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壁に梯子をかけて、一緒に乗り越えたい
私が邦銀で銀行員をしていたとき、毎日同じような格好をして、決められたルールの中で粛々と仕事をしていて、ふと自分の個性が失われていくような感覚に陥ったことがある。それに反抗して起こしたささやかなムーブメントは、絶対に銀行員が着ないような、規則に反した服装をすること。周囲からは「一体何を目指しているんだ」と好奇の目で見られたが、私はルールや固定観念に依らない自律的な自分を保つことができ、一種の誇らしさ
もっとみるあえて、地球の反対側へ
一人娘である私を、地球の反対側に送り出すことは、難しかっただろう。
「Voice Up Japan」の活動を始める前は、とにかく自分をチャレンジさせたいと言う気持ちを抱いて、南米チリに渡航を決めていた。「チリにとりあえず行きたい。」と親に伝えた19歳になったばかりの自分は、慣れた環境から離れて、自分自身を「挑戦」させるために環境を変えたかった。人間関係が複雑になり、将来何がしたいかわからなくなっ
私たちには屈しない強さがあるのだから
主人公のネジュマの真っ直ぐな視線に何度も心を揺さぶられた。彼女たちがサッカーを雨の中する楽しそうな姿をみて涙が溢れた。生きてきた環境も場所も違うはずなのにどこか、自分の記憶や感情とリンクして、声を上げて泣いている自分がいた。彼女たちは、ただただ自分らしく、生きたいだけ。
映画から溢れ出す底なしのエネルギーはネジュマ役を演じたリナ・クードリ氏や、監督ムニア・メドゥール氏の「パピチャ」としての思いが滲
日常に潜む女性差別に抗うために私がしている小さな選択
90年代のアルジェリアと現代の日本 学生時代に留学していたヨーロッパの国で、アルジェリア移民の学生と仲良くなったことがあります。日本のアニメや「カワイイ」文化が大好きな弾けるように元気な女の子でした。私をバイクの助手席に乗せて街を走り回ってくれたり、タンクトップとショーパン姿で彼氏と遊んだりと、かなり自由に青春を謳歌していました。
映画「パピチャ 未来へのランウェイ」は90年代のアルジェリアが
誰も戦いたくなどない、でも、生きるために、必要な戦いがある。
大学生のとき、大好きだった友人がいました。彼女は卒業後、24才で死を選びました。
理由はまったく分かりません。大学時代の彼女は誰よりも頭が切れ、ユーモア含んだ鋭利な言葉を紡ぐ人で、私は彼女を心から尊敬し、追いかけるように彼女に並びたいと思い、そして幾晩も幾晩も夜通し語り会うような濃密な時間を過ごしました。
プライドの高い人でした。学業でも何においても一番でいなければいけないという強いプレッシ
❝同時代に生きる女性たちに向けた問題提起、そして力強いエールだ。❞|映画『パピチャ 未来へのランウェイ』コラム
アルジェの夜の街の暗闇をしっかりと捉えた高感度デジタルカメラの鮮明な映像。手持ちカメラによるショットと短いカットの連続がもたらす臨場感。『パピチャ 未来へのランウェイ』を観ていて最初に驚かされたのは、その映画としての洗練された作品のルックだ。監督のムニア・メドゥールは18歳の時、ちょうど本作で描かれた「暗黒の10年」の時代にアルジェリアからフランスに渡り、パリでジャーナリズムを学んだ後に活動をス
もっとみるムニア・メドゥール監督「パピチャ」に寄せて
隅から隅まで素晴らしい映画に出会えたことに感謝しつつ、脚本も書いたムニア・メドゥール監督はどれほど涙を流しながらこの作品に挑んだであろうと想像した。事実に基づいた想像力が真実を生み出す瞬間に溢れた109分は、観る者の感情を激しく揺さぶりながら問い続ける。「生きる」と「生かされる」の違いは何だ、と。内戦、宗教的弾圧、テロなど様々な暴力に晒されながらも夢を追う誇り高き少女と友人たち、彼女たちを見守る
もっとみる❝主人公の姉は「暗黒の10年」で犠牲となった多くのジャーナリストや知識人に対する敬意の象徴❞|映画『パピチャ 未来へのランウェイ』キャスト紹介②
昨年度の第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品、同年の米アカデミー賞国際長編映画賞のアルジェリア代表に選出され大きな話題を呼んだ映画『#パピチャ 未来へのランウェイ』が10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開となります。
本作で描かれる主人公・ネジュマには、姉と母がいます。姉のリンダはアルジェの街で活動するジャーナリスト。つかの間
私たちがまだ使っていない「選択肢に気づく映画」
お洒落が好きな女子大生の日常と緊張感あふれるシーンを対比する。1990年代のアルジェリアを描いた映画「パピチャ」は、冒頭の数分で見る人を引きずり込む。2人の女子大生が夜、寮を抜け出して遊びに行く。タクシーの中でパーティーに合うドレスに着替え、化粧をする。
世界中のどの国でも起きていそうな、ごく当たり前の若い女の子の日常は、検問のシーンで一転、非日常になる。車内の2人はベールを被り、色鮮やかな服と
【特別寄稿連載企画】豪華執筆陣による「マイ・チョイス―わたしがした、自分らしく生きるための選択」始動!
昨年度の第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品、同年の米アカデミー賞国際長編映画賞のアルジェリア代表に選出され大きな話題を呼んだ映画『#パピチャ 未来へのランウェイ』が10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開となります。
この度国連が採択する国際ガールズ・デーに合わせて、この公式noteにて<選択>をテーマにしたエッセイ連載企画「