「ナイトメア・ビフォア・クリスマスinコンサート」で体感したシネマインオーケストラの世界
ティム・バートンによるストップモーションアニメの名作「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」25周年記念のシネマinオーケストラ(シネオケ)に行ってきました。
もう、語彙力が崩壊するほど感動しました。しゅごい。やばい。
とめどなく溢れ出る愛はツイッターで発散させたので、noteでは主に初めてシネオケを体験して感じた事と、若かりし頃に読み取れなかったこの映画のメッセージについての考察を書きとめようと思います。
シネマinオーケストラという体験
今回初めてシネオケに行って感じたのは、普段いかに意識していないものが多いかという事と、人が生み出すエンターテイメントの果てしなく大きなパワー。
シネオケについて簡単に説明すると、映画一本まるまるのBGMをオーケストラがライブで演奏してくれるというもの。オーケストラのみの場合もあれば、ミュージカルなどでは歌手による生歌も楽しめたりします。
わたしが今回行った「ナイトメア・ビフォア・クリスマスinコンサート」では、この映画の作曲家であるダニー・エルフマンが、映画の主人公ジャックの歌唱パートも担当していたので、生演奏オーケストラ&御本人による生歌という超豪華な布陣で開催されました。
映画本編に入る前に、ディズニー初期の短編アニメーションの上映があったのですが、前情報なく行った私はここで初めて、シケオケが生み出す体験の凄さに気づかされることになりました。
映画のBGMって効果音も兼ねていて、映像の動きと絶妙にマッチしてますよね。映像だけ観ている時はそのシンクロが心地よく、時にハラハラドキドキをあおり、ストーリーを何倍にも引き立てます。
ですがそのBGMが、まさに今自分の目の前で演奏されていると、もう全然勝手が違います。
そもそもこういうBGMって映像が主体なので、テンポは登場人物の動きに合わせて自在に可変するし、一般的な楽曲のような展開はしません。譜面があったとて簡単には演奏できるようなものではないと思うんです。それがリアルに目の前で演奏されていて、アニメの動きとピタリと一致する。
もう、どうやってるの?!どう指揮するの?!!
中高ブラバンで息のあった合奏をするために四苦八苦していたわたしは驚愕の嵐なんですよ。プロすげぇ…
でも思えば、世の中の映画音楽も、みんなこうやって映像に合わせたオケ収録をして、それをBGMとして完成した映画を観ているんですよね。あまりにもBGMが付いているのが当たり前で意識しないけど。
映画のBGMをつけるというのは、プロや業界の方々にとっては当たり前の仕事なのかもしれないのですが、一般人の私がそれをリアルに目の前で体感すると、もうホントに感動しかなかったです。そこに気付けて良かったです。
その一片を感じることが出来るだけで、シネオケはめちゃくちゃ体験する価値があるエンターテイメントだと思いました。脳みその無意識領域が拡張されて研ぎ澄まされる感じ。ハマるかも。絶対また行く。
今の時代、オーケストラ楽曲もDTMで限りなくリアルに作れるじゃないですか。
100人規模で集まって、神経集中させて、1人のパートで演奏しても何がなんだか分からないような楽譜をひたすら練習して。
生演奏の合奏って、今の時代でいうときっとものすごく”非効率”なんです。
でも、そこから生み出される大きな力とパワーがあって。一体感があって。
クラフトの世界なんですよね。チームワークなんですよね。
そういうパワーを少しずつ積み重ねて、エンターテイメントとして体系化してきた歴史にまで思いを馳せてしまうような、素晴らしい体験でした。
マジでシネオケおすすめです。
「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」について
私がこの映画を知ったのは、高校生の時に行った1週間の短期留学。
ホストファミリーがいわゆる"ガチ"な方で、家中くまなくディズニーだらけの夢のようなDヲタカップルでした。
ある日の夜「特に好きだから」といって一緒に観たのが、この映画との初めての出会い。(そこでblink182もセットで教えてくれたあたりがSoCal満載)
当時はストップモーションという言葉も知らず、同じようなアニメはピングーかニョッキくらいしか観たことなかった私は、まるで本当に意志を持って存在するかのように動くジャックやサリーに完全に心を奪われました。
そしてあの可愛くもダークなティムバートン節全開の世界観にも。
その後再度LAに渡り、大学を卒業するまで、ほんとうに何度も何度もDVDを観て、グッズを買い漁り、住む部屋の一角には必ずナイトメアグッズ置き場を作ってました(当時の私は祭壇と呼んでいた)
それでも、この映画の内容で、理解できないポイントがあったんです。
でもこの歳になって、久し振りにこの映画を見て思ったことがあって。
(※ここから先は映画の内容を含みます)
ストーリーの中で、ハロウィンタウンの長であるジャックは、たまたま出会ったクリスマスタウンに魅入られて、サンタクロースを誘拐して自分がクリスマスを仕切ろうとして盛大に失敗します。
軍隊に大砲で撃ち落とされてボロボロになって「自分は何て事をしたんだろう…」と一旦は落ち込むのですが、歌いながら「でも、ぼくは精一杯やったじゃないか!」と超スピード復活するんです。
え、立ち直り早くね??
撃ち落とされるくらいには結構メチャクチャやってたよ?!
と。笑
高校の頃の私には、その部分がどうしても納得出来なかったんです。
その後スピード復活したジャックは、自分のせいで誘拐され監禁されているサンタクロースの事を思い出して救出に向かいます。
そして無事救出したサンタが、世界に元通りのクリスマスを届けて物語はハッピーエンド。
でももしジャックがスピード復活せずにウジウジと落ち込んだままだったら、この年のクリスマスは中止されてしまったままだったんですよね。
失敗を悔やむことはもちろん大事ですが、もっと大切なのは、失敗から学んで、次に活かしていくこと。失敗を悔やむのではなく、失敗から得たものを大切にすることなんだなー、と。
若かりし頃の私には納得できなかった事がストンと腑に落ちて、なんだか嬉しくもあり、歳を感じてちょっと哀しくもあり…笑
そしてもう1つ。
初めてクリスマスを見て「What's This?!(これはなんだ?!)」ととても感動したジャック。その素晴らしさを、ハロウィンタウンの仲間たちに伝えようとするのですが、どれだけ伝えても全然理解されない。タウンミーティングを開いても、科学的に証明しようと実験を繰り返しても上手く行かない。全然噛み合わない。結果クリスマスはハロウィンタウンの独自の価値観で解釈されて、それが盛大な失敗につながってしまいます。
でも最後サンタクロースがプレゼントとして、ハロウィンタウンに初めての雪を降らせてくれるんです。初めて雪を見たハロウィンの仲間たちは、やっとジャックと同じように「What's This?!」と大はしゃぎします。
きっとどれだけ一生懸命伝えても、伝わらない事もある。
経験や体験に勝るものは、何もないのかもしれない。
私がこれだけ熱くnoteを書いても、実際に体験したこの感覚は、きっと伝えることが出来ないだから是非NBC見て欲しいしシネオケ体験して欲しい。
もう、もっともっと書きたいけど流石にもういいかげんこのくらいで締めようと思います。ハッピーハロウィンそしてメリークリスマス今週も1週間がんばろ★