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← 第25話 クレイフィッシュ、楽天、ICGから、僕らプロトレード 社への、具体的な買収提案の条件が出揃いました。簡単にスコアカード風にまとめると、こういう感じ。 会社の発展性 : 1.楽天、2.ICG、3.クレイ 株式買取評価額 : 1.クレイ、2.楽天、3.ICG 給与 : 1.ICG、2.クレイ、3.楽天 こう並べてみると、どこが明確に良いとは言えなくて、立場によって意向が変わるであろうことは、ご理解いただけると思います。 時計を今に戻し、現在の楽天
← 第26話 午前中に、プロトレード役員へのヒアリングを終えた僕の、次のターゲットは、一般社員とアルバイトです。 ネクストバッターは、一号社員の、相川くん。 彼は、僕の大学時代のスキークラブの後輩です。創部以来25年以上、男子だけという、超硬派な体育会系クラブで、パワーハラスメントの総合デパートのようなところでした。 ちなみに、僕も相川くんも、入部した理由はシンプルに、 「うちは学内10サークルの大会で5連覇。強いから、モテる。」という話と、 「お前な、サークル内
← 第27話 数えきれない自問自答をくりかえすことが、人間の成長には欠かせないことだと、信じています。 会社を立ち上げて以降、サラリーマン時代とは比べものにならない量の、自問自答を重ねてきたことは確かでした。 気がつくと会社のことを考えている。寝ていても会社のことを考えている。起業を意識し始めてから、そんな状態に至るまでは、意外と短いものです。 (ちなみに、サラリーマン経験がないままに、経営者になる人は、どうして社員は、自分のように思考を重ねられないのか、不思議でしょ
← 第28話 あかねさんとの、ほろ苦い再会を果たしてから、まもなくだったと思います。翌日とか、そんな感じ。 僕は神泉の駅から3分ほどにある、ガラスとコンクリートでできた、一風変わった低層ビルの一角にある、NetAgeのオフィスに出向いていました。 NetAge社は日本ではじめて、インターネット事業に取り組む起業家を、大量に育てていくことを、事業の目的とした会社でした。 インキュベーターという耳慣れない言葉とコンセプトをアメリカから輸入し、時代の風を受けながら、ノリとカ
← 第29話 交渉ごとに強くなろうとするなら、結局のところ、経験をたくさん積むしかない。ということが、本当のところだと思います。ただ、ベースとなる考え方については、先輩から学べることは多いのではないでしょうか。 我がプロトレード 社の、売却交渉の大詰めの局面。ここから収束させていこうという場面で、株主のNetAge西川さんが、大戸屋でご飯をおかわりするくらいの無邪気さで放った一言は。 「もっと楽天さんに、出してもらおうよ。ダメなら孫さんのところ行けばいいじゃん」でした
← 第30話 中目黒駅から、楽天ビルまでは、だいたい15分くらい歩きます。山手通り沿いを目黒方面に進むのですが、通りから一本東側にある、目黒川の近くを通る小道の方が、ずっと落ち着いて歩けるので、そちらにしました。 僕の中では、ずいぶんと暑い日だったように記憶されています。 9月末だったので、まだ夏の湿気と太陽が残っていたのかもしれませんし、ただ単に、自分がホットに上気していただけかもしれません。 まだ時間は十分にありました。 わざとゆっくりと歩きながら、この後のミーテ
← 第31話 腕時計を見ますと、アポの時間になりました。 もう、逃げられません。進むしかない。 開き直ったのでしょう。考えても仕方がないと。 このタイミングで、頭の中の無限ループは止まり、何かのスイッチが入りました。 目の前にそびえ立つ(実際は低層ビルですが)銀色のビルは楽天。Shopping is Entertainementというタグラインを掲げている割には、全くエンターテイメント性を感じない、質素で無愛想なエントランスが、威圧してきます。 その圧は三木谷さんと
← 第32話 九月末の季節外れの暑い一日。日本のEC市場を牽引する楽天の、本拠地オフィス最上階。目黒川を望む会議室で、緊迫したやりとりが続いていました。 対面左側の澁谷さんが、まずは挨拶がわりに、一発かましてきます。 プロトレード さんの今年の売上予想は、800万円の着地、バーンが年間で3,500万円程度ということですよね。 将来の事業計画も見ましたが、保守的にみて、ディスカウント・キャッシュフローベースで計算すると、企業価値は良くて1億といったところじゃないですか
← 第33話 もしそれが、気に入らないなら、しょうがないです。 難しいかもしれませんね。 落ち着きながらも、少しふてくされた調子で、僕が言い放ったこの言葉。 これをトリガーに、目の前のお二人が、対照的な反応をします。 スナックで、俺は、中目黒の織田裕二だとでも言い張ってそうな、澁谷さんは、いやいや、ちょっと待って。いかないで。という反応。(これは僕の想定通りです。秘書情報によると、次に三木谷さんの登場。となるはずなので、ここでブレイクされると困るはずなので) 興銀の