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身体を上手に使う研究ノート③ 運動で大切なこと
運動で大切にしていること
トレーニングでもウォーキングでも日常生活でも、
私が身体を扱う上で一番大切にしているのは研究ノート①で書いた、
・小さな力で
・目的に対して大きな出力を得られて
・身体に負荷が少なく
・ケガをしない
という「正しい骨格の動き」を目指すことで、言い換えれば
「どうしたら頑張らないで最高の成果を上げることができるのか」
を考えること、工夫することです。
この場合の頑張らないとは、
器具を身に着けるだけで筋肉がつくとか、
サプリメントを飲むだけで健康になれる、
という話ではありません。
日常生活において重い物を持つなら、なるべく負荷がかからないように軽く持てた方が良い。
同じ距離を歩くなら、なるべく疲れない方が良い。
イマドキな言い方をするなら「コスパの良い身体の使い方をした方が良い」ということです。
そして「コスパ良く動く」とは先の4点を押さえた「上手な身体の使い方」をするということです。
頑張らないと運動じゃない?
運動やトレーニングをしようと思っても
・辛い
・苦しい
・しんどい
というネガティブなイメージから始められない人は多いかと思います。
普段から運動をする人でも、取り組むまではそんな気持ちと戦っている方は多いかもしれません。
一般的に自重でもウェイトトレーニングでも怪我を避けつつ、効率よく体に負荷をかけるような動きをします。
つまり、わざとしんどくなるように身体を使うのですから、ネガティブな気持ちになるのも分かります。
そのようなトレーニングはボディビルダーさんのように筋肉を大きくする、肉体をデザインすることが目標であるなら正しいやり方ですが、本来の人間にとっては不自然な身体の使い方に感じます。
もし日常で重い物を持たなければいけないのなら、何かテクニックを使ってでも軽く持てた方が良いからです。
だとすれば、トレーニングや運動であってもわざわざ
・辛い
・苦しい
・しんどい
動きをする必要は無いのです。
確かに心肺機能を鍛えるとか、筋力を上げる、筋肉を大きくする場合にはある程度の「キツさ」は避けられません。
それでもなるべく負荷のかからないように、上手な身体の使い方を考えながら運動に取り組むことで、トレーニングや運動の心理的なハードルを下げつつ、自分の身体にとって必要な心肺機能や筋力、筋肉を獲得することができると考えています。
何より、そうやって運動に取り組めば日常生活でもラクに動くことができるようになるはずです。
まずはゆっくり自重トレーニングから
日々、身体と向き合っていないと何が「上手な身体の使い方」かを判断するのは難しいと思います。
そこでオススメしたいのは「ゆっくりと自重トレーニング」をすることです。
ゆっくりとやることで怪我のリスクは下げられますし、動きの確認もしやすくなるからです。
例えばスクワットをしていても、こうすると膝に負担がかかっている気がするからやめようとか、これくらい胸を張ると楽になるぞとか、ゆっくりと動くことで自分と向き合いやすくなります。
ただ、
ゆっくり動くというのは同時に結構キツイのです。
だからこそ「キツイ動きをどうしたら怪我無く、楽にできるか」を考えながら動けるペースで、ゆっくりと自重トレーニングをすることをオススメしたいのです。
ちなみに筋肉博士で有名な東京大学の石井直方先生の提唱さてれいる「スロトレ」で調べるとたくさん情報が出てきます。
気になる方は是非こちらも参考にしてください。
私の場合は怪我の経験から自重トレーニングでどうやって筋肥大や筋力向上を目指すか、と考えたときに加圧トレーニングの簡易版として出会った方法で、あとから「スロトレ」の存在を知りました。
ゆっくり自重トレーニングはなぜキツイのか
キツイというのはあくまで「筋肉痛的なキツイ」のであって、怪我をするような瞬間的になキツさではありません。
私は加圧トレーニングの代替で取り入れたと説明しましたが、そもそも加圧トレーニングとは専用のバンドで腕や脚の付け根を縛って、わざと血流(静脈)を悪くしてトレーニングを行うことです。
血液によって運ばれる酸素量が制限されたり、疲労物質が筋肉にとどまって、疲労を感じることで成長ホルモンが分泌されやすくなり、軽い負荷でも大きな効果を得られやすいので、怪我のリスクを下げつつトレーニング効果を上げるというトレーニング法です。
ただし、バンドの締め方や加減が難しく、専門家と共にトレーニングをする必要があるので、もし試したい方はお気を付けください。
さて、ゆっくり自重トレーニングに話を戻します。
筋肉は力んだり緩んだりすることで血液を運ぶ「筋ポンプ」機能があるのですが、力みっぱなしではポンプ機能がうまく働かず、筋肉が加圧トレーニングに似た状況になります。
ゆっくり自重トレーニングをすると、筋肉の緊張状態が長くなるので加圧トレーニングのように血流が悪くなるため、キツイと感じやすくなります。
これがゆっくりの自重トレーニングがキツイ理由です。
そのメカニズムを利用して私は加圧トレーニングの代替としてゆっくりと自重トレーニングをすることを選びました。
力が抜けなければいいので、スクワットであれば膝が伸びきる前にしゃがむことで専用バンドや専門家に頼らずとも筋肉に「加圧トレーニング的環境」を作ることができ、その上ゆっくりなので怪我の心配もかなり少なくて済みます。
動きながら「力まない」を探す
ゆっくり自重トレーニングも裏を返すと「力まなければ」キツさを減らせます。
一見矛盾した話になりますが、
力を入れずにトレーニングすればいいのです。
それこそが「上手な身体の使い方」だと考えています。
傍目には同じようにゆっくりスクワットをしているようでも、
ただキツさに耐え、力んでトレーニングするのと、
力まない方法、しんどくないフォームを探しながらトレーニングをするのかで動きの質は変わってくるはずです。
先述のとおり、ボディメイクのためであれば前者でも良いのかもしれませんが、日々を健康的に生きる、身体を上手に使いたいのであれば後者のやり方もアリだと思うのです。
私自身、トレーニングではいかに力まないか、筋肉が柔らかくあるか、しんどくないかを重視してトレーニングをしています。
そうして身に付いた動きや筋肉、発達した神経はきっと自分の「骨格」に対して「正しい」ものだと考えているからです。
最後に
筋トレと動作トレーニングは混同するな、という意見もあるかもしれませんが、どうせ鍛えるなら最初から動きの質も求めたらいいというのが私の考えです。
そうして上手く身体を使うことができれば、日常生活で重いものをより軽く持てるようになったり、ウェイトトレーニングであっても、より重いウェイトを扱えるようになり、自分のポテンシャルを高めることができると思うからです。
動作によって身体の負荷を減らす訳ですから怪我のリスクも減るのではないでしょうか。
今回の記事で「運動はしんどくなくっていいんだ!」と思っていただけて、少しでも運動に取り組みやすくなれば嬉しいです。
そもそも、健康のためにはしんど過ぎる運動は必要ないので、いずれそのことも書いていきたいですね。
今回はかなり長くなってしまいましたが、
お読みいただきありがとうございました。