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声(ボイス)のこと
前回もこの本(Wintering, 邦訳: 『冬を越えて』キャサリン・メイ著、石崎比呂美・訳、K&Bパブリッシャーズ)について投稿しているので、繰り返しになりますが、例によってほかの本に脱線した挙げ句、やっと読了しました! その最終章に、大切なことが書いてあったと思うので、シェアしたく書いています。
著者(キャサリン・メイ)は、そもそもうつ的なものがあってこの「冬についての本」を書き出したわけですが、子どもが生まれた後、声が出なくなってしまったんだそうです。まったく出ないというよりはかすれてしまう、少ししか話せない、といったことだったようです。やはり心理的なものかなと私は思いましたが、著者はセラピー等は考えなかったようで(イギリスには公的なセラピーのシステムもあります)、友だちのすすめで半信半疑ながらも歌の先生のレッスンに行き、いわばボイトレ(ボイストレーニング)的なこともしながら、声を取り戻すという作業に取り組みました。もともと歌は好きだったようです。
声を「取り戻す」過程で、彼女はそれまでの「声」に関する人生を回想します。生まれた地域や家族、行った学校や地域、等々で、その場に「ふさわしい」声を発するベく、その度声は変わっていったと言います。成長する過程では誰しもある程度そうですが、環境にアイデンティティが左右されたり、規定されたりする人だったのだと思います。そのアイデンティティの変化に一番分かりやすい形で反応していたのが声だったのでしょう(とすると、息子さんの誕生で母になるという大きな変化を伴う出来事で、アイデンティティが揺さぶられた挙げ句、声がうまく出なくなったと考えることもできます。失声=声が出なくなること、は、古典的なヒステリーの症状でもあります。)。
イギリスのサッチャー首相(ずいぶん古い話ですが・・・)は声を変えなければならなかったと言います。女性の首相として、一般の国民の男性に脅威にならないように・・・ということだったようです。こうしたVIPの方はみなそうでしょうが、ファッション・アドバイザーなどが関わったり、どうやったら一番「公の人」(で女性)で通用するか、という戦略はいろいろ巡らせたようです。
やはり、というか公の職などに就いたとき、女性の方は「素のまま」というわけには行かず、こうした「調整」や「変化」、「適応」を迫られるものなのでしょうか。男性でもやはり大きな役職に就くときなどは、まったくそれまで通りというわけには行かないのかもしれませんが。女性の政治リーダーというと、2021年まで首相を務めたドイツのアンゲラ・メルケル、昨年当選したメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領などが思い浮かびます。日本では、政治、医療、アカデミア(学術)などあらゆる分野で「30%の目標・カベ」が言われていますが、これが乗り越えていけるといいなぁと、常々思っています。今年の新年会では母校(大学)で女子が30%を超えたそうです。そうしたお立場にある女性の方々や、リーダーの卵たちを支援する日々です。(念のため申し添えておきますが、男性のクライアントもいます。)
「声」というと、心理学の分野ではキャロル・ギリガンが有名です。女性と男性の声(意見、コミュニケーション)はタイプが違うということを書かれて、高名な方ですがどうも日本ではあまり聞かない気がします。企業研修などした場合にも、場(地域・団体など)によっては、女性が自分などはこんなところで発言してはいけない、のように感じておられるのを見聞きしますが、どんな人であってもそれぞれの視点・主観は違うので、「声」を発していいのです。小さい声、取るに足らない声、ささいな声と感じていたとしてもかまわないのです。セラピーにはいろいろな機能や作用がありますが、そのための「練習」「リハーサル」の場所としても機能しています。
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