世界の妖怪たち (世界民間文芸叢書 (別巻))
日本以外の、各国の妖怪の話を紹介した本です。
日本国内でも、アイヌの話は、二つ取り上げられています。
取り上げられた妖怪話は、地域に偏りがあります。
アフリカと、オセアニアの話は、一つも紹介されていません。中米の話は、メキシコのものが、一つだけです。
ほとんどが、ヨーロッパと、アジアの話です。それに、北米と、南米―アルゼンチンのみですが―の話とが加わります。
『世界の』という題名に比して、偏りが目立つため、満点は付けられません。
とはいえ、この本は、妖怪好きには嬉しい本です。
各国の妖怪話が、百七十話(!)ほども、読めるのですから(^^)
これほど多くの妖怪話を集めた本は、そうそうありません。
南米のアルゼンチンの話や、アジアの少数民族の話などは、日本で紹介されること自体が、珍しいですね。
世界の妖怪について知りたいなら、本書は、必読です。
個々の話の内容は、怖い話、不思議な話、ユーモラスな話と、いろいろあります。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
「ショル(ロシア)」などとなっているのは、「ロシアに住むショル民族(の話)」という意味です。
はじめに
第一章 妖精、小人、巨人
1 ラミニャのお産 フランス
2 妖精を育てる イギリス
3 地下室のピスキー イギリス
4 ピスキーのからさお打ち イギリス
5 フッレおばさんが亜麻束【あまたば】をくれる ドイツ
6 ホレの晩 ドイツ
7 モルガンと結婚した娘 フランス
8 メリュジーヌ フランス
9 夜の洗濯女 フランス
10 リックの橋 フランス
など
コラム アイルランドの妖精たち
第二章 森の精、水の精
1 山の精 ショル(ロシア)
2 山の精の贈り物 ショル(ロシア)
3 森の精の罰 ユカギール(ロシア)
4 おばあさんのみやげ ユカギール(ロシア)
5 やまんばばニタッウナルペ アイヌ
6 木の精 ドイツ
7 森で迷った娘 ブルガリア
8 占い婆とレソヴィク ジプシー(ロシア)
9 レーシーの子守 ロシア
10 狐をかりたてる森の老人(レーシー) ロシア
など
コラム ロシアとその周辺民族における自然界の精たち
第三章 動植物の怪
1 白いウナギ ドイツ
2 魚の女王 ドイツ
3 湖の豚 リトアニア
4 自分の足をつつく リトアニア
5 湖に住む巨大魚 アルメニア
6 竜と伯爵令嬢 ドイツ
7 巨人と竜 ルーマニア
8 山頂の竜 ルーマニア
9 怪竜タラスク退治 フランス
10 井戸の底の怪蛇バシリスク フランス
など
コラム 中国の妖怪
第四章 悪魔のしわざ
1 悪魔の橋 イギリス
2 ぜったいに振り向くな イタリア
3 コート・ノールの鬼 カナダ
4 ヴルムリンゲンの黒いむく犬 ドイツ
5 悪魔と結婚した娘 チェコ
6 悪魔の穴 フランス
7 雌牛と問答した男 イタリア
8 黒猫 フランス
9 悪魔の赤ん坊 フランス
10 悪魔祓い ドイツ
など
コラム カナダの妖怪
出典
索引
執筆者紹介