外国から見た"源氏物語"
日本を代表する文学作品の一つの源氏物語。紫式部の作品です。
日本でこの源氏物語が取り上げられることは多いが、外国から見た源氏物語はどのようなものだったのかはあまり知られていない。
今回は外国目線から源氏物語を見ていきましょう。
【世界が驚く源氏物語の先進性】
源氏物語のバックボーンを外国人が知れば驚愕されます。
有り得ない!アンビリーバボー!アメイジング!
実際そう言われます。
1000年代、中世ヨーロッパでは女性の立場は低く、女性が文字を書く…ましてや文学作品を作ることなど有り得ないことでした。
そもそも世界史をかじっていれば分かりますが、この時代は十字軍時代でイスラム諸国と戦争をしていた時代で、文学はおろか文字を読み書き出来る人は本当のインテリくらいでした。文化文学は無かったわけではないですが、少なくとも女性が作家として文学作品を著す例はありません。
ちなみに、西洋で女流作家が認められたのは19世紀のフランスにおいてです。
創作をした人なら分かると思いますが、物語文学を創るには、作者の感性のままに創作し、それには充分な時間と才能、そして読者が必要となります。源氏物語の作者である紫式部はそれがあったということの証明でもありました。
だから源氏物語を見て外国人は驚くのです。源氏物語は文化史的に見れば1000年近く世界の先を行ってる作品なのです。
【ハーバード大学も絶賛】
これは実際に源氏物語を読めば感じると思いますが、現代語訳にしても非常に読みやすいです。
語り手(視点)を変えていく手法は近代小説と似ています。そのため平安文学であるのに最近書かれたものではないか?と思える作風になっていること。
更に、西洋文学のいわゆる「意識の流れ」との共通点もありますし、皮肉や葛藤などの微妙な感情を歌った和歌も、感情を表現する演出の一つにもなっています。
ハーバード大学(写本を所属している)の研究でも、人間の本質をつぶさに描いた記念碑的な作品と評価しています。
【世界初の小説】
紫式部が、源氏物語の中で主人公:光源氏に言わせている言葉があります。
「歴史書は事実が述べられているだけ。物語の中にこそ物事の本質がある」
これは紫式部の創作論として有名です。
彼女の言う真実とは「人の感情」などのことです。
実際、源氏物語の主題について、江戸時代の国学者である本居宣長は「もののあはれ」だと看破しています。
源氏物語は恋愛漫画であり、今で言えば少女漫画に非常に近しい作風なのですが、恋愛を通して出逢いや別れなど、人間誰しもが経験する出来事を真正面から描けています。
1000年以上経った現代でも源氏物語が世界的に絶賛されるのは人間の本質に迫った作風となっているからだと私は思います。
全人類誰もが感じるであろうことを、平安時代の女性が、1000年近くヨーロッパに先んじて描いていたというのは我々日本人にとっても誇らしいことなのです。
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