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【雑感】生き方、働き方を考えていたら、カフェをやっていました

わたしは、伝えるのがとても苦手です。
前もって頭のなかで考えて、練習して、準備をしても、
口に出せば違うことを言ってしまいますし、
相手にいやな気もちにさせてしまうことも、あります。
だったら何も言わないほうがいいんじゃないか。
自分ってだめだなぁ、どうしたらいいんだろう。
そう思っているうちに、
カフェをやっておりました。


なんということでしょう!
やっぱり、これではちっとも伝わりませんね!

わたしは、北海道のある場所で、自営業のカフェを営んでおります。
20席ほどの小さなお店、たいへん有り難いことに
たくさんのお客様と日々お会いすることができております。
noteでは主にオリジナル小説を投稿しておりますが、
どの物語にも食事のシーンがでてきます。
食べることが好きすぎて、つい大事にしてしまうのです。

「食」と同じくらい「健やか」も好きで、
栄養や健康や薬やアレルギーや食べ方や相性や調理、
いろいろいろいろありますが、
わたしはそれらを人に伝えることはしていません。

体にとって良いもの、悪いもの、という話も口にしません。

伝えるのが苦手ということももちろんありますが、
「食」って、人から「それはあまり体によくないよ」などと
言われてしまうと、否定された気もちになりませんか…?
それがたとえ身内であっても。
自分が大好きなものであればなおさら、悲しい。
経済状況で選ばざるを得ないものだから、辛い。
相手の善意からくる意見だからこそ、苦しい。
わたしのためを思ってアドバイスしてくれていることでも
そのときの体調や精神状態によっては、受け入れられないことも。
だから「食」について伝えない。
相談されたら一緒にどうしたらいいかを考えますが、
カフェをする上で、これがいいとは言わないようにしています。

代わりに、ご提供するものは、とにかく体にやさしいものでありたい。

世の中、裏面の原材料表示をちらっと見ると、台所にないものがたくさん。
もちろん、だから悪と言いたいわけではありません。
人間の、消費者の、長持ちさせたいとか美味しいものがいいとか
希望があって叶えようとした結果ですので。
でもお金をいただいてご提供する側としては、
買えるようなものをメニューで出すことはしたくありません。
たったひとつの、お茶であっても無農薬無肥料の茶葉を。
たったすこしの、ドレッシングやソースであっても手作りで。
そういう小さなことが、会社で雇われておりますと
なかなかに難しく、ビジネスは儲けが必要ですから
コストを下げられるもの(工場で作られたもの)を選びがち。

人間関係。
人はひとりでは生きていけない。
組織はひとりでは何かを成すことは難しい。
人がいて、いろんな価値観があり、いろんな人たちと仲良くし、
心のびのびと働き続けることができたら本望なのですが、
友人知人、お客様、家族と話すなかで、人間関係の悩みは尽きません。

どうしても大事にしたいこと
ゆずれないもの
できることとできないこと
人間関係の悩み

そういうものを、選んで手放す。

いらっしゃいませ!と笑顔とお食事で誰かの心の居場所になれるように
そんな居場所を作るために、まず、わたし自身の心の居場所を作る。

うまく伝えることができないのなら、伝えない働き方を。
笑顔になれないのなら、なれる生き方を。
ストレスがなくならない…と嘆くなら、ストレスのない方法を。

たった一度きりの人生、
やりたいことに向かっていつも全力で臨みたい。

ないなら、新しく作る。

気がついたら、カフェをやっていました。


わたしが自分の言いたいことをうまく伝えられないのは、
幼い頃に繰り返し聞かされてきたことが
ひとつの要因であると思っています。

祖父母の戦争経験の話。
樺太に出兵し生死を彷徨ってきた祖父。
極寒の地で昨日まで仲間だった人間が命を落とす現実。
食べるものもなくて、寒さをしのぐ衣類も足りなくて、
恐ろしいくらい現実とかけ離れたむかしの出来事。
それをずっと祖母から母へ、母からわたしへと伝えてきたことで、
わたしのなかでは、大変だと思うことが全部
「そんなこと、大したことじゃない」
と脳内で否定されてきました。
だから人に気もちを言えない、愚痴を言えない、弱音を吐けない。
辛くても、悲しくても、いまの自分は生きているから、
それ以上のものを望んではいけないと、自分で自分を否定してきました。

自分の言葉には価値がない、そう思うことは、正直キツイです。
だからこそ、自由に言える場所が素敵だと思うのです。
(自由だけど、誹謗中傷は良くないのですが)

雪かきで汗だくの途中、すれ違ったお客様と挨拶を交わしました。
 わたし「おはようございます。雪、すごい積もりましたね」
 お客様「お、おはようございます」
たったこれだけでも、感謝をされたことがありました。
お互いに、風邪に気をつけないとですね、と言って、その場では別れ、
後日御礼の電話がありました。
お客様は、普段誰とも挨拶をしない暮らしをしていたそうです。
事情があり、人から避けられていたとおっしゃっておりました。

平日のお昼。小学生のお子さんとお母さん。
いつも平日にご来店されます。
事情もきっとあるのでしょう。不登校の子は増えています。
なにも特別なことではありません。登校できる子のほうが珍しい?

いつものおばあちゃん、個展をひらくことになりました。
いつものおじさん、苦手な人参はいつも抜きますね。
いつものおじさんたち、木曜10時に開いていないときはすみません。

また、人に伝えることが苦手でも、
人と人をつなぐことはできる、と分かりました。
お客様同士でイベント出店の話が決まったり、
カフェ弁当の出張販売先で出会った人たちとの交流で
新しいつながりが生まれたり…。


誰もが自分の心の思うままに生きられるわけではない。
土地柄や時代や世間の価値観に縛られ、亡くなった祖父母たち。
持病、体調、その他いろいろなことで思うようにはならないこと。
わたしが経験してきた些末な悩みや辛さは、
誰かにとっては取るに足らないものでしょう。
だから伝えない。
伝えずに、むかしのことに蓋をせず、敢えて全部さらけ出し、お話にして、
そうして昇華して心と折り合いを付けていきたいと思います。

心の居場所は自分で作ります。

気がついたら、カフェを。
また気がついたら、小説を書き始めておりました。


(了)

最後までお読みいただき感謝申し上げます。


本記事は、乃井 万様の「心の居場所」について自身の考えを書いたものです。重ね重ね、伝えるのが不得意で申し訳ありません…。

カフェでは食べものを調理し、ご提供しています。
その食べものとは、生き物の命をいただいております。
命を大切に想い、当たり前のことに感謝をする。
すべてのお客様に感謝をする。
体全部を使って感謝をする。
ほんとうに、申し訳ないくらい言葉が出てこないので
気もちを込めるしか、わたしにはできなくて。
でも、分かってくださるお客様はいて、それがまた私の心の居場所になり。

乃井 万様の願いの一助になれば幸いです。応援しております!

食べることが好きすぎてお弁当屋の小説を書いてしまいました💦
(2025.2.19現在 連載中/全14話/日曜・水曜更新)

トップイラストは「ふうちゃん288」🍀いつもありがとうございます!

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pekomogu
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