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机と椅子と、距離感と。

誰かと会話をするときに、机というのはとても大きな役割を持っていると思う。机があることで相手との距離感を保つことができるかと思えば、机がないときは普段話せないようなことが、その場の雰囲気で話せてしまったりもする。相手とどんな会話をしたいかで、上手に調整する必要がある。

椅子も同じような役割を持っている。椅子に座っているときと地べたに直接座っているときでは、やはり相手との距離感に微妙な違いが生まれる。わたしの感覚では、地べたに直接座っているときは気持ちがより開放的になるように思う。

机があると、まず身体の半分くらいを隠せる。どんな机かにもよるけれど、上半身だけが見えて下半身は見えなくなる机の場合、全てを見せていないことが人によっては安心感につながるし、逆に見えないから不安になるという人もいるかもしれない。見えている上半身はピシッとしていても、机の下はダラッとしているかもしれない。想像するとそれはそれで面白い。けれどだからこそ、気を付けたいと思う相手と机を挟むときには、特に見えないところにも心を配りたい。

そして机があることで、一定の距離感が生まれる。机を挟んで向き合って座っている間、相手との距離は保たれた状態になる。会話をするときのテンションをある程度保つことができる効果もあると思う。もちろん机があっても、会話がはずむときははずむのだけれど。


逆に机がない状態は姿が丸見えになるので、心もオープンになりやすい。机がなくて椅子もないようなときは特に、気持ちは開放しやすくなる。自分でも気が付かないうちに開放的になっていて、「こんなこと話すつもりはなかったのになあ」と後から思うこともある。それが良い方向に働けば何も言うことはないけれど、これも相手とどんな関係性かによって、「話したくないことまで話してしまった」と後から思うことにもつながりかねない。


机や椅子の存在に左右されないときも、もちろんある。一方で、机や椅子があった方が話しやすい人も居れば、ない方が関係が縮まって良いという人もいる。それがその場だけの距離感の縮まりだったもしても。


・今日はどんな距離感で相手と会話したいのか
・今日話す内容は、ある程度の距離感があった方が良いのかそうではないのか


そういうところにも目を向けたい。相手と自分が、どんな環境で会話するのが落ち着いて話せるのかも大切だ。

机がもっている働きは、作業したり食事をとったりするだけではない。椅子も、座ることだけが椅子の働きではない。人が誰かと生活する中で、目には見えない働きをしている。見えないからこそ、大事にしたい。そういうものは、わたしたちの身の回りに沢山隠れている。

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さき
最後までお読みいただき、ありがとうございます! 泣いたり笑ったりしながらゆっくりと進んでいたら、またどこかで会えるかも...。そのときを楽しみにしています。