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『Let's find something bright』(2000)


わたしが18、大学1年の時。
日付によると5日で書いた、ルーズリーフ3枚の小説です。
文中に登場する詞は先に別で書いていたらしい。(記憶があいまい)
この頃のわたしは”輝くこと”を自分のテーマにしていて、
それを前面に出した作品。
これを書いたころの自分は、じぶんが輝いてるなんて思えなかったけど。
きっと輝いていたと、今のわたしは思う。
この話は、今のわたしの考えにも通じるところがあるし、
自作の中で、もしかしたら一番すきかもしれない。
よろしければ、感想をコメントにてお伝えください。
noteでの公開にあたり、漢字の誤り以外は
書いた当時の文体ママでの転記としています。

また、文中に登場する詩に音がつき、曲になりました。
各種音楽配信サービスにて配信されています。詳しくはこちらから。
soundcloudでも聴けます。BGMとしてもおすすめです。


誰だっていっつも輝きたいと思ってる。
あたしだってそうだ。
けど、自分で輝くを放つコトを知らナイ人々は皆、
宝石とか、既成のピカピカで光を放つ。
そして、それで充分に満足している。

けど、あたしはそれじゃ満足なんて程遠い。
今流行りのオーラなんかじゃなくって、
あたしにしかナイ、そういう輝きが放てる人になりたい。

いつも、そう思ってた。


あたしはチカ・17才。
いつも輝いていたいと思いつつ、自分の殻から出られナイ。
引っ込み思案とか、そういうのじゃなくて。
心の傷をいつも抱えていて、それを殻にしまい込んでいた。
傷付く、というコトは常に、人間を消極的にさせる。
何度となく殻から抜け出そうと挑戦してみた。
けど、肝心な時にコワクなって、結局出られナイ。


ある日あたしは、とても輝いている人に出会った。
彼はレンと言って、物書きだった。
レンと話す度に、この人みたいになりたいと思った。
「あたしね、チカにしかナイ輝きの放てる人になりたいの。
 けど、自分の殻から出るのがこわくて」
レンは黙ってあたしの話を聞いてくれた。
「あたし、レンみたいになりたい。
 レンは自分のスキなコトして、すごくキラキラしてる」

レンはニッコリ笑って、サラッと詞(コトバ)を書いてくれた。
「これ、チカにあげる」

英語で書かれた、短い文章だった。
今でもあたしの宝物の1つだ。
これのおかげで、あたしは変われた。


Let's find something bright
more than diamonds, more than stars,
more than sun and more than all of planets.

Go ahead around the world
until you find it.
It takes you long long time.

Maybe you'll see a lot of things
which you've never experience.
Brand new, something new.
There'll be a lot of things
which surprise and scare you.

But, don't stop to find.
This long-travel will tell you
something important for you.

Maybe you'll say "WHAT?"
But I'll never tell you.
You have to feel it by yourself.

And, you'll change what you were.
Brilliant.


「レン」
あたしは少し涙ぐみつつ、コトバを吐き出した。
「あたし、旅に出るよ。
 いつか、ピカピカ、キラキラになってレンに会いにくるよ」
走りだそうとしたあたしをレンは引きとめた。
「これ、お守り」
レンは首から、いつも大切にしてた☆型のネックレスをくれた。
「迷ったら、この星を握りしめて目を閉じてごらん。
 キラキラになったチカを待ってるよ」
あたしは泣きながらダッシュした。
そのあたしの後姿を、レンがずっと見送っていた。


小さなリュック1つを背負ってあたしは家を飛び出した。
ポケットには、レンのくれた送辞。
とりあえず、歩いてみた。
いつもなら右に曲がる所を左に、
走って横切った道を踏みしめて。
出会った人みんなにあいさつしながら、
空腹も忘れて暗くなるまで歩いた。

夜、星の下の暗闇のテントで眠った。
星が自慢するみたいにキラキラしていた。
「いいの。いつかあたしが輝きで勝ってやるから」
そう、いつかシリウスを驚かせてやるんだ。


くる日もくる日もとりあえず歩いた。
その途中、いろんなモノに触れてきた。
フシギと、お腹は空かなかった。
目に見えるモノすべてが新鮮に感じられた。

あたしの街は小さな島だった。
”とりあえず、この島を一周してみよう”

そう思って歩いてみると、島は意外に広かった。
ちっぽけなのはあたしの方だったみたい。
旅は発見の日々の縮小版みたいだ。
楽しさも初めても恐怖もすべて、一気に手でつかめる。
生まれ育った街を違う場所に変えてしまう。
It's magic of travel.


島を海沿いに歩いてみた。
潮風が疲れた体にキモチよかった。
砂浜に座り込んで海に手をひたした。
手に海水をすくって見上げた空ー届かない青。
一時の休息。

ここは誰もいなくて、ひとりを感じた。
「レン、キラキラになるのもタイヘンだね。
 ここまできて、少し疲れたよ」
海に向かってつぶやいてたらナミダが出てきた。
ポケットからレンの詞を出して、じっくりと読んだ。コエに出して。
「キラキラ輝くのはすごく難しいんだよね、レン。
 あたしはたくさんのモノに触れたよ。たった十数日で。
 そこでたくさん発見したよ。けど、だんだん怖くなってきたよ」
サミシサとかイロンナモノが混じって涙が洪水となった。

”迷った時は何をしろって言ったっけ?”
「レン??」
空からレンのコエが聞こえた。
そうだ。レンからもらったお守りをにぎって目を閉じて・・・。
キラキラヒカルモノのヴィジョンが見えた気がした。
そう、キラキラなチカになってレンにまた会いに行く。
そう約束したんだ。

何も迷うことはない。あたしは目を開けた。
カモメが飛び交う海沿いを、エンドラインまで進んだ。
この海をあたしの泣き場所ではなくて、
キラキラピカピカなあたしの産まれる場所にしなくちゃ。
ナミダはもう乾いた。瞳はまっすぐ前を見すえている。

”レン。
 泣いたり笑ったり、迷ったり答えを見つけたり。
これが生きるってコトなんだよね?
これが、輝くコトのきっかけなんだよね?”
これって、実はすごくbigな発見なんじゃナイ?!
嬉しくなって、あたしは浜をスキップして駆け回った。

そして、ゴールを見つけた。


浜をエンドレスで歩いていたら、岩ばっかりの岸壁にぶち当たった。
行ける所まで行こうと思って進んだら、洞くつになっていた。
岩穴から差し込み光だけを頼りに中へと進む。
こうもりが突然おびやかしたりする。

別に怖くはなかったけど、洞くつがどこまで続くか知りたかった。
ピチャン。    ピチャン。
だんだん、水のしづくの音が聞こえてきた。
岩穴が吹き抜けのようになり、大空が見えた。

「キレイ☆」
あたしは初めて、コトバというモノを失った。
岩の吹き抜けから差し込む光が7色に光り、
底まで透けて見える湖があった。
ゆっくり、ゆっくりとその湖に近づいてみた。
水鏡に映る自分を見ていた。
傷付いていたが、とても輝いていた。
「レン、あたしキラキラになってる。輝いてるよ!」
嬉しくて、湖の周りを叫びながら走った。
あたしはキラキラになれた。
「そうだ、レンの所に戻らなくっちゃ」

わき目もふらず洞くつを抜け、何も考えずとりあえず走った。
ずっと走っていって、着いた所でレンが待ってる。
そんな、でたらめな確信があった。

息が切れてスピードが落ちた時、見覚えのある背中が見えた。

「レーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」

「チカ?! 帰ってきたんだね。待ってたよ!」
あたしはサイゴの力でレンに飛びついた。
「レン」
あたしは一息ついた。
「I find it!」
レンはあたしに、キラキラになったあたしに微笑みかけた。

「You're Brilliant☆」
Said Ren.


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