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前を向かず、過去を後悔するべきだ!
私の妻はうつ病です。
普段からよく過去に囚われているようにみえるので
「どうせもうただの記憶なんだし、そうやって過去にこだわらなければいいのに、、」
と言いがちでした。しかしそのたび
「あなたは何も分かっていない。。」
と言われ続けるのでした。
そのようなやり取りを長年続けるうち、私も徐々に
ああ、時と場合によっては「過去にくよくよするべき」なのだ!
と考えが改まりました。
例えばですが
映画「ショーシャンクの空に」
はその核心部分を分かりやすく表現しています。
※以下、少々のネタバレを含みます。
長年刑務所に収監されている主人公(モーガン・フリーマンの方を主人公だと私は思っています)が三回・仮釈放委員会の審議にかけられます。
最初の二回は仮釈放が却下されます。そのやり取りを抜粋します(一回目と二回目のやり取りはほぼ同じです)。
「社会への復帰は?」
「十分にできます。確実に。昔の自分とは違います。今は真人間です。神に誓って。更生しました。」
「過去を振り返らず、明るい未来を想像してしまった」
からでしょうか、このやり取りからは「仮釈放不可」が結論されます。三回目の審議のやり取りは以下の通りです。
「更生したと思うか?」
「更生?どういう意味だかよく分からない。」
「君が社会に、、、」
「それぐらいわかる。更生というのは国が作った言葉だ。君たちに仕事を与えるために。
罪を犯して後悔しているか知りたいのか?後悔しない日などない。罪を犯したその日からだ。あの当時の俺は、一人の男の命を奪ったバカな若造だった。殺してしまった彼と話をしたい。まともな話をしたい。今の気持ちとか、でも無理だ。彼はとうに死に、この老いぼれだけが残った。罪を背負って。更生?全く意味のない言葉だ。」
このやり取りでようやく仮釈放の許可が下ります。
「罪」に関しては
「過去を振り返って後悔しなければならない」
ということなのだと思います(「今までの人生において、私に罪はない!」と自信を持って言える人がいますかねえ?)。
また「過去に縛られず前を向いて歩け!」という言葉は、時と場合によってはかなり陳腐になります。
その好例を、ネットフリックスのアイアムアキラー(ドキュメンタリー)から抜粋します。或る女性を殺した死刑囚とその殺された女性の息子とのやり取りです。
「母を殺したことに対して怒りはもう抱いていない。ただ、この事件に対し、死刑という判決が下されて思うのは、それが適切で正しい答えだということだ。」
「20年間も誰かが死ぬのを待っているのか。マジかよ。なんていうか、、、正直言うと、そうだな、、そんな長い間人を嫌うなんて俺にはできないな。憎しみにとりつかれたら終わりだ。」
この死刑囚は、母親を殺された息子に対して
「過去にとらわれずに前を向いて歩け!」
と説きたかったのでしょう。しかし、このシーンを観た瞬間
「お前が言うな!!」
画面越しに突っ込んでしまいました。後悔しない人の滑稽さがにじみ出ていると思います。