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ニュースの手帖

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2021年3月の記事一覧

保土ケ谷中学が「日本語教室での勉強」を出席扱いにした件

保土ケ谷中学が「日本語教室での勉強」を出席扱いにした件

▼移民のニュースには、悲惨なニュースが多いが、素晴らしいニュースもある。2021年3月26日付毎日新聞に、その一つが載っていた。池田直記者。適宜改行と太字。

〈<にほんでいきる>横浜の市立中「自立にプラス」/日本語教室 出席扱い/ベトナム人中学生 皆勤で進学〉

〈親が外国籍などの「外国につながる生徒」の学習を支援するため、横浜市立保土ケ谷中学校(生徒数913人)が2020年度、ベトナム人の男子

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選択的夫婦別姓が進まないのは「天皇の制度」に深い関係がある件

選択的夫婦別姓が進まないのは「天皇の制度」に深い関係がある件

▼新聞を読んでいると、たまに「日本という国の根源」に触れる記事を読むことがある。

2021年3月24日付の毎日新聞夕刊に、そういう記事が載っていた。選択的夫婦別姓の制度づくりが一向に進まないのは、「天皇の制度」に関係がある、ということを論じた、歴史家の加藤陽子氏のインタビュー。牧野宏美記者。適宜改行と太字。

〈任命拒否 へこたれていませんよ/「相似形の国や時代」から導く普遍性/別姓制へ「個人の

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技能実習生がもう限界の件

▼コロナ禍で苦しむのは、女性、こども、そして外国人である。

2021年3月22日付日本経済新聞に、外国人の苦しみについてよくわかる記事が載っていた。適宜改行と太字。

〈技能実習生 もう限界/仕事失い帰国できず、コロナで二重苦/「生活苦で犯罪」防ぐ支援を〉

〈新型コロナウイルスの影響で、苦境に陥る外国人技能実習生が後を絶たない。雇用情勢の悪化などで働き先を失い、帰国しようにも渡航制限でかなわな

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33歳の女性が入管で死んだ件

33歳の女性が入管で死んだ件

▼異常な状態が、「文書」を介すると、一見、正常に見えてしまう。その好例が2021年3月23日付毎日新聞夕刊に載っていた。適宜改行と太字。

〈スリランカ人女性が入管収容中死亡 33歳衰弱、SOS届かず 専門家「収容可否、裁判所判断を」〉

〈「ここから連れ出してほしい」。それが、30代のスリランカ人女性から、支援者が聞いた最後の言葉だった。

名古屋出入国在留管理局(名古屋市港区)に収容されていた

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パンデミックの将来シナリオーー「すべての国が安全になるまで、どの国も安全になれない」件

パンデミックの将来シナリオーー「すべての国が安全になるまで、どの国も安全になれない」件

▼産業医の辻洋志氏が、ツイッターで、国際学術会議(ISC:International Science Council)がランセット誌で発表した論文

「COVID-19パンデミックの将来シナリオ」

(「Future scenarios for the COVID-19 pandemic」

2021年2月16日)

を要約してくれていた。

▼とても簡潔にまとめてくれている。

もとの論文を、D

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「入管の問題は私たちの問題につながっている」件

「入管の問題は私たちの問題につながっている」件

▼入管ーー出入国在留管理庁の非人道性については、たくさんの報道があるのだが、あまりにも少ない、といわざるをえない。入管の実情をマンガにしたのが織田朝日氏だ。2021年3月18日付の毎日新聞にインタビューが載っていた。東海林智記者。

〈入管の実態 マンガに/難民申請の外国人支援 織田朝日さん出版/117本とコラムでわかりやすく「政策変えるのは私たち」〉

▼織田氏は2004年、渋谷でクルド人難民の

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「雑談」を少しあらたまって言うと「対話」になる件 斎藤環氏の災厄論

「雑談」を少しあらたまって言うと「対話」になる件 斎藤環氏の災厄論

▼2011年の東日本大震災と、現下(2021年春)のコロナ禍との共通点を探る試みが2021年3月12日付の毎日新聞で行われていた。

精神科医の斎藤環氏のインタビューから。

〈結論求めぬ「対話」こそ〉

▼まず、「ケガレ」意識による差別について。

ここでいう「ケガレ」は、「放射能の汚染」(東日本大震災における)や、「コロナウイルス感染」(今回のコロナ禍における)のことだ。斎藤氏は、東日本大震災

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コロナ禍で苦しみの限界を超えてしまった件 2020年の自殺者数確定値

コロナ禍で苦しみの限界を超えてしまった件 2020年の自殺者数確定値

▼2020年の自殺者数の確定値が報道された。すでに2月に速報値が報道されており、ほぼ同じ内容だが、ここでメモしておく。

▼まず、2021年3月16日付の読売夕刊1面トップから。

〈女性の自殺15・4%増/7026人、コロナ影響か/20年確定値〉

〈厚生労働省と警察庁は16日、2020年の自殺者数が確定値で前年より4・5%(912人)増の2万1081人だったと発表した。女性は同15・4%(93

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すべてが「ハイブリッド戦争」に使われる件(1) LINEの個人情報

すべてが「ハイブリッド戦争」に使われる件(1) LINEの個人情報

▼LINEの個人情報が中国に漏れているかも、という物騒なニュースが流れた。2021年3月17日付朝日新聞1面トップから。

〈LINE個人情報保護 不備/中国委託先で閲覧可に/運用見直し 第三者委設置へ〉

デジタル版によると、記者は編集委員の峯村健司、大部俊哉の両氏。

〈国内の月間利用者が8600万人に上る無料通信アプリを運営する「LINE(ライン)」(東京都)が、中国にある関連会社にシステム

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毎日・八田浩輔記者の記事が抜群に面白い件 コロナワクチン開発

毎日・八田浩輔記者の記事が抜群に面白い件 コロナワクチン開発

▼毎日新聞の2021年3月17日付1面トップに、コロナワクチン開発についての抜群に面白い記事が載っていた。八田浩輔記者。

〈コロナで変わる世界 第3部 イノベーションの時代/1(その1)/mRNAワクチン立役者 テディベアに全財産隠し/「鉄のカーテン」越え渡米後、研究に心血〉

〈東西冷戦期の1985年、共産主義体制の東欧ハンガリーから「鉄のカーテン」を越えて米国へ向かおうとする1人の女性科学者

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国は地方が使うカネに基準や条件を付けて縛ってきた件 東日本大震災10年

国は地方が使うカネに基準や条件を付けて縛ってきた件 東日本大震災10年

▼地方自治体を批判する記事が2021年3月16日付の日本経済新聞1面に載った。「日本は変われたか/大震災10年」という連載記事。

〈国頼み、空洞化する自治 「首長が本気なら注文もっと」/日本は変われたか 大震災10年(5)〉2021年3月16日 0:00

▼東日本大震災から10年を振り返る企画。

この回では、大震災後、国が定めた5年間の「集中復興期間」で27兆円が使われたこと、しかし「復興支

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ネットフリックスは「映像メディアとの接し方」を考えるいいきっかけになる件

ネットフリックスは「映像メディアとの接し方」を考えるいいきっかけになる件

▼友人の役者が出演するドラマが配信されたので、ネットフリックスを初めて契約した。

▼ネットフリックスの番組一覧を見た時、初めてYouTubeを見た時の感覚を思い出した。

あの、映画の予告編を次々と、無数に見られる喜び(しかも無料で! もっとも、今はその喜びも薄れてしまったが)。それに近いものを感じた。

▼ひと月990円で、あれだけの質量の映像が見られるというのは、圧倒的な資金力のなせる業だ。

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緊急事態宣言が3月21日に解除される件

緊急事態宣言が3月21日に解除される件

▼コロナ禍の緊急事態宣言中、多くの人がとても努力している。1日の感染者数が3000人を超えることはなく、各地の医療の全面崩壊は防ぐことができた。

しかし、感染者数は減っているが、なかなか減り切らない。

さらに、感染力の高い「変異株」が広がっているようで、恐ろしい。

猛烈なスピードで開発されたワクチンは、まだ日本の高齢者に行き渡るまでに何カ月もかかる。

▼日本政府は宣言の解除を決めたようだ。

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