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職人のあだ名が名前になった琉球菓子
先日母から差し入れが届きました。
その中に一緒に入っていたもの。
小包の箱の中にこれを見つけた時、私はすごく嬉しかった。
わかる方いらっしゃいますか?
これは「タンナファクルー」という、うちなんちゅ(沖縄県人)ならみんな知っている、沖縄好きなら知る人ぞ知るというお菓子です。
私には、大人になってからそのおいしさがわかった食べ物というのがいくつもあります。
”おいしくない→おいしい” の転換点は大人になったある日に、前触れもなく訪れます。
転換点を迎えてからは、それまでの時間を埋めるかのように無性にその食べ物を求めてしまうから不思議です。
タンナファクルーもそんな食べ物の一つでした。
子供の頃からおやつにと母から出されますが、なかなか手が伸びない。
黒糖の味、少しパサパサとしている、洋菓子のような華やかなうま味がない。そんな素朴なおやつにそそられなかったのです。
タンナファクルーよりも、クッキーの方が断然おいしい!と思っていましたから。
しかし20代の頃、転機が訪れました。
実家に帰省した時にふと自宅で食べてみたんです。(今思うと我が家にはいつもタンナファクルーがあったような気がします)
一口食べると、あら不思議。
黒糖の深く優しい甘味がたまらない。
パサパサしているのは外側だけで、中はしっとりしている。
洋菓子のバターのようなうま味はないけれど、口の中でゆっくりと溶ける生地の食感がいい。
おいしくないと思っていた要素が、全ておいしいの方に転換されていました。
なんで今までこのおいしさに気づけなかったのだろう。
このおいしさは唯一無二。
面白い名前の由来
タンナファクルーをこの世に生み出し、今も作り続けるのは那覇市にある「丸玉」というお菓子屋さんです。
そのホームページを覗いてみると、こんなことが書いてあります。
タンナファクルーは明治二十年、首里真和志町で生まれました。
私の曽祖父であり丸玉創業者の玉那覇宏次朗の父が考案した、黒糖、 小麦粉、卵で作った素朴な焼き菓子です。
当時は大変高価な宮廷菓子、光餅(クンペン)の代用品として庶民に親しまれ、今では沖縄の伝統的な焼き菓子として知られております。
琉球王朝の宮廷菓子のおいしさを庶民にも届けたい、という思いから生まれたお菓子。
「タンナファクルー」という名前は考案者・玉那覇次郎さんあだ名に由来するそうです。
玉那覇(たまなは)という苗字は沖縄の方言で「タンナファ」と発音されます。そして彼は色黒だったために「クルー」と呼ばれていました。
沖縄の方言で「黒(い人)」という意味です。
それが合わさって「タンナファクルー」となったのです。
菓子職人の愛称がそのままお菓子の名前に。こんなほっこりとした由来をもつお菓子は他にあるでしょうか。
材料は沖縄黒糖、小麦粉、砂糖、卵と至ってシンプル。バターなどの油、香料、保存料は使用されていません。
今年で創業133年の老舗。昔ながらの製法を守り、このおいしさを届けてくれているのですね。
タンナファクルーはこちらからお取り寄せできます。
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