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源氏物語「夕顔巻」を読む
今回は「夕顔巻」。巻を網羅すると想定すると、まだまだ道のりは長いと、今目の前に並ぶ本を見て感じている。
夕顔との出会いから描かれ、若々しくも大胆なその恋模様が描かれる。平安貴族王道の恋愛話であろう。綺麗だと考えた次の記述を紹介したい。
切懸だつ物に、いと青やかなる葛の心地よげに這ひかかれるに、白き花ぞ、おのれひとり笑みの眉ひらけたる。
白き花とはもちろん夕顔(花)のことであろう。そもそも人物名が明確に描かれていることはほとんどない。歌に書かれた言葉から名前を当てられるため、この巻では「夕顔」が重要な存在であると言えよう。それにしても、「自分だけはいかにも楽しげに笑顔を…」とは素敵な表現だ。「花」と「笑顔」はこの時代から結び付けて表現されていたのかと、平安も近い存在に感じる。
また他にも美しい描写がある。
御前駆の松明ほのかにて、いと忍びて出でたまふ。半蔀は下ろしてけり。隙々より見ゆる灯の光、蛍よりけにほのかにあはれなり。
忍びながら出る姿が容易に想像できる。加えて、蛍のかすかな光には情趣があり、素晴らしい。
しかし、このような場面が含まれるのは「夕顔巻」でいえば序盤のほう。このあとは、そんな美しい情景さえも出てこない展開となるのだ。
あれだけ順調な恋愛だったが、突然「夕顔」が亡くなるのである。『源氏物語』ではお決まりの形となっていくが、幽霊が現れる展開である。あっという間になくなり、悲しみの様子が描かれていく。涙に涙の展開でこの急展開には初読の際、大変驚いた。実は頭中将と夕顔の間には子どもがいて、その子どもも今後、大変重要な人物となるのだが。
さて「夕顔巻」についてはこのあたりで。
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一日5時間程度『源氏物語』に費やしているが、それでもまだ読むのに時間がかかることに勉強不足を感じたり、感じなかったり。こうやって文章にしてみると、実際は感じていないということを知りました。新編(省略)は6つの本に分けられているが、まだ1つも読み終えてないことに衝撃。まだまだ道のりは長い。
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