その「D&I」、アリバイ作りでやってない?
人的資本経営の影響もあって、D&Iが一層注目されています。
一方で「なんでD&Iなの?これまでと同じでいいじゃん!」という意見があるのも事実。
改めてその意義を確認してみましょう。
女性活躍推進法の存在で広がるD&I
そもそもD&Iを経営に活かすとは、どういうことなのでしょうか?
その手法であるダイバーシティ経営の定義を経産省から借りると「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」とのこと。
ここからまず見えるのは、「イノベーションは多様性によってもたらされる。だからD&Iを進めましょう」という考えです。
ただ、これほどまでにD&Iが注目されるのは、イノベーション促進以上に「女性活躍推進法」の存在が大きいでしょう。
2015年に施行された女性活躍推進法によって、301人以上の労働者を抱えた事業主は、女性活躍状況の把握や好評などを義務付けられています。
さらに2022年からは対象が101人以上へと変わり、大企業だけでなく中小企業も女性活躍推進が必須になりました。
イノベーションを促進したい!という理由だけでなく、こうした法律による強制力も働き、D&I経営が注目されている訳です。
D&Iの意義を語るのは難しい。だからこそ、この難しさに価値がある?
しかし、企業でダイバーシティ経営に取り組もうとすると、多くの難しさに直面します。例えば、D&Iの意義を現場に伝え、納得感を醸成する難しさです。
今、多くの企業が女性活躍推進法によって、"女性採用率"や"管理職比率"等の数値目標を掲げています。
現場も目標として掲げたのだから協力しようという理解はあるでしょう。
ただ、一歩立ち止まって「多様性を増やすと、どういう点で事業が成長し、経営が良くなるのか?」という問いに答えようとすると、なかなか言語化できないものです。
私もD&Iの重要性は理解しています。
個人的にも大切だと感じていますが、今の事業にとってどういう観点で良い影響をもたらすのかを具体的に語ろうとすると、綺麗な言葉を並べることは出来ても、完全に納得いくだけの言語化までは出来ていないなと感じる日々です。
しかしながら、見方を変えれば、難しい問いだからこそ、考え続け、試し続けられるという一面もあります。
「これではない」「あれでもない」と色々と試し、D&Iを進めていく過程によって、イノベーションが自然と促進されるのかもしれません。
つまり、この葛藤こそが実は重要なのかもしれないと感じています。
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