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日本の美術 第271号 六道絵


日本の美術 第271号 六道絵

 六道絵【りくどうえ】とは、仏教の六道輪廻【りくどうりんね】の様子を描いた絵です。
 本書は、さまざまな六道絵を集めて、解説した本です。日本の主な六道絵は、本書一冊で、ほぼ、網羅されていると思います(^^)

 日本の仏教的世界観では、生きる者はすべて、六つの世界を生まれ変わってゆくことになっています。地獄道・餓鬼道・畜生道・阿修羅道・人道・天道の六つの世界です。

 地獄道は、私たちが普通に思う地獄です。餓鬼道は、常に飢えや渇きに苦しむ世界です。畜生道は、ヒト以外の獣の世界です。阿修羅道は、常に戦争をしている世界です。人道は、普通の人の世です。天道は、天人の世界です。

 天道以外は、苦しい世界ばかりですね。
 たとえ天道に生まれたところで、永遠にそこにいられるわけではありません。天人もまた、衰えて死にます。天道での暮らしが楽しいぶん、衰弱の苦しみは、激しいそうです(^^;

 で、仏教では、「六道輪廻の苦しみから抜けるには、解脱するしかない」と教えます。
 一般民衆に、この教えをより効果的に教えるために、六道絵が生まれました。

 六道の苦しみをヴィジュアルに見せて、「こうなりたくなければ」と、仏の教えに誘おうというわけです。

 六道絵というからには、六道すべてが描かれているはずですが、実際には、地獄絵の割合が、とても多いです。
 日本人は、地獄絵が大好きだったんじゃないかと思いますね。微に入り細に入り、地獄の刑罰の様子を描き出しています。地獄の刑罰に関する日本人の想像力は、すごいです(*o*)

 本書を読めば、日本の地獄絵(六道絵)について、大まかには、わかります。日本人が、「あの世」をどのようなものと考えていたのかも、わかります。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

六道【りくどう】とは
奈良時代の六道絵
平安時代の六道絵
 中尊寺経に描かれた六道絵/談山【たんざん】神社の法華経曼陀羅

六道絵巻
 地獄草紙
  旧原家蔵本/旧安住院本/旧益田家甲本/旧益田家乙本
 餓鬼草紙
  旧河本家蔵本/旧曹源寺本/絵巻の表現と読者への浸透
 病【やまい】草紙
  病苦への警告/描写の背景など/六道絵巻の典拠

『往生要集』の地獄絵
 聖衆来迎寺【しょうじゅらいごうじ】の六道絵/往生要集絵巻

中世の六道絵
 十王図/十界図/十王地獄図/極楽寺の六道絵/地獄極楽図屏風【びょうぶ】
中世地獄絵の傾向
 地蔵霊験記

終りに

図版目録

インドの地獄絵――その表徴【ひょうちょう】と世界観



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