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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2024年8月の記事一覧

SUMMER SONIC 2024

2024年8月17日(土)・18日(日) 千葉マリンスタジアムと幕張メッセで「SUMMER SONIC 2024」。 ジョン・バティステとピンクパンサレスが事前にキャンセル。さらに台風の影響で前日になってイ・ヨンジもキャンセルに(韓国の出演アーティストで唯一いま観たい人だった)。自分が観たいと思っていたうちの3組がキャンセルとなったこと、わけても前回の単独来日公演がミニマルな編成だったジョン・バティステは今回は恐らくフルバンド編成だろうとかなり楽しみにしていただけに痛かっ

世界で一番好きな(のかもしれない)音楽⑬/Clairo「Charm」

・MOR化するUSインディシーン 2010年代のアメリカは好調な経済の下支えもあって(そこから現在はインフレが問題化しているが)、音楽と映画のインディシーンはこれまでにないほど芳醇で雑多なものが増えた。マス向けの高い予算を使った制作や大体的なコマーシャルな志向から、インディペンデントな表現との境目が曖昧になりつつある傾向が顕著になっている。00年代からその傾向は見え始めていたが、よりその傾向が強まった年代と言える。 映画でいえばA24やNeonの様なアメリカンニューシネマの再

【フリー・ソウル秘話】橋本徹×高橋晋一郎の30周年記念対談

 1994年の第一弾リリースから30周年を迎えた日本を代表するコンピレーション・シリーズ「フリー・ソウル」をご存知ですか。このコンピレーションは、70年代のソウル・ミュージックを中心にしながらも、ヒップホップやジャズ、ロック、シンガーソングライター、ブラジル音楽やラテン音楽、映画音楽など、あらゆる音楽ジャンルの垣根を越えて、グルーヴィー&メロウに時代の空気をとらえていく点が新しく、それまでのコンピレーションとは一線を画し、異例の大ヒットを記録しました。それは現在のサブスク音楽

BOMB WALKER & MASS-HOLEインタビュー「責務として言葉を使う」

長野のラッパー兼ビートメイカー二人、BOMB WALKERとMASS-HOLEがタッグ作「BANDIT」を先日リリースしました。 2021年のソロアルバム「ze belle」ではGriseldaなどと共振するようなスロウで硬派なブーンバップを聴かせていたMASS-HOLEですが、今回の作品ではそれとはまた異なる魅力を打ち出しています。冒頭を飾るタイトル曲「BANDIT」や先にシングルとしてリリース済みの「DAWN」では華やかなホーンを使ったアッパーな路線を披露。「WAVE」

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藤井風@日産スタジアム感想、気取らない達人だからこそ成り立つ内省と一期一会の表現について

【この記事の主旨】・藤井風の日産スタジアム初日(8/24)を「スタジアム席参加券」で観覧、同公演のYouTube生中継(8/26の16時までアーカイブ視聴可能→公開期間を無期限延長)もフル鑑賞したうえでの感想 ・圧倒的な技術もさることながら、そのうえで偉ぶらず大観衆と対峙する、この規模で1対1のコミュニケーションを成り立たせる感じの佇まいがとにかくすごい ・「青春病」の歌詞〈いつかは消えゆく身であれば/こだわらせるな罰当たりが〉に象徴される諦観と執着の激しい混淆、そのう

村田陽一『Tapestry Ⅱ』 2024年インタビュー Vol.1(Interviewer:内田正樹)

2024年7月1日、村田陽一がニューアルバム『Tapestry Ⅱ』をリリースした。 本作は、2012年リリースの前作『Tapestry』同様、全作曲、演奏、アレンジ、録音を村田が一人で行ったソロアルバムだ。リリースに際して、同月、村田に行ったロングインタビューをnoteに寄稿する。 Vol.1では、主に今作の誕生の背景や制作環境について話を訊いた。 前後編トータル9,000字のテキストを通して、トロンボーンという楽器の可能性を存分に追求した『Tapestry Ⅱ』の世界へ、

<Daokoにまつわるエトセトラ>拡張し続けるDaokoワールドの今

バンドをやるDaoko——「Daoko “Slash-&-Burn” Tour 2024」のバンド編成はどのように組んでいったんですか? なんとなくツアーを考える際の初期段階から同期とドラムとベース編成がいいなと思っていて、以前から交流の深い吉田雄介さんに最初にご相談して他のメンバーの方をご紹介いただきました。 ――『Slash-&-Burn』の曲を演奏するにあたって、バンドメンバーにはどのようなディレクションをしたのでしょうか。 まずマニュピレーターの吉井さんとスタジオで

「私たちが居場所を探しているときに、ハードコアの音楽が私たちを見つけてくれた」No Rightインタビュー

おはようございます!こんにちは!こんばんは! Erolin(Burning Sign, Nodaysoff, SMDcrew, Back Yard Zine & Records)です。 さぁいよいよ1ヶ月も切りまして近づいてきましたNo Rightのジャパンツアー、そしてSummer Bash Fest! ということで下記のNo Right紹介記事を踏まえまして、今回はバンドに直接インタビューさせていただきました。 バンドを代表する形でVo.のSierra氏と、Gt.のC

Dubのお勉強③ Wackie's

<Wackie's>はアメリカ・ニューヨークのレーベルで、1970年代後半〜1980年代にかけてジャマイカのアーティストも呼びながらもニューヨークオリジナルのダブサウンドを作り上げた伝説的レーベルである。自分がこのレーベルをきちんと認識したのはBasic Channel(Moritz von OswaldとMark Ernestus)が本レーベルの再発仕事を行っていたことを知ったのがきっかけであり、実際にBasic Channelによる2000年代前半の尽力もあって、本レーベ

interview Jharis Yokley:ホセ・ジェイムズが発掘し、BIGYUKIを魅了する新世代ドラマー

ジャリス・ヨークリーの登場は鮮烈だった。 クリス・デイヴ、ネイト・スミス、リチャード・スペイヴン。現代を代表するドラマーを自身の作品に次々に起用してきたホセ・ジェイムズが突如無名の若者をレギュラードラマーに抜擢したからだ。 ホセのライブを観れば、彼のバンドにおけるドラマーの重要度は一目瞭然。ホセの音楽は誰をドラマーにするかでそのクオリティが決まってしまう、と言っても過言ではない。そんな責任重大な席に座ったのがジャリスだった。 ジャリスはそんな期待と不安が混ざり合った状況

¥300

「洋楽離れ」をデータから検証する:日本だけじゃない? 変わる音楽の世界地図

皆さんは最近「洋楽」を聴いていますか…? ここ数年、音楽業界では「日本の洋楽離れ」が話題になっているようです。 確かに、日本のヒットチャートを席巻しているのはほとんどが日本の音楽かもしれません。一見すると日本独自の現象のようにも思えます。ただ、データから世界を見てみると、少しちがった風景が浮かび上がってきます。 実は「洋楽離れ」は、日本だけの現象ではないようです。世界中で、いわゆる「洋楽」のヒット曲、特にアメリカのポップミュージックヒット曲の直接的な影響力が徐々に変化して

Charlotte Day Wilson「Cyan Blue」全曲解説

カナダのシンガーのCharlotte Day Wilsonのアルバム、「Cyan Blue」の国内盤ライナーノーツを書きました。国内盤CDに封入されています。 DrakeやBADBADNOTGOODなどCharlotte Day Wilsonと同じカナダのトロント出身のアーティストを例に出しつつ、その地域性を考えるような内容です。 2021年にリリースされた前作「ALPHA」では、フォーキーな要素も備えたオルタナティヴR&Bとネオソウルの中間のようなスタイルを聴かせていま

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Isaak Hayes『Hot Buttered Soul』(1969)

アルバム情報アーティスト: Isaak Hayes リリース日: 1969/6 レーベル: Enterprise 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は373位でした。 メンバーの感想The End End  1曲目のアンサンブル、これはもうポーティスヘッドじゃんよ。メランコリックでソウルフルな、吸い込まれそうなビート。  ものすごく楽器の上手い人たちが、決してそれをひけらかさない内容の演奏を端々まで神経を尖らせて行っている、そういう美しさがある

interview Melissa Aldana:タロットと内なる教師、そして、ウェイン・ショーター

ティグラン・ハマシアンやアンブローズ・アキンムシーレ、セシル・マクロリン・サルヴァントらを輩出したセロニアス・モンク・コンペティションのサックス部門で優勝したサックス奏者であり、現代屈指のサックス奏者のひとりとして名を馳せるメリッサ・アルダナは常に高いクオリティの作品を発表し、高い評価を得てきた。 ただ、ブルーノートとの契約後、これまでとは少し異なる音楽性に変わっていた。プロデューサーにギタリストのLage Lundを迎え、ベースにPablo Menares、ドラムのKus

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