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幸せのrecipe ~cocktail&petit~

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趣味としての小説
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2020年1月の記事一覧

目次(仮)

目次(仮)

プロローグ
#1 .ロブロイ #2 .マイタイ #3 .チャールストン #4 .ミモザ #4 .ミモザAct.II #5 .アースクエイク #6 .バカルディ

#6:バカルディ

#6:バカルディ

『Guilty?or Not Guilty?』

今日は比較的暇な夜だ。
雨が降っているせいだろうか?
莉々子と野乃木がカードゲーム【12人の怒れる男達】に興じている。

最近莉々子が買ってきたカードゲームだ。
莉々子の趣味は写真を撮る事の他、カードゲーム、ボードゲームもとても好きなのだ。
大体1ヶ月に2~3個は新作を仕入れてきてやっている。

先日は赤松も参加していたのだがあまりにも、莉々子と野

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#5:アースクエイク

#5:アースクエイク

善雄は焦っていた。
「もう一週間後は締切だっていうのに!」

善雄は劇団員でもあり、脚本家でもあった。
書けない苦しみ。

これは何度味わっても慣れないものだ。
そしていつもの事なのだ。
ギリギリになるまで書けない。

これは善雄の小学校の頃からの癖なのだ。
夏休みの宿題も、大学の卒論も。

ギリギリになるまでは何も浮かんでこない。
いや、正確に言うとやる気が何とも起こらないのだ。

「あー!もう

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#4:ミモザ Act II

#4:ミモザ Act II

大学の近くのBARに辿り着き、二人はカウンターに座った。
こじんまりとしたBARでなかなか落ち着く感じだ。
とは言っても赤松はBARになど来たことはほとんどなく、あったとしてもサークルの打ち上げの帰り何人かで立ち寄ったぐらいだ。
どうも少しソワソワとしてしまう。

店内にはJAZZピアニストのビル・エヴァンス【Waltz for Debby】がかかっていた。

「お飲み物はいかがいたしましょう?」

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#4:ミモザ

#4:ミモザ

「 — 悠月。」

(昨夜は店に泊まり込んでしまったか。)

赤松は二日酔いの頭を振り、水を一杯飲むと、バルコニーに出てまだ空が藍色から白みがかりそうな空を見つめ北西の空をぼんやりと見つめ、しばらく立ち尽くしていた。

「フライトの時間は確か。。。9時だったよな、確か。」
壁に掛かっている時計をチラと見て
赤松は誰もいないカウンターの客席に座り、考えてしまった。
「ちっきしょ、なんであの子の言った

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#3 チャールストン

#3 チャールストン

「この映画俺、昔から大好きでさ。」
赤松さんがいつも流している映写機の映像を観ながら話す。

モノクロのこの映画は誰もが知っているだろう。
チャーリー・チャップリン。
チョビヒゲにハットがトレードマークのあの方だ。
もちろん私はリアルタイムでこの方の映画など観たことはない。(ほとんどリアルタイムの人なんかいないかw)
「マスターはどこら辺が好きなんですか?この映画?」
変な聞き方をしてしまったが、

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#2.マイタイ

#2.マイタイ

今日も陽が暮れていく一日の終わりが、【The first one】の一日の始まりの合図となる。
長い長い一日の始まりだ。

今日はお店で不定期でやるLIVEの日なのだ。
私自身もこの日は楽しみでならない。
昨夜からワクワクとして眠れなかった。
もう赤松さんとは長い付き合いらしいのだが、今日演るバンドは西荻窪発祥の(彼等はニューオリンズと呼んでいる)スーパーワールドミュージック楽団だ。(これは私がこ

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#1 ロブロイ

#1 ロブロイ

「スコットランドの赤毛の義賊。ロバート・ロイ・マクレガー通称ロブロイと呼ばれた英雄の名前をつけられたスコッチ・ウイスキーがベースのカクテルなんだ。」
よく舌も噛まずにスラスラとウンチクが出てくるものだ。
莉々子は感心しつつも半ば呆れその出てきたカクテルを見つめる。

作ったのはこのBAR【The first one】のオーナー兼バーテンダーの赤松 健司さん
まだこの地域で誰もBARをやってなかった

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プロローグ

プロローグ

— いつからだろう。
目が離せなくなったのは。

莉々子が赤く輝く消火器に目を留めたのは、いわゆる普通の会社勤めの方達がまだ眠い目を擦りながら駅に向かう明け方5時。
莉々子にとっては帰り道のそんな時間帯だった。
週3回勤めているBAR【The first one】からの帰り路だ。
はじめは
「こんな所に消火器あったんだ」
と、気にもとめなかった。
しかし、その日を境にこんな所にも。あれ?こんな所に

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