことで食中毒を予防
細菌の多くは、あたたかく・湿度の高い環境で増殖が活発になります。
10℃以下では増殖はゆっくりとなり、マイナス15℃以下で増殖が停止すると言われています。食べ物についている菌を増やさないためには、低温保存が重要です。
スーパーで肉や魚など生鮮食品やお惣菜を購入した後も、細菌は増え続けているため、できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。
ここで注意したいのは、冷蔵庫に入れても細菌は死なずにゆっくりと増殖しています。冷蔵庫を過信せずに、早めに食べることが大切です。
③「やっつける」ことで食中毒を予防
ほとんどの細菌は、加熱によって死滅します。
肉・魚はもちろん、野菜なども加熱して食べれば安全です。
特に肉は、中心までよく加熱することが大切です。
(中心部分を75℃で1分以上加熱)
ふきん、まな板、包丁などの調理器具は、洗剤でよく洗って熱湯をかけて殺菌するか、台所用殺菌剤(台所用塩素系漂白剤)の使用も効果的です。
テイクアウトの時に気を付けること
■飲食店側が注意すること
・持ち帰りや宅配等に適したメニューを選定すること(鮮魚介類等の生ものの提供は避ける等)
・施設設備の規模に応じた提供食数とすること
・加熱が必要な食品は、中心部まで十分に加熱すること
・調理済みの食品は、食中毒菌の発育至適温度帯(約20〜50℃)に置かれる時間が極力短くなるよう、適切な温度管理(10℃以下または65℃以上での保存)を行うこと
→(例)小分けによる速やかな放冷、持ち帰り時の保冷剤の使用、保冷・保温ボックスによる配達など
・消費者に対して速やかに喫食するよう口頭やシールの貼付等により情報提供すること
上記を厚生労働省が通達を出しており、飲食店は確認必須の事項だと思います。(*2)
■テイクアウトを利用する人が注意すること
・テイクアウトした食品は、出来る限りすぐに食べること
他にも、中まで火が通っていない恐れがある時は、店に連絡したり、身を守ることも必要であると思います。
おわりに
食中毒を予防する三原則が念頭にあると、自分の身や家族の身を守ることができます。そして、この状況をなんとか乗り越えていきたいですね!
この記事が、安心・安全の街づくりのための一助になればと思います。
(*1)政府広報オンライン 食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント(https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/index.html)
(*2)薬生食監発0508第2号 令和2年5月8日 飲食店におけるお持ち帰り・宅配食品の衛生管理等について(http://www.city.okayama.jp/contents/000411728.pdf)