石にこめた縄文人の祈り・大湯環状列石【おおゆかんじょうれっせき】(シリーズ「遺跡を学ぶ」)
石にこめた縄文人の祈り・大湯環状列石【おおゆかんじょうれっせき】 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
秋田県にある遺跡、大湯【おおゆ】の環状列石【かんじょうれっせき】を御存知でしょうか? この本は、これについて解説した本です。
古代史や考古学が好きな方なら、大湯の環状列石は、「説明の必要もないほど有名だ」と思うでしょう。
そういう方にも、この本は、役立つと思います。大湯の環状列石について、現在の考古学でわかっていることが、コンパクトにまとめられているからです。
「そもそも、環状列石ってなに?」という初心者にも、この本は、役立つはずです。
というのは、環状列石について、日本語で読める解説書が、少ないからです。
環状列石は、古代人が作ったにしては、とても大がかりな遺跡です。現代人が見ても、感心するほどです。
このため、「宇宙人と交信するために作ったのだ」などという、トンデモ説がらみで紹介されることが多いです(^^;
困ったことに、そういうトンデモ説がらみの解説書はあっても、まっとうな解説書というのが、少ないのですね。
本書は、数少ない、まっとうな解説書です。
大湯の環状列石は、確かに、謎だらけの遺跡です。
けれども、現代の考古学者は、決して、謎を放置しているわけではありません。学術的な調査は、ちゃんと進んでいます。わかってきたこともあります。
本書には、現在の考古学が到達した、大湯環状列石の謎解きの過程が記されています。
なお、環状列石とは、英語で、ストーンサークルstone circleと呼ばれます。この名が、英国の遺跡ストーンヘンジStonehengeと紛らわしいため、混同されることがありますね。
ストーンヘンジは、ストーンサークル(環状列石)の一種ではありますが、「ストーンヘンジ=ストーンサークル」ではありません。
ストーンサークル(環状列石)と呼ばれる遺跡は、ストーンヘンジ以外に、たくさんあります。大湯の環状列石も、その一つです。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
第1章 北の巨大モニュメント
1 縄文人による石の造形
2 墓場か、祭祀場か
第2章 発掘と保存の歩み
1 地域の人びとによる発見と保存
2 学術調査の進展
3 高校生の汗
第3章 大湯環状列石の解読
1 規則性のあるサークル
2 弧状の配石墓群
3 緑色の石を求めて
4 掘立柱建物跡は儀礼施設か
5 環状列石をつくった人びとの集落はどこに
6 サークル周辺のさまざまな配石遺構
第4章 大湯環状列石の変遷
1 環状列石の成立と分散化
2 今後の研究の課題
第5章 よみがえる祈りの空間
1 縄文景観を復元する
2 環状列石を復元する
3 掘立柱建物を建てる
4 配石遺構を復元する
5 特別史跡大湯環状列石のこれから
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