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動画生成AIが切り拓く未来のコンテンツ制作・ミュージックビデオ/クリエーター向け『Kaiber AI』。未来建築AI動画表現
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こんにちは。STUDIO55技術統括の入江です。
前回、オールインワンのAIコンテンツ制作プラットフォーム『Superstudio(スーパースタジオ)』を紹介しました。
『Superstudio』は、Runway、Luma、Minimax、Flux、Stable Diffusion V3.5 などのクリエイター向けの幅広いAI機能を統合して提供しており、特にAIを活用した映像制作の分野で注目されています。
今回は、その Superstudio を運営する『Kaiber(カイバー)』について紹介します。
●Kaiber(カイバー)
動画生成AI の登場当初、その独創性は従来のジャンルにない "新たな表現手法" として注目されました。特に、ミュージシャンが自身のミュージックビデオに活用するなど、アーティストによるユースケースが象徴的です。
Kaiber(カイバー)は、"アーティストによるアーティストのための" AIクリエイティブラボとして、AI動画の分野を牽引してきました。
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♫ アーティスト使用事例 ♬
♪ Linkin park(リンキン・パーク)
Kaiber は、アメリカのロックバンド、リンキン・パーク(Linkin park) の『メテオラ(Meteora)』のミュージックビデオに採用されたことで一躍注目を集めました。
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2023年4月7日に、リンキン・パーク の傑作『メテオラ』のアルバム発売20周年を記念した作品 がリリースされました。日本発売のデラックス3枚組CDには未発表曲の『ロスト』が収録されており、そのオフィシャルミュージックビデオも Kaiber によって制作されています。
日本のアニメをベースにした独自の表現で、見事に現代と未来をクロスオーバーさせる傑作です。
リンキン・パーク は個人的にも好きなアーティストで、『メテオラ』『ハイブリッド・セオリー』は欠かせないアルバムです。
ヒップホップとロックを融合させた Run-D.M.C. の流れを汲み、Limp Bizkit のラップメタルをさらに進化させた彼らは、オルタナティブ・ロック や ヘヴィメタル、ヒップホップ、ポスト・グランジ、エレクトロニック・ロック、ラップロック など、多様な要素を自在にミックスする独自の音楽性が魅力です。
そんな彼らが、AIで生成した映像を楽曲に組み合わせる手法を取り入れているのも、実に リンキン・パーク らしい試みです。
♪ Grimes(グライムス)
カナダ・バンクーバー出身のエレクトロニックR&B、シンセポップのGrimes(グライムス)は、コンサートビジュアルでカイバーを使ったAI動画を使用しています。
特に、Anyma & Grimes の『Welcome To The Opera』のミュージック ビデオは 、このコラボレーション の芸術的なスタイルを融合し、トランス風の EDMトラックを引き立てる 未来的で幻想的なビジュアル美学を取り入れるのに成功しています。
DJアニマ と グライムス のメキシコシティのライブ映像です。
♪ Money Man(マネーマン)
ラッパーの Money Man(マネーマン) の『Blockchain(ブロックチェーン)』でも カイバー が使用されています。このビデオを見ても、カイバー がいかに現代的で革新的アプローチを提供しているかが分かります。ヒップホップ・トラップ に見事にマッチしています。
この他、Wolfgang Webb、Mélat、Yung Bae、Oksami、Augast Kamp、Don Diablo、Mike Shinoda、Kid Cudi、Leslie Ho など、数多くのアーティストがカイバーを採用しています。
これらのコラボレーションは、音楽業界における AI の汎用性と魅力を強調しており、アーティストは自分の音楽を引き立てる視覚的に魅力あるコンテンツの作成に成功しています。
●Legacy Kaiber
現在、『Superstudio』が中心使用となった Kaiber ですが、『レガシーKaiber』のそもそもの魅力について お伝えします。
👉画面右上隅から、旧タイプのUIに切り替え可能です。
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ビデオの種類を選択
Kaiber には『ビデオの種類を選択』画面で、大きく3つの生成カテゴリがあります。
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・フリップブック(Flipbook):パラパラ漫画調
・モーション(Motion) : スムーズな動画
・変身(Transform) : スタイル変更
『テンプレート』は、音楽ベースに動画を生成、画像ベースにビデオを生成、マスクを使用した動画の生成 の3項目です。
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プロンプト や スタイル は、カイバー ならではのテンプレート選択ができる仕様で、いたって直観的な設定が可能です。「メテオラ」で使用された スタイル もストックされています。
🔸ストーリーボード(Storyboard)
複数のプロンプトとメディア入力を「シーン」としてをつなぎ合わせるビデオ作成「ストーリーボード(Storyboard)」機能です。
基本のビデオ生成から、オプション的に使用します。
ストーリーボードの「シーン」追加は 最大10個 までで、独創的なAI動画が連続して生成することができる面白い機能です。
👉 画像なしのMotion2.0、Transform1.0 でのみ利用が可能です。利用に際しての設定条件がありますので、その点だけご注意ください。
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日本のアニメ風 ストーリーボード を作成しました。
「フリップブック」と「モーション」の2種で試しましたので、動画表現の違いとしてもご覧ください。
🎞「Flipbook 」から作成したストーリーボード
🎞「Motion 」から作成したストーリーボード
🔸変身(Transform)生成
以前、Haiper(ハイパー)で『大阪の道頓堀』の AI動画を作りました。
それを、Kaiber の『変身』機能で "メテオラ" 風 にアレンジします。
動画を読み込み、「プロンプトを編集する」をクリック。
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お伝えしたように、基本的にテンプレートを選択するだけの簡単な設定です。反映が不十分な場合にテキスト入力で調整するような形で、入力も日本語対応なので 気軽に操作できます。
・プロンプト : アートスタジオ(Art Studio)
・スタイル : メテオラ グラフィック(Meteora Graffiti)
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「プレビューを作成」で 仕上がりイメージを事前確認します。
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Kaiber の特徴として、このように 動画を生成する前にビジュアルを確認できる 点が挙げられます。気に入らなければ、前の画面に戻ってプロンプト調整し、ビジュアルを再設定します。
確認後、ビデオ生成を行います。
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🎞「メテオラ」風アレンジ 作例
街並みがパネルアートとして表現され、メテオラ風にアレンジされた ある種のアート作品となりました。あくまで カイバーの基本設定のみを使用した点を汲み取りながらご覧ください。
🔸音声対応生成(Make Image Audioreactive)
音楽に合わせて動画を自動生成する機能 です。いかにも ミュージシャン向けなアーティスティック機能です。
音楽からの生成への影響の度合いも調整ができます。
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🎞「音声対応生成」テスト作例
ハリウッド映画さながらのデンジャラスな曲調で動画を自動生成しました。曲に合わせてどのようにアレンジされたか、一例としてご覧ください。
Kaiber は、音楽と映像を組み合わせる機能をシンプルかつ強力に搭載しています。単なる映像制作にとどまらず、音楽と一体となるAI映像の制作が可能で、独創的な表現を実現します。
🎞AI 建築アート動画
2023年に Kaiber を使用して制作したAI建築動画をご紹介します。
SNS向けにあえて縦画角で作成しましたが、当時は海外のアーティストからも多くのコメントをいただき、大きな反響がありました。
*
如何にも "人が作ったものではない" あり得ない変幻の様が、"AI 動画アート" の魅力です。
近年のAI動画生成はリアル志向が際立ち、かつての AI ならではのアートな作風がやや影を潜めた印象があります。しかし、今後はリアルとアートが融合した表現の登場が期待されます。
そのためにも、Kaiber の『Superstudio』が アーティストの集まる "Labo" としての機能を果たし、現代の "スーパースタジオ" を生み出すことに注目が集まります。
AIによる "人工知能表現" を面白く感じていただけましたら幸いです。