ラファエル前派―ヴィクトリア時代の幻視者たち
十九世紀、ヴィクトリア女王治世下のイギリスに、新しい美術の流れが生まれました。
「ラファエル前派【ぜんぱ】」です。
これは、「イタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロ(英語でラファエル)以前の美術に戻ろう」という運動です。
若い芸術家たちの目から見て、当時のイギリスの美術界は、「あまりにも類型に堕して、停滞している」と、映りました。革新の風を吹かすべく、「ラファエル前派兄弟団」という美術家の集まりが、作られました。
彼らは、その志にたがわず、イギリスの美術界に、新風を吹き込みました。
イギリスばかりでなく、ヨーロッパ全体の美術界にも、影響を及ぼしました。
本書は、そのラファエル前派の解説書です。ラファエル前派の始まりから終焉までを、手際よく解説しています。
ラファエル前派の作品も、たくさん載っています(^^) 多くのページがカラーで、作品の見事な色彩を伝えています。
解説文を読まなくても、作品の絵を見ているだけで、楽しいです。
解説文を読めば、もっと楽しいです。これらの美しい絵について、いろいろと知ることができるからです。
ラファエル前派初心者でも、本書の絵を見て気に入ったなら、買う価値があります(^^)
シェイクスピアの作品や、アーサー王伝説が好きな方にも、お勧めします。ラファエル前派の画家たちは、シェイクスピア作品や、アーサー王伝説を、よく画題にしたからです。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
日本語版監修者序文
第1章 P.R.B.誕生とその背景
第2章 前衛的な擬古主義
第3章 それぞれの運命
第4章 ロセッティとミレー
第5章 最後の炎
資料篇 ―称賛と非難、そして再生―
(1)論争
(2)詩
(3)ラファエル前派の日常生活
(4)証言
(5)再発見
(6)象徴主義
(7)ビアズリーの人と芸術
年表
INDEX
出典(図版)
参考文献