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「入管の問題は私たちの問題につながっている」件

▼入管ーー出入国在留管理庁の非人道性については、たくさんの報道があるのだが、あまりにも少ない、といわざるをえない。入管の実情をマンガにしたのが織田朝日氏だ。2021年3月18日付の毎日新聞にインタビューが載っていた。東海林智記者。

〈入管の実態 マンガに/難民申請の外国人支援 織田朝日さん出版/117本とコラムでわかりやすく「政策変えるのは私たち」〉

▼織田氏は2004年、渋谷でクルド人難民の座り込みを見たことから、難民支援に取り組むようになったそうだ。今年で18年目。

〈長期収容され、解放された2週間後に亡くなった人は最後の手紙で日本の入管行政への批判を事細かに書いた。そして、その手紙の裏には一行、「日本にきて ばか」と書かれていた。日本に来なければ難民に認定されていたかもしれない。

 娘が生まれてすぐに収容された男性は、2年間家族と引き離され、面会に来た織田さんの前に抱くように子供服を抱えてやってきた。そして「私の娘なんです」と言った。そんな精神状態でも収容は続けられた。また、子供の頃、父が収容され、「お父さんを返せ」と叫んでいた子供が、大人になって突如収容される。なぜ、収容したのか、その理由も明かされない。〉

▼こうした悲惨な実情が、マンガになっている。

▼織田氏いわく「入管の問題は私たちの問題につながっている」「国に帰れば命の危機にさらされる人に『(収容が)嫌なら帰れ』と平気で言う国。立場の弱い人への差別と排除。それは私たちにはね返ってくる

入管の問題は、「収容されている外国人の問題」ではなく、まさに「入管の問題」、つまり「日本の問題」だ。

それは、表面的には日本という「国」の問題だが、根本的には日本という「社会」の問題である。

また、入管の現在は、「文書がすべて」という合理主義が、「生きた人間」を見失った末に行き着く成れの果てだともいえるし、入管の歴史は、入管で働いている個人の内面が「法人化」していく、多くの人が決して無関係ではいられない、深刻な過程でもある。

▼まったく知らない物事を「知る」ことは、「動く」ことにつながる。その意味で、マンガは強い道具だ。

(2021年3月22日)

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